プリティエスト美幼女☆あかりちゃん!
『プリティエスト美幼女☆あかりちゃん!』から読み始めた読者様へ。
『プリティエスト美幼女☆あかりちゃん!』は本編の重要なネタバレを大量に含みます。
しかも本編読んでいないと、話の内容が全く分かりません。
本編から先にお読みいただくことをお勧めします。
俺の名は餌野ゴカイ。
プロのライセンスを持っているボクサーだ。
毎日毎日、人を壊す練習をしている。
いつもストイックな俺に、ジムの奴らも一目置いていることは、その対応で丸分かりではある。
しかし、彼らは知らない。
俺には、人には言えない趣味があるのだ。
それは……闇に紛れて、女子供を、力いっぱい、ぶん殴る、と言うものだ。
もちろん、足が付くような馬鹿な真似はしない。
絶対誰にも見られないように、絶対に証拠が残らないように。
そうやってストレスを発散することで、俺は厳しい練習や減量をこなすことが出来ていた。
それにしても、今回の減量は、本当に辛い。
ストレス発散が、したい。
ストレス発散しないと、耐えられない。
よし、今日、やろう。
もう我慢できない。
俺はそんなことを考えながら、来るべき夜に備え、拳を握りしめ、サンドバッグを叩くのであった。
#############
真夜中の、誰も通らない可能性もあるほどの、暗くて人気のない道。
俺はそこで、誰か来ないか、ウズウズしながら待っていた。
もしも誰も通らなかったら、どうするか。
普段であれば諦めてまた明日、という安全策を取るのだが。
今日の俺は、我慢なんて、絶対にできない。
バレても良いからどっかの家にでも忍び込んで、住人をボコボコにしてやろう。
そんなことを考えていると。
スタスタと、足音がした。
……小さな子供だ。
女の子。
非常に可愛らしく、ランドセルなんかを背負って鼻歌を歌っている。
胸の中に残ったわずかな良心が呵責してくるが、猛り狂った本能は、もう止められない。
顔の形が分からなくなるまでボコボコにしてやろう。
最悪、殺してしまっても、構わない。
俺は最速のステップで少女へ駆け寄り。
問答無用で全身全霊を込めた渾身の右ストレートを振り抜いた。
######################
「も~。
きゅうにおそって、こないでよ~!」
少女は「ぷんすこ!」と怒っている。
しかし、そんなことを言っても、襲ってきた相手は、聞く耳など持たないし。
少女の言葉を聞くような、素直な頭も持ち合わせていなかった。
少女の言葉に対して反論するつもりの口も無かったし。
更に付け加えるならば見る目が無かったとも言えよう。
……えーっと、比喩的に、と言うか。
物理的、に。
と言うわけで、頭部の無くなった男が、重力に負けて倒れるのを見ながら、少女は
「あ~じめんが、ちだまりになった~……さすがにばれるよね~……」
と、しょんぼりしていた。
人気が無くて、良い場所だったのに、これでは釣り場を移動しなくてはならない。
ああ、どうしてこんなことになったのか。
溜息を吐く少女の背後の暗闇で、バキバキボリボリと、何かを噛み砕く音が、聞こえた。
「せんそうのじだいは、よかったなぁ……」
何しろあの時代は食料が、毎日食べきれないくらいに、いくらでも転がっていたのだから。
しかし戦争が終わってからは、だんだんと治安が良くなっていき、食料採集がすっかり難しくなってしまった。
「うう、ぜんぜんたりない、よぉ~」
いつの間にか消失した首なし男が遺した血だまりの前で、少女は可愛らしくお腹に手を当てる。
食事の機会が少なすぎて、ここ数十年は慢性の飢餓に苦しんでいた。
「……なにか、あたらしいほうほうでも、かんがえてみないと、だめなのかも……」
がっくりと肩を落として、そう呟くと、少女の背後の暗闇が、『ゲップ』と、ひと哭きしたのであった。
……少女が。
『黄泉比良坂駅』に出会うまで。
……あと3日。
流石はプリティエスト美幼女☆あかりちゃん!悪いヤツは、ひとかじり!(善い人も
因みにこのタイトルが、新規読者様にこの小説を読ませるための疑似小体である、というオチ。