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言葉を使いこなせてはいないね

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

こんな事言われたら、私は何も言えません。


「あまり言葉を使いこなせては居ないね」

「……」

私の小説を読んだ上で、彼はさらりとそう述べた。そこには嘲笑も軽蔑もなく、ただ無念そうな表情を表している。勿体ないと、顔で話している様だった。

「これは私の主観なのだけどね、『ぬばたま』という表現は、この作品には相応しくない。時代背景を遡って、平安を連想させるのならば、良いかも知れないけれど。キツい言い方だけど、子供が難しい言葉を知って、すぐに使いたがるのと似ている」

かなり痛い所ばかりを突かれた。何故言葉一つでそこまで考察可能なのか。

彼は私の原稿を見えやすい様に広げて、その骨ばった指で『ぬばたま』という文字をなぞった。それからまた読み直し、考え込む様に視線を走らせる。

「あとこれも……。『玉響(たまゆら)』もそうだね。君、本当に書きたいのは、現代では無いんじゃないの?」


彼は添削と言うには遠く及ばない基礎的な指導をする。例え私が書いたものが未熟であっても、雑な扱いはしなかった。丁寧に、恋人にでもする様に触れ、慈しみ、物静かに指導を行っていく。信頼に足る人物だと思った。自らの才能に酔って、過度に見下す真似はしない。

「何時も思うのですが、どうして言葉一つで、そこまで考察可能なんですか?」

「あぁ、やっぱり今回の指摘した言葉は無理して使ったんだ」

彼は指摘の終えた原稿を封筒にそっと入れながら、私の事を見る。それから黙ってまたこの原稿をに目を向けると、また此方を向いた。

「君らしくない言葉を使っていたから。今まで何度も君の文に目を通して来たけれど、『ぬばたま』なんて言葉は初めて見かけた。表現の幅を効かせたいと思ったんだろうけど、西洋をベースにしたローファンタジーだったら、わざわざそんな言葉を使わない。し、君が思い浮かべる事もないだろう。だから今知り立てほやほやの言葉を無理矢理捩じ込んで完成させたんだと思っただけ」

彼の指摘は的確だった。外れた所が全くない。実のところその通りで、何時も同じ表現ばかりをしているから、変化が欲しくて類義語辞典を使った。そこに言葉の成り立ちも、印象も何一つ考えてはいなかった。

「君は結構、その感性が優れていると思うよ。だから無理した言葉を使うとすぐに分かる、統率が取れなくなるんだ」

それから両手で原稿を包み込むと、そっと私の手に乗せた。

「何をする書き手にも必要な能力だ。小説に限らず、歌詞、詩に置いても」

それから僅かに口角を上げて、ただ一言。そこに一抹の狂気を混ぜて。

「期待しているよ。早く上り詰めておいで」

過去の作品読み返してみると、若気の至りが結構あるんですよ。

今でも厨二病ですが、そんな自分でも恥ずかしくなるくらい。

此処にこの言葉は入れないでしょ。適当に選んだなって。


そうなると、今よりも統率取れてないです。

お恥ずかしい話ですが。


書き続ける限り、一生の問題ですね。

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