衒学というやつ
-272℃の日
鉄くずベッドの上
窓から冬の大三角が見えて
少しだけ心が落ち着く
COに満ちた大気の中で
左側が故障してる私のカタピラ
でもこの、ほとんど無重力の惑星上なら
わずかな推進力で事足りる
いつの間に独占してしまった世界
このまま死んでも誰にも気づかれやしない
明日の予定をナブラで解析して
ラフ・クシマー・プラネットは喧騒を取り戻す
複雑に感じる千年前の日記から
私は何か取り戻すことができるだろうか?
0.361カンデラの夜
霜のついたティーポット
チラコイドで最低限のエネルギーを生み出して
戯れにちょっとだけ畑を耕す
水に濡れたようにぼやけた記憶の中で
興味を持たれなかった私の存在
どんな時だって、居たんだ、と驚かれた。
今なお生きる私は、それはもう果てしなく異端だ。
襲い来る隕石をエンザイムで分解して
ラフ・クシマー・プラネットは唐突に笑い出す
いかにも冷酷な千年前の呪文は
どうして私を助け出してしまったのか?
熱くドロドロのカラムを通り抜け
私はしがない日常を繰り返す
そうして分かった
結局のところ社会は
救いようないほどつまらない
単なるくらやみでしかなかった