10 厄災の使徒?プルーレ
洞窟を出ると、レイーユがはしゃぎだした。
レイーユは記憶喪失のようで、アディルが親切に周りの物の説明をしている。
何か親子みたいだと二人は思った。
アディルが30歳くらい、レイーユは20歳くらいに見える。
人造人間だから、1歳とかなのかもしれないが。
レイーユは、武器生成の魔法が得意。
雷系の魔法は使えず、物理特化って感じだ。
しかし、壊れても良い武器を振り回すレイーユの戦闘力はかなり高い。
アディルも系統的には武器生成に近いのだろうか。
土魔法というのが、微妙な感じなのだ。
「地震を起こす」みたいなのは、人間には無理だ。
精霊はプレートに刺激を与えて地震を起こしたりも出来るが、これは土魔法ではなく大規模操作魔法だ。
人間は地震を起こすほどの出力の魔法は使えないし、何をすれば地震が起こるかも解らない。
実際の土魔法は、石を飛ばしたりするもの。
しかし、石でなく鉄も飛ばせる。
鉱物を飛ばすというのが、基本的な土魔法だ。
では、飛ばさずに出すだけは可能?
飛ばさなかった場合は武器生成と同じ?
飛ばせるのは魔法だけ?
こういう風に考えたアディルが、従来の土魔法の概念を壊した。
土魔法の「出す」と「飛ばす」を分解したのだ。
だから、アディルの土魔法は武器生成と同じことが出来るし、魔法でなく道具を魔法のように飛ばせる。
アディルは、強力な爆弾を所持していて、土魔法に混ぜたりして戦う。
魔法で作り出したものはすぐに消えるので、消えない道具を混ぜる戦法は相手の虚を突ける。
お互いの能力や精霊具の性質を教え合い、四人は和気あいあいとレザーを目指す。
そして、レザーが遠目に見えてきた頃にアイツは現れた。
プルーレ「おやおや、鮮血のレイーユさんじゃないですか。」
「確かにこのプルーレが、あなたを殺したはずなんですけどねえ。」
「何で呑気に歩いてるんすか?」
カームは、このプルーレという男を見た瞬間、背筋が凍った。
何となく、彼を纏う雰囲気が夢のニッグと同じ気がした。
言っていることも併せて、コイツは厄災絡みの存在だろう。
カーム「気をつけろ。コイツは厄災だ。」
アディル「コイツのことは何か覚えてないか?」
レイーユ「解らない。でも、怖い。」
レイム「先手必勝!!」
レイムの必殺の火柱がプルーレを襲う。
しかし、プルーレを覆う薄い膜が火柱を相殺した。
そしてそのまま飛び、指から針を伸ばしてレイムに攻撃する。
咄嗟にカームがレイムを蹴ってレイムを針の軌道から外す。
カームが風魔法で攻撃するも、膜に守られてプルーレに届かない。
後方からアディルが尖った金属を飛ばす。
今度は膜を相殺したようだ。
その直後、レイーユがボウガンで攻撃。
今度はプルーレに攻撃が当たったようだ。
アディル「ある程度強い攻撃と相殺して威力を殺す膜を、常時展開しているんだろうね。」
「彼には二連続で攻撃しないとダメージが入らない。」
「一度目は捨て攻撃になるけど、ある程度の威力がないと膜を維持される。」
レイム「そんなの解ってるわよ。」
アディル「こういうのは、声に出した方が良い。」
「認識を共有しないと、連携に齟齬が生まれる可能性がある。」
レイム「そうですね。」
「すいません。仲間なのに南か熱くなっちゃって。」
アディル「別にいいよ、よくあることさ。」
「私も昔、同じことを言われたしね。」
そう言って、アディルはカームを見る。
アディル「でね。多分、膜を破るのは点の攻撃が効果的だ。」
「つまり私とレイーユが尖ったものを飛ばすのが有効だと思うんだよ。」
「二人は、その直後に攻撃をよろしく。」
明らかな格上。
カームは風神剣を抜き、全力で攻撃を繰り返す。
プルーレの針はガードを一瞬で貫く超威力。
その多くは避けるが、何度も喰らってしまっている。
プルーレのダメージも大きいように見えるが、嬉しそうに笑っている。
コイツの動きは一切衰えていない。
此方の動きはかなり落ちてきている。
今は互角に戦えているが、確実に悪い流れ。
カームたちの背筋に冷たい汗が流れる。
アディル「次に私が膜を破ったら、これで最後くらいの全力で攻撃して欲しい。」
「多分、それで決まるから。」
しかし、アディルは何かを用意してくれていたようだ。
カーム「必殺・風神ノ刃!!」
レイム「ナックルメテオー!!」
二人の初耳の必殺技を受けて、プルーレはよろめいた。
しかし、決め手にはならないだろうと思った次の瞬間。
プルーレの後頭部で大爆発が起きた。
アディル「イエーイ!計算どーり♪」
アディルは手持ちの時限爆弾を空高く飛ばしていたのだ。
レイム「どういう計算?すっご。出来るもんなの?戦闘中に?」
アディル「まぁ、私の特技さ。何をしながらでも正確に時を刻める。」
「カームさんに比べれば、私なんて凡人だよ。」
カーム「やっぱり、アディルさんは以前の俺を知ってるんだね?」
「そして、コイツがどういう存在なのかも。」
プルーレは瀕死だが、まだ息があるようだ。
プルーレ「もうこれじゃ助からないな。」
「ご褒美に何でも質問に答えてあげるよ。」
「死ぬまでの短い間だけね。」




