13 小精と精霊と、神?
カリウ「くっ、バサリン細かい魔法を沢山撃ってくれ。」
人型スライムは機動力が高い。
大技は回避される可能性が高い。
バサリンの攻撃で機動力を奪い、その隙にカリウが大技を当てる作戦だ。
予定通りに事が運び、技を撃つ瞬間、人型スライムはカリウの傷に高濃度の酸を掛けた。
カリウは悲鳴を上げて、技は不発に終わる。
人型スライムの顔はのっぺらぼうだが、笑っている様な感じがする。
魔物は殺意と敵意の塊で殆ど思考力が無いと言われている。
しかし、コイツは違う。
明らかにカリウ達の行動を理解し、対応している。
人型スライムは魔物ではない。
もっと高度な何かであると気付いた二人。
だが、カリウは既に人型スライムに拘束され、薄い酸で痛めつけられている。
物言わぬスライムだが、勝ちを確信してカリウを弄んでいるのは明らかだった。
バサリンは必死に状況を打開しようと魔法を使うが、効果は薄い。
更に魔法の軌道上にカリウを移動させて、カリウの身体を傷つけたりした。
これでもう、バサリンも手が出せなくなった。
二人の眼から精気が消え、深い絶望を感じ取り、人型スライムはトドメの準備をした。
だが、人型スライムはトドメを刺せない。
全身が凍り付いて動けないのだ。
小精コキュートが凍らせ、精霊具を持った女性が人型スライムを粉々に砕いた。
バサリン(助かった・・・。村人たちはキーパーいないって言ってたけど、いるじゃないか。)
トハースウェン「ごめんねー。めっちゃ遅くなって。」
「まさかキーパーが来てくれるとは思わなくてさ。」
「ウチは神人のトハースウェン。」
「とりあえずキーパーになってレヴァーヴ黙らせる為に行動することにしたわ。」
カリウはホッとして気を失った。
出血が酷いし、そもそも意識を保つのが限界だったのだろう。
バサリン(トハースウェンって氷の精霊の名前だよな。)
(神人って何だ?レヴァーヴって何?厄災?)
(精霊がキーパーってどういうこと?)
コキュート「トハー様。」
「何も知らない人に急にそんな言い方だと伝わりませんよ。」
「そもそも、二人とも酷い怪我です。」
「まずは村に運んで治療を頼みましょう。」
トハースウェン「あっ、そう言えばそーだよね。」
「コキュー移動お願い、ウチが道中治療するわ。」
コキュートは魔法で車の様なものを出し、三人を乗せて走り出した。
トハースウェンは両手で二人を回復した。
バサリンの身体は数秒で完治し、カリウの治療に専念する。
さっきまでヘラヘラしていたトハースウェンの顔から余裕が消え、真剣な表情に変わる。
バサリンはその表情の意味をほぼ正確に理解していた。
人型スライムはカリウの両手を重点的に焼いていた。
人間の魔法は基本的に手で操る。
手が完治しなければ、もう戦場には立てないだろう。
状態が悪ければ、日常生活にも大きな支障が出る。
トハースウェン「難しい治療は終わった。」
「後は村人たちに任せるね。」
コキュートは頷き、村に向かう。
バサリンも着いていこうとするが、トハースウェンに止められる。
トハースウェン「アンタの状態も良くないんだから、宿に行って休みな。」
バサリン「でも、カリウさんが心配で・・・。」
「完治は難しいんですよね。」
トハースウェン「やっぱ解るか。」
「十中八九完治は無理。」
「まぁ、生活魔法くらいなら使えるようになると思うけど。」
「キーパー欠けちゃうね。」
「ヤバいなぁ、レヴァーヴ早く何とかしないと魔人が復活しちゃうよ。」
バサリン「さっきから、知らない単語が多いんですけど。」
「あなたは精霊なんですよね?」
「厄災のことも今起きてることも、全部知ってるんですよね?」
トハースウェン「そーだね。」
「明日一通り教えてあげる。」
「だから、今日はもう休みな。」
「明日になったら、二人でウチに会いにおいで。」
その頃、カームたちは4つの精霊具を持ち、リーエス跡に向かっていた。
リーエスの精霊台を目指して。
しかし、彼らがリーエス跡に着いたとき、厳かな雰囲気の男性が現れた。
カーム「レヴァーヴ!!」
レヴァーヴ「ほぅ。私のことが解るのかね。」
「なるほど、君はカームだね。」
「君のせいで私の計画は滅茶苦茶だよ。」
「あんなことになって、何で生きているんだろうね。」
「まぁ、かなり弱体化しているようだが。」
カーム「ニッグはどうした!」
「お前何なんだよ!」
レヴァーヴ「まぁ良いさ。」
「今の君たちなら、ボナス島に送るだけで始末出来るだろう。」
「精霊、いや神は自分の星の生物に直接攻撃出来ないからね。」
そう言うと、レヴァーヴは大きな次元の穴をつくり、カームたちを飲み込んだ。
そして、着いた先は無人島。
アディル「ココは魔の海域にある島だ。」
「人間の魔法で脱出するのはかなり厳しいな。」
「元のカームならワープゲートで脱出できただろうけど。」




