表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/21

第17話「潜入! 魔王城文化祭(勝手に開催)――ジョーカー、ついに姿を現す⁉」



きっかけは、ある日突然貼り出された謎の張り紙だった。


 


『第一回☆魔王城文化祭 開催決定! 主催:非公開』


開催日:明日

内容:出し物は自由。準備は今すぐ。文句は不可。


 


「……誰が貼った?」


「知らん……」


「リリス様じゃないのか?」


「私じゃな〜〜〜い♡」


 


――おかしい。

そもそも文化祭って、学生行事では?


ここ、軍事拠点なんですけど⁉


なのに、気づけば魔王城全体が文化祭ムード。


誰も仕切っていないのに、

なぜか各部署が本気で屋台や劇、占いの館を準備し始めていた。


そして――


 


■魔王城、文化祭当日。


 


「ここが、“リリス様キーホルダー手作り体験コーナー”か……」


「ミロ。よく来たわね♡ ちなみにこの型は、君のあの“かわいい”発言付きです♡」


「撤去願います」


 


「おいカイン、なんで“地獄スイーツ屋台”が大行列なんだ」


「リリス様が“当たるとお腹壊すプリン”とか出してるせいだろうな。ある意味、運試しだよ」


「本物の地獄……」


 


「バルザックは何やってんだ?」


「“秩序を説く講演会”だよ。開始10分で誰もいなくなってたけどね」


「当然すぎる……」


 


そして、文化祭も佳境に差しかかったころ。


“彼”が、動いた。


 



■“誰にも知られない”配下――ジョーカー


 


「……随分と賑わっているようだな」


その声は、誰の耳にも届かなかった。


なぜなら彼は、存在を消されし悪魔。


その名も――ジョーカー、ゼロ=ノクス。


リリス=カーミラが、唯一密かに契約した“隠しカード”。


彼の役目はただ一つ。


“もし魔王城の空気が退屈になったら、爆弾を落とす”


 


「そろそろ――飽きてきただろう、リリス様」


 


彼は笑った。

文化祭の喧騒の中、人知れず、“黒い箱”を設置して回る。


それは、魔力を拡散する共鳴装置。

設置完了と同時に――城全体にアナウンスが流れた。


 


『さて、魔王城の皆さま。

文化祭のトリを飾るのは――**“誰がリリス様に最も愛されているかコンテスト”**です』


 


「……は?」


「……なにそれ怖」


「誰が仕掛けたの!? ねぇ!!」


 


『参加者:スペード・クラブ・ダイヤ・ハート。

審査員:リリス様。場所:大広間。今から10分後に開幕。』


 


「リリス様、あなた仕掛けました?」


「……やってないけど、面白そうね!!!!!」


「おい、待て! ノリ始めるな!!」


 



■舞台は整った


 


それぞれが衣装を着替え、ステージの幕が上がる。


司会進行役として現れたのは――

なんと、黒いフードをかぶった男。


「本日の司会を務めさせていただきます。謎の存在、Jと申します」


(いやもう名前ほぼ出てるやん)


 


そして、地獄のステージが始まる。


 


・スペード:リリス様賛歌(詩吟調)を朗読して、全員を震えさせる。

・クラブ:リリス様との結婚生活シミュレーションを熱演し、ドン引かれる。

・ダイヤ:手作り“ラブ弁当”をステージ上で食べさせ、爆発する。

・ハート:無表情でリリスの似顔絵を描くも、描写が異常にリアルでざわつく。


 


そして、勝者は――


「全員優勝♡」


「はい出た〜〜〜〜!! 女王の権力ぶっぱ賞!!!」


「不毛だァァァァ!!」


 


だが、混乱の中。

ふと、黒フードの“J”が言った。


「……では、私はこれにて」


「待ちなさい」


リリスが声をかける。


「また勝手に暴れて消える気? ゼロ=ノクス?」


 


会場が静まる。


「さすがです、リリス様」


彼は微笑む。


「次は――もっと楽しい混沌を、持ってきます」


その瞬間、“J”の姿はふわりと霧のように消えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ