『千島・カムチャツカ海溝』 ‐9,550m
そんなこんなで。
静かに、ゆっくりと、下へ進んでいる俺達の前に。
……それは、現れた。
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「……なんか、くさい」
チョロ幼女、ひさげ あかりちゃんの言葉に、俺……贄野 羔は、素直に頷く。
地下5階は、何やら、腐臭が強かった。
『 魚 安 駅 ( B5F : 千島・カムチャツカ海溝 : -9550m )』
階段を調べて行こうとすると。
階層の中央に、何やら腐臭を放つ原因とも思われる物体が、鎮座していることを、俺は確認した。
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それは、有体に言ってしまうと、死体であった。
周りにはハエも集っていない。
恐らく、この謎空間、そういった死体を土に返す微生物もいないのだろう。
肉のついたミイラ、とでも言うのであろうか。
まあそれにしたって、臭いが強いのには、変わりがないのではあるが。
「こわい」
あかりちゃんは、怖がって近寄らないが。
これは、何かしらヒントが隠れているのではないか?
そんなことを考えた俺は、幼女を置いて、死体へと近寄っていく。
死体は、何やら、紙切れを、手に持っていた。
申し訳ない気持ちを持ちながら、紙切れを引っ張って、内容を確認する。
『31415』
数字だ。
よくわからないが、ただの数字だ。
……いや、ちょっと待てよ。
俺は、今までの行程を、思い浮かべた。
降りる階段の順番は、『31415』。
……今まで降りる順番の階段、『3番』『1番』『4番』『1番』『5番』が、書いてあるのであった。
「……なるほど、ここまで辿り着く道筋を書いたんだな~……。
そして、力、尽きた、と。
……出来れば更に先の情報まで、教えて欲しかったんだけど」
紙切れを、死体に返す。
「う~ん……これはもしかしたら、これから下にも更に、死体があるかも解らんね」
俺は、少し先を予測する。
ここに迷い込まされたのは、俺だけではないであろう。
そして迷わされた結果、帰れなくなった人たちも、多くいるはずだ。
そんなわけで、これより更に下の階層に進めば、先に進むヒントが残されている可能性は、十二分にある。
俺は、それらの人たちのヒントをハイエナのように漁って……。
そんなことを考えて。
思いついた。
「……あれ?
1階の人骨、調べれば、よくね?」