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深海の駅  作者: NiO
深海の駅
3/13

『サウスサンドウィッチ海溝』 -8,428m

 ……かくして俺……贄野(にえの) (こひつじ)は、チョロ幼女ひさげ あかりちゃんとともに階段を上り、改札口へと目指すのであった。


 地下から地上への階段を上り、自分(だれか)の吐き出したゲロを横目に、改札へと向かった俺たちではあるが。



#############



 ……改札の先は、シャッターで閉ざされていた。



 それは、まだ、良い。


 時間外に外からの侵入者を防ぐためなのだろう。


 しかし、しかし。




 シャッターの前にある(・・・・・・・・・・)大量の人骨は(・・・・・・)一体(・・)なんだ(・・・)






「ひ、ひぎいいいいいい!」





 あかりちゃんが蒼い顔で大声を上げて、うずくまる。



「ちょ、ちょっとそこで待ってて!」



 俺だって逃げ出したかったが、そうも言ってられない。


 残った酒のパワーで恐怖をぶん投げて、改札を飛び越えると、人骨へと近づく。


 ……本物……っぽい……か?


 本物の人骨なんて、祖父の葬式以来見ていないから、正直正誤なんて解らんが。


 それが、複数の改札を埋め尽くさんばかりに、こんなに大量に。


 本物にしろ(・・・・・)偽物にしろ(・・・・・)


 どちらにしても(・・・・・・・)正気の沙汰ではない(・・・・・・・・・)



 サッと骨を確認した俺は、続いて骨の山を駆け上り、閉じているシャッターに飛びかかる。



「誰かいませんか~!


 すみませ~ん!


 閉じ込められてしまいました~!」



 ガンガンと叩いてみるが、なんとも手応えが無い。


 そう、文字通り、手ごたえが無いのだ(・・・・・・・・・)


 なんというか、シャッターはその性質から、叩くとそれなりに揺れ動く。


 それが、全然揺れないのだ(・・・・・・・・)


 シャッターというよりも、むしろ壁に近い。


 ……なんだこれ(・・・・・)


 この空間は(・・・・・)何か(・・)おかしい(・・・・)




 少なくとも、待てど暮らせど、シャッターをいくら叩いていても。




 間違いなく外へは(・・・・・・・・)出られないだろう(・・・・・・・・)



 

 ……落ち着け、贄野(にえの) (こひつじ)



 この異常空間について、改めて考えなおすのだ。



 ここは、『魚安駅』。



 そう、魚をモチーフにした、駅だ。



 そして、駅の看板に書かれた、良くわからない、『日本海溝』を始めとした、『海溝』の記載……。





 ……待てよ。





 これは、つまり。



 ゴールは(・・・・)下にある(・・・・)



 即ち(・・)下に降りるのが(・・・・・・・)正解(・・)なのでは(・・・・)ないか(・・・)





「……あかりちゃん、行こう」


「うう?」



 俺は、幼女の手を取り、歩き出す。



「こひつじ、でぐちから、でないの?」



 幼女はタメ口であるが、気にせず言葉を続ける。



「……ああ、どうやら、出口は、ダメらしい」


「……そうなの?」


 幼女は疑問符を浮かべながらも、ついてきてくれた。


 ……本当にダメなのかは解らない。


 何が正解かも解らない。



 それなのに、俺は、少女とともに。


 どこまでもずぶずぶと(・・・・・)、沈んでいくこととなる。


 


 より深く(・・・・)深く(・・)



 水底の深淵へ(・・・・・・)

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― 新着の感想 ―
[一言] NiOさんの作品の中では結構神秘的な話かもしれないと思いました。
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