表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クズでも異世界に行けば変われますか?  作者: スケさん
エルフ
22/26

〜エルフ〜

新しい武器が出来るまで時間があったので、俺は宿の個室で物思いにふけっていた。


(イザベラのせいで少し調子が狂ったが、要は俺が彼女を見誤ったのが原因だな。

彼女はヒロインではなく、一時的にだけ仲間になるサポートキャラにすぎなかったのだろう。

さすがに心眼スキルでもヒロインかどうかまでは識別できないからなぁ。

これからヒロイン2号と3号位までは登場するだろうからヒロインを見極められる様にする事が今後の課題だな。

改めて振り返ると侯爵家とのコネが出来たのだから幸先はかなり良い。

あともう一つか二つ候補が出来れば完璧だ。

ただ、今回は主人公イベントが殆ど観れなかったから今度の旅はタクヤ君と離れ離れにならないように気をつけるようにしよう)


考え事をしていると扉がノックされ、アティが顔を出す。


「ご主人様、朝ご飯の時間です」

「ああ、ありがとう、アティ。今日のメニューは何かな?」

「今日はパンとスープとお魚のフライです」

「そうか。準備したら直ぐに行く。先に行っててくれ」

「分かりました」


イザベラとの出会いによって変わったことがある。

タクヤ以外の仲間の距離が少し縮まったのだ。

トムとエリーは俺と話す時は今まで必要最低限だったがそれ以外の事も少しずつであるが話すようになった。

アティもその様子を見てからトムがいない時でも俺と話せるようになったのである。



食堂に着くと他のメンバーも既に揃っていた。


「おはようございます。皆さん、早いですね」

「おはようございます。クロウさん。

今日はノーズさんが武器を完成させてくれる日ですから、楽しみで何時もより早く目が覚めちゃいまして」

「おはよう、クロウ。

私は普通に過ごしていたのだけれど、隣のタクヤの部屋から物音が煩くてね。

文句を言いに行こうとしたら丁度、廊下にアティちゃんとトムさんが居たからついでに朝食を食べようと思って誘ったのよ」

「うぅ、ごめん、エリー。楽しみでいても経ってもいられなくて」

「いいわよ、もうそんなに気にしてないわ。

せっかく早起きしたんだし、朝食を食べたら人が混み合う前にさっさと行きましょう」


宿の朝食を食べ終えるとそのままノーズの所に向かった。


「おはようございます。ノーズさん。武器を受け取りに来ました」

「おう、出来とるぞい。早速じゃが持ってみてくれい」


五人は新しい武器に変更した。

ロードナイトの剣

ロードナイトの盾

ロードナイトの杖

ロードナイトの短剣

ロードナイトの弓



「うむ、装備したな。持った感覚はどうじゃ?違和感があるなら調整するぞ」

「大丈夫です。皆も問題ありません」

「そうか。…で、お主ら、これから本当にエルフのところに向かうのか?」

「行きます。エルフの人たちだって話せばきっと分かってくれますよ」

「無駄足だと思うんじゃがのう。

ほれ、これがエルフのところの紹介状と地図じゃ」

「ありがとうございます。それじゃあ、僕たちは行きますね」


ノーズに別れを告げてタクヤ達はエルフの里エルストに向かう。



エルストに向かう道中、タクヤ達は馬車に揺られていた。


「〜♪」

「楽しそうだね、エリー」

「ええ!エルフの里には他所にはない貴重な書物がある大図書館があるの。

普通だったら入ることが出来なくて諦めていたのだけれど紹介状と勇者がいるなら閲覧する事が出来るかもしれないの。

だから、お願い!許可が降りたら少しだけ私に時間を頂戴!」

「え?精霊の加護を受けたら直ぐに次の目的地に出発する予定だったんだけど…」

「お願い!少しだけでいいの!

読みたいのは魔法陣に関する書物だから上手くいけば戦力の強化にも繋がるわ。

それにエルフ族の説得や精霊の加護を受けるのにも時間は掛かるでしょう。その間だけでもいいから」

「う〜ん、それなら良いかな。

エリーが魔法陣の研究に真剣に取り組んでいることは知っているからなるべく時間は取る様にするよ」

「ありがとう‼︎」


最近、研究が捗っていなかったエリーは大図書館にいけるかもしれないと分かって浮かれている。

タクヤはその様子に少し微笑んだ後、こちらを見て軽く頭を下げた。


「というわけですみません。エルストに少し滞在する事になりそうです」

「こちらは構いませんよ。私も本には興味があります。

お前達も滞在中は休日だと思って自由にしてくれて構わない。

ただ、エルフは余所者に厳しいと聞く。

トムには悪いが出かける時はアティに付き添ってやってくれないか?」

「分かりました。アティ、向こうに着いたらオレの側を離れないでね」

「分かった」


街道を進んでいくと途中から鬱蒼と生茂る森になってきた。

似たような木が幾つも生えており、目印になるようなものもなくて街道を外れたら直ぐに迷ってしまいそうな深い森だ。

しばらく進んでいくと関所があり、そこに居た門番に声をかけられる。


「止まれ、何用で来た?」

「聖なる泉に用があってきました」


タクヤがそう口にすると城壁の上から弓を構えたエルフが十人くらい現れた。


「聖なる泉には何人たりとも近づくことさえ許されない。大人しく引き返せ」

「それは出来ません。僕は勇者で魔王を倒すためには精霊の力が必要なのです。

これが紹介状です」

「勇者?…もうそんな時期になってしまったのか。

紹介状は確認した。私だけでは判断がつかない。

族長の元まで部下に案内させるのでその者の指示に従え。タチアナ!」

「はい!」


弓を構えていたエルフ達の中から金髪の小柄の女性エルフがこちらの方に走ってきた。

周りと同じ翠色の民族衣装の上にレザーアーマーを付けている。


「この者達を族長の所まで案内しろ」

「分かりました」


タクヤが勇者であることが分かって警戒が解かれ、タチアナに連れられて森の奥の方へと進む。

案内された道は奥に進むにつれてどんどん細く、険しくなっていく。


「もう!またローブが枝に引っ掛かった。

どんどん道も悪くなってきたし、本当にこの道で合ってるの?」

「ああ、この道で合っている。

…済まないな。世界樹が枯れてから森の守護が全てに行き渡ってないのだ。

私が生まれる前の世界樹があった頃は色鮮やかな美しい森で観光に訪れる他種族の者もいたという話だが、今となっては聖なる泉以外の守護や管理は殆どしておらず、外部の者も追い返して完全に閉じこもっているのだ。

そのせいで外部へと通じる道が荒れ放題でな」

「えっ、そうなの!それじゃ大図書館も見ることが出来ないの?

あそこなら魔法陣に関する本が沢山あると思って楽しみにしてたのに!」

「大図書館は聖なる泉から離れた所にある。

其方は簡単に許可が降りると思うぞ」

「そうなの。教えてくれてありがとう。

えっと…タチアナ、さんだっけ?」

「タチアナでいい。他所から人が来なくなって極一部の者しか使わなくなってしまった寂れた建物だ。

利用してもらえれば本も喜ぶだろう。

ほら、あれがエルフの里エルストだ。そして、中央に大きな泉があるのが見えるだろう。

あれが聖なる泉だ」


森を抜けて開けた所に出ると里の全貌が見えてきた。

聖なる泉を中心にして、それを囲うように街が広がっていた。

族長の元へ向かう途中、里の者たちは余所者であるこちらを警戒して遠巻きに睨んでいた。



案内された建物に入ると髪の長い男性エルフが一人座っていた。

すれ違ったエルフ達と違ってこちらを見定めようとする理性的な眼差しをしており、この人が族長だということは一目で分かった。


「トルティーヌ様。報告にあった勇者とその一行を連れて参りました」

「はじめまして勇者タクヤと言います。他の皆は僕の旅について来てくれている仲間で、左からクロウさん、エリー、アティちゃん、トムさんです」

「其方が今期の勇者か……。

用向きは何だ?想像はつくが一応、聞いておいてやろう」

「精霊に会わせて下さい。

魔族と戦う為に聖属性の付与をお願いに来ました」

「やはり目的はそれか…。

他の頼みであれば考えてもよかったがそれは許可できん」

「お願いします。魔王を倒すためにはどうしても必要なんです」

「精霊様の案件は私だけの一存では決められん。諦めよ。

用件はそれだけか?…では帰りたまえ。

森の入り口までは案内をさせよう」

「嫌です。僕は諦めません。

他の人の許可も必要だというのなら、その人達も説得します。

もう魔族のせいでサリアの街のような犠牲は出したくないのです‼︎」

「…滞在は許可しよう。だが、その間は戦士を数人つけさせてもらうがな。

説得すると言うのなら里を見てまわるのも良いだろう。

今の我々の現状も見えてくる筈だ」

「あっ、それだったら大図書館を見させて。

私、魔法陣研究をしていてそこの本に興味があるの」

「分かった。そちらも許可しよう。

タチアナ、その者達を宿泊施設へ案内しろ。

後で戦士達も行かせるがお前は勇者が滞在している間は側を離れるな」

「分かりました。ほら、お前達。話は一旦終わりだ。

宿まで案内するからついて来い」



タチアナに連れられて宿に案内される。

しかし、そこは街の外れで警備隊舎の目の前である。

建物も宿泊施設というよりは隊舎の近くにあった大きい空き家といった雰囲気だ。

これだけで里全体が余所者をすごく警戒しているということが分かる。

これは説得するのには時間がかかりそうだと俺はため息をついた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ