プロローグ
こんにちは〜 初めての投稿作になります! 温かい目で見守ってくれたら嬉しいです。
「主人公」
――その輝かしい三文字は、私という存在の完全なる対義語だ。
今日も、蛍光灯の無機質な光に晒されるコンビニのレジに立つ。
二十代前半。世間というスクリーンの中では誰もが色彩豊かに躍動しているはずの季節なのに、私の世界だけがモノクロームだ。地味な髪色に、風景に溶け込むような彩度の低い服。
(あ、この衣装、可愛い……)
スマートフォンの液晶に映る、鮮やかなコスプレ衣装。
それは、私とは別の次元で息づく「主役」たちのための衣装。
一瞬だけ指が止まるけれど、それだけ。新しい一歩を踏み出す勇気なんて、とうの昔にどこかへ置き忘れてしまった。
いつからだろう。温かいはずの食事が、砂を噛むような無機質な味に変わったのは。
最近では、バイト先で「無表情女」と揶揄されていることも知っている。
けれど、その刃のような言葉に反論する気力さえ湧かない。
期待しては裏切られ、差し出した手は空を切り、気づけば隣には誰もいなかった。友達も、夢のような恋も、私を形作るはずの「好き」や「得意」も、何ひとつ持ち合わせていない。
強いて言えば、心を殺して貼り付ける「愛想笑い」だけが、私の唯一の防衛本能だった。
仕事帰り、波のように押し寄せる群衆の隙間を、透明な幽霊にでもなった気分ですり抜ける。
誰の視界にも入らず、誰の記憶にも残らず、ただ独り、薄暗いアパートの扉を開ける。
鍵を回す乾いた音。
私は靴を脱ぐことさえ億劫なまま、重たいリュックを背負った姿で、煎餅のような硬い敷布団へと倒れ込んだ。
(……何か、食べなきゃ。明日も、また、あの場所に行かなきゃいけないんだから……)
沈み込むような眠気が、泥のように全身を侵食していく。
意識の端っこで、カチリ、と世界のスイッチが切れる音がした。
肺から空気が抜け、二度と戻ってくることはなかった。
初めての投稿です! 舞い上がっちゃいますね! 最後まで読んでくれてありがとうございます!
では、次回作で!




