4 10年後の世界
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カームは、勢いよく壁に激突した。
両腕を負傷し、風神剣を構えることも出来ない。
ニッグ「今回もお前の負けだな。」
「今度こそ、トドメを刺してやる。」
???「そう言って、また逃がしてしまうのでしょう?」
「まだ覚醒が完全ではないのでしょうか。」
何もない空間から謎の男が現れ、そう言うとカームの足に楔を刺して拘束した。
???「彼を葬れば、きっと完全に覚醒するでしょう。」
「さあ、殺ってください。」
カーム「仕方ない。もうやるしかないのか。」
カームは複雑な魔法を構築した。
そして、その魔法が眩い光を放ち、周囲一面が真っ白になった。
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カーム(レンロラで見た夢の続きか?)
(タダの夢じゃないよな。これはどういう意味なんだ?)
目覚めたカームは、何か柔らかいものに顔を埋めていた。
恐る恐る目を開けると、目の前には知らない女性。
カーム(昨日は確かレイムと一緒に寝ていたハズ。)
(彼女は誰だろう?レイムの姉とか?)
次の瞬間、カームはその女性の右ストレートを喰らって軽く吹っ飛んだ。
「キャーーーーー!!!」
甲高い悲鳴が響き、レイムの父親が駆けつける。
レイム父「どうしたレイム!」
レイム?「目が覚めたら、変なヤツが布団に入ってて・・・。」
カーム「レイム?レイムって昨日の小さい子供ですよね?」
レイム父「君は、誰だ?」
カーム「カームですよ。昨日火の玉ウルフと戦った。」
レイム父「・・・確かに君はあの日のカームによく似ている。」
「だが、そんなはずはない。」
レイム「こんなクソガキがカーム様な訳ないでしょ?」
「もっと格好良かったよね?」
レイム父「いや・・・。」
「ちょっと私たちには判断しかねる。」
「村長を呼ぼう。」
カームはレイムの父に拘束され、レイムが村長を呼びに行った。
そして、暫くすると村長とリンガー、カリウが現れた。
リンガーは片腕が無く、カリウも大人になっていた。
村長「彼が自称カームですか。」
「厄災の影響でカームがこうなった可能性もある。」
「だが、厄災の化身の可能性も否定できない。」
リンガー「悪いヤツには見えないが、確証はないな。」
カリウ「よく解らないヤツは追い出した方が無難ですよ。」
カーム「風神剣はありませんか?」
「風神剣の能力を使えるのは、キーパーの俺だけなはず。」
リンガー「風神剣を呼び出せるのか?」
「ここに風神剣はないぞ?」
ここで、カームは風神剣もニッグの剣も、その他所持品が何もないことに気づく。
因みに服も魔法で出したもので、所持品は何一つない。
カリウ「追い出しましょう。」
「彼をここに置くのはリスクでしかない。」
村長「そうだな。」
「大人しく出ていくなら、不法侵入については不問にしよう。」
「それが一番無難だろう。」
カーム「それは良いですけど、今何が起きているか教えてください。」
「今精暦何年何ですか?」
「あと、俺剣士なんで安物でも良いので剣を戴けませんか?」
リンガー「精暦2122年だ。10年前に土の精霊がいるリーエスが滅んでいて、キーパーの旅が中断した。」
「それ以来、精霊は姿を現さなくなり、キーパーの旅も行われていない。」
「厄災の影響か、色々と異常が起きている。」
カリウ「ボクは、カームが何か失敗したのが原因だと思ってる。」
「もしお前が本当にカームだとしても、ここにいて欲しくないね。」
「今の世の中、武器は貴重なんだ。」
「こんなヤツに分けてやる筋合いはないね。」
町長「それもそうか。」
「すまんね。手ぶらで出ていってもらおう。」
カーム(10年後の未来、どうなってるんだ?)
(剣がないのは辛いが、何とかレンロラに戻ろう。)
そして、カームは身一つでトゥーパから追い出された。
暫く進むとスライムが現れたので、風の刃で攻撃。
しかし、一撃では倒しきれず更に殴り付けて倒した。
カーム(前より強くなってる。)
(これじゃ大型の魔物や群れに遭遇したらヤバいぞ。)
更に進むと、オオカミ魔物が3体出てきた。
カームは魔法で剣を出して応戦。
しかし、カームの魔法の剣は殆ど切れ味がなく、剣と言うより棒切れに近い。
それでも何とか粘るが、1体も倒せない。
カーム(ウソだろ、ここまでか・・・。)
カームが諦めかけたとき、後方から剣が飛んできてオオカミに突き刺さった。
レイム「それ使いなさいよ。」
カーム「ありがとう。」
剣を手に入れたカームは、残り2体のオオカミを瞬殺した。
カーム「俺のこと、信じてくれたのか?」
レイム「信じてはいない。あんたはカーム様じゃないと思ってる。」
「でも、何か関わりがあるかもしれないと思ってる。」
「だから見殺しにはしたくない。」
「ただそれだけ。」
カーム「今はそれで良いよ。」
「本当にありがとう。」
カームが先に進もうとすると、レイムに腕を掴まれた。
レイム「あんたレンロラに行くんでしょ。」
「アタシもレンロラに用があるの。」
「それまで付き合ってあげても良いけど?」
カーム「そうか、じゃあよろしく頼むよ。」