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クズでも異世界に行けば変われますか?  作者: スケさん
エルフ
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〜敗戦後〜

〜ローザside〜


聖なる泉から魔族領に転移したかと思われたローザだが、まだ泉からそれほど離れていない所に居た。


(目的は果たせたけどまだユリスちゃんを回収出来てないのよね〜。

一人で帰ってもいいけど、それをすると怒って斬り掛かってきそうだしお迎えに行きますか〜。

感じる魔力だとこの辺ね。直ぐに戻ってくると思ったのにこんなところで何をしてるのかしら〜?)


魔力を辿っていくとその先にユリスを見つける。

いつもの様にからかおうとしたが辺りを包む濃密な殺気を感じ取り、慎重に近寄りながら話しかける。


「こんなところに突っ立ってどうしたの?ユリス」

「…ローザか。すまない、お前の所に向かっていたのだが少し考え事をしててな」

「別に構わないけど…そういえば、新しい刀は?

コレクションが増えるって楽しみにしてたじゃない」

「ああ…刀か。そんな事はどうでもいいんだ」

「そんな事って…っ!どうしたの‼︎傷だらけじゃない」


刀に執着していたユリスの変わりように驚いて近づくと、別の理由で驚くことになったわ。

森のせいで薄暗い上、ユリスの服装が赤かったから気づかなかったけど返り血とは別に全身に斬り傷があったんだもの。


「良いんだ。この程度、放っておけば治る。

それよりやりたい事が出来たんだ。早く魔王城に戻ろう」


明らかに普通じゃない様子に探りを入れる事にする。


「そういえば勇者だけど、今は弱いけど将来的には厄介になる可能性があるわ。

本気ではないとはいえ、殺す気で撃った攻撃魔法を防がれちゃったし。

優先度は低いけど機会があれば始末しておいた方が良いのかも知れないわね」

「好きにすれば良いさ…だが」


ユリスが言葉を一旦切ると周りに滲み出ていた殺気が更に酷くなった。


「勇者と一緒にいるクロウという金髪の男は私が殺る。

手を出せば相手が誰であろうと斬り捨てるからな」

「わ、分かったわよ。それじゃ、帰りましょう」


私は転位陣の準備をしながら悪態をつく。


(ユリスが変わった原因が分かったわね。

クロウか…。四天王の中で一番弱いとはいえユリスを倒すなんて勇者以上に脅威じゃない。

手を打っておきたいけど今の彼女の状態だとおふざけじゃなくて本気で斬り殺しにくるでしょうから現状、放置するしかないわね。

はぁ…からかい甲斐のあるユリスちゃんをここまで変えるって一体何をしたのよ〜)


〜タクヤside〜


枯れてしまった泉の前で皆が呆然としているとトムとアティ、タチアナ、そしてトルティーヌを含むエルフの戦士達が集結していたが。


「我々はこれからどうすれば?」

「世界樹は破壊され、この泉も守りきれなかった。

もはや恩恵を受けることが出来なくなった我々はもう滅ぶしかないのかもしれないな」


エルフの戦士達が嘆き悲しんでいると、トルティーヌの治療を受けていたウンディーネが動けるようになった。


「勇者と話がしたいです。タクヤさん、こちらにいらして下さい」

「なりません、ウンディーネ様!まだ、安静にしていないと」

「トルティーヌ、ここまで治療してくれてありがとう。

ただ、今しなければいけない事があるの。お願い。

…さぁタクヤさん。どうぞこちらへ」

「分かりました」


タクヤとウンディーネが向かい合う。


「タクヤさん、まずはごめんなさい。

ゆっくりとお話をしたかったのですがこんな事になってしまって」

「いえ、ウンディーネ様の所為ではありません。

僕も勇者なのに御守りする事が出来なくてすみませんでした」

「そんなに畏まらなくて良いですよ。

泉が枯れてしまった今では精霊様と呼ばれる立場ではなくなってしまいました。

元々、我は世界樹の下流にあったこの泉に漂っていた下級精霊に過ぎません。

運良く、戦火を逃れて無駄に長生きしていただけです。

本来であれば皆を導かなければならないのにどうすればいいか見当もつかない。


でも、すべき事は分かります。

勇者タクヤ、あなたに聞きたい事があります。

魔王軍は強いです。四天王二人だけでなす術もありませんでした。

あの二人の他にも世界樹を破壊した最強の四天王に魔王もいます。

あなたは勝てますか?」

「…僕は争いの少ない異世界から召喚されてこの世界も余り知りません。

初めは勇者だから守ってくれと言われて何となく冒険を始めました。

皆さんが世界樹や聖なる泉を大切にしていると聞いてもそれがどれほど重要だったのかも想像でしか分かりません。

でも、魔族によって滅ぼされた街、亡くなった人、遺された人を見てこれ以上悲しむ人達が出てほしくないと思います。

だから、魔王軍がどれ程強大で勝てるかどうかも分かりませんが最期まで戦います」

「…そうですか。こちらの問いに答えてくれてありがとう。

最後にタクヤさん、剣を貸して貰えますか?」

「剣をですか?」

「はい。泉は枯れてしまいましたが、まだ私の中に恩恵が僅かに残っています。それを使えば、この剣に加護を授けることが出来ます」

「いけません!それをすれば貴方が無事ではすまない」


トルティーヌが止めに入るがウンディーネは首を横に振る。


「トルティーヌ、お願い。この残された力を次に託したいの。

さあ、タクヤさん。剣をこちらへ」

「…分かりました」


タクヤから剣を受け取ったウンディーネは祝詞を唱えると加護が授けられ、剣に聖属性が付与された。

そして、残された恩恵を全て使い切った彼女は妙齢の女性から少女の姿に変わり、その場に倒れ込みそうになったところをトルティーヌに支えられる。


「ウンディーネ様‼︎」

「大丈夫。力を使い果たしただけで少し横になれば良くなるわ。

でも、恩恵が無くなったから下級精霊と同じになっちゃった。

もう頑張って使っていた我も似合わないわね。

貴方ももう私を信仰しなくて良いのよ」

「いえ、力など関係ありません。

これからもお側にいさせてください」

「…ありがとう、トルティーヌ。タクヤさん、この世界を宜しくお願いします」

「分かりました」


勇者の剣に聖属性が付与され、魔王を倒す為に次の目的地に向かう事にする。



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