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第3話「女王の風呂を守れ!俺の拳が火を吹くぜ!」


風呂――それは癒し。戦いのあとに必要な儀式。

だがそれ以上に、女王様の入浴タイムは、我ら忠臣の誰にも侵されてはならない神聖な時間だ。


「おいバルザック、風呂場がまた爆発したぞ!」


「落ち着いてください、ガルド。今度は魔獣の毛が排水口に詰まっただけです」


「いや、そのあとで女王が“魔力風呂”の出力を最大にしたんだよ!壁が溶けたぞ!!」


「……女王様、なぜまた」


わかってないな、あいつは。風呂ってのはただ入るんじゃねえんだよ。

心と魂を洗う、戦士の聖域なんだよ!!


俺の名前はガルド=フェリオ。

クラブの席を預かる、魔王軍最強の肉体派。筋肉と拳、そして忠誠だけでできてる男だ。


「よし、風呂の防衛は俺がやる!!」


というわけで、俺は女王の風呂を警備する任務に立ち上がった。



「ふう……いい湯だわ」


女王が湯船に浸かってる声が聞こえる。お美しい。いや、見てないぞ!? 覗いてなどいない!

男が女王の風呂を覗いたら、その瞬間、拳で自決する覚悟はある!


「ん? 気配が――バルザックじゃないわね。……ガルド?」


「女王!風呂場を死守しに来ました!」


「また何か爆発したの?」


「違います!今日は、潜入者がいるんです!!」


女王の風呂を狙う不届き者がいる――という噂が兵舎の食堂で囁かれていた。

「女王様のバスタオルが時々なくなる」とか、「湯気の中に黒い影が見えた」とか。


これは由々しき事態だ。


俺はその話を聞いたとき、拳を震わせた。


「この拳は、女王の入浴タイムのためにある!!!」


そうして風呂場の天井に張り付くこと3時間。


――カサッ。


来たな……! 湯気の向こう、滑るような気配。忍び足。間違いねぇ、侵入者だ!


「どこ見てやがるコラァアアアアアアア!!!」


ズドォォォン!!!


俺は天井から飛び降り、拳を叩きつけた!!

蒸気が割れ、床が揺れ、侵入者が吹っ飛んだ!!


「ぐあっ!? な、なんだ貴様は!!」


「ガルド=フェリオ!女王風呂保護任務、遂行中!!」


「ば、馬鹿な!なんでそんな筋肉が風呂場にいるんだ!?」


「黙れ!お前が女王の湯気を盗んだ罪、筋肉が許さねぇ!!」


拳と拳がぶつかる、男の闘いが始まった。

湯船の横でドッカンドッカン戦ってたら、突然――


「うるさいわねぇええええええええ!!!」


湯船から出た女王が魔力で地面ごと爆破した。


俺も敵も吹っ飛んだ。スッポンポンで。



「……結論。ガルド、風呂場に張り付くのは禁止。というか服を着ろ」


「はい……」


バルザックの冷たい目が刺さる。でも仕方ねぇだろ。女王の風呂のためなんだよ。


「ま、ガルド。湯気に包まれて戦ってる姿、なかなか壮観だったわよ」


「じょ、女王!? マジっすか!? そ、それじゃあまた今度――」


「次やったら、お湯に沈めるわよ? ぷくぷくぷくってね?」


「ッス!」


筋肉の忠誠は揺るがない。でも、女王の入浴タイムは……もう少し静かに見守ります。


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