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第四話 二種族の間に生まれた卵
やっぱり……思った通りだ!
俺が開いたページに載っている、とある生物の卵。
その特徴は、雪のように真っ白な色をしている事と、ザラつきの一切ない滑らかな表面をしていること。
まさに、この卵の白い部分の特徴と一致している。
この事から分かることは……この卵は、水竜の卵の特徴とこのページの生物の卵の特徴を合わせもっているということ。
つまり……この卵は!世にも珍しい二種族の間に生まれた卵だということだ!
「ははっ!凄いな!二種族の間に生まれた卵なんて、実物は初めてだ!」
「……なあ、こいつ興奮しながらなんか言ってるけど、何言ってんだ?」
「卵について分かったのでしょう。聞いてみましょうか。すいません、鑑定士殿…………鑑定士殿!」
「うわっ!?あ。す、すいません……ちょっと自分の世界に入っちゃってました……」
声をかけられて我にかえる。
あまりに卵が珍しかったんで、卵の鑑定に集中してしまった。
完全に2人のことを忘れてしまっていたな。申し訳ない。
「いえいえ。それで、この卵について何か分かったようでしたが……何が分かったんですか?」
「ああ、実はこの卵は非常に珍しい二種族の間に生まれた卵なんです」
「二種族の間に……?」
「そういや、さっきもデカい声で言ってたな。結局、それって何なんだ?」
「えっとですね、二種族の間……つまり別々の種……例を挙げると、姿形の違う、魚と亀の間で生まれた卵、などと一緒ですね」
俺が説明をすると護衛の男性の方は『へ〜』と言って、納得したようだったが、依頼主の男性の方は、顔をしかめていた。
……?なにかしたのだろうか?
疑問に思っていると、質問が飛んできた。
「すまない。私の知識では、異なる種族での間に卵が生まれることは無い、と思っていたのだが……」
ああ、そういうことか。
「はい。それはある意味正しいです」
「ある意味?」
「はい。正確には『種族としての特色が離れている種族の間』には卵が生まれることは無いですね」
「特色が離れている……ようは、魚と鳥の間には卵が生まれない。と、言ったことだろうか?」
「その通りです。逆に言えば『種族としての特色が近い種族の間』では卵が生まれることがあるんです……まあ、確率はかなり低いですが」
「なるほど。つまりその確率の低い、二種族の間に生まれた卵が……」
「ええ。この卵です」
そう言って、水色の卵を撫でる。
水竜だけではなく、もう一種との間に生まれたから、水竜の卵の特徴……滑らかさが無かったんだよな。
気づけてよかった。
「んで?この卵は、何と何の卵なんだ?」
「一つは水竜でしょう。先程から鑑定士殿が、そうではないかと言っていましたから」
「そうですね。片親は水竜です。そして……もう片方も竜です」
「おいおい!!二種類の竜の卵ってことか!?」
「はい」
「それは、凄いですね。それでもう一つの竜は?」
「もう一方は……氷竜。氷を司る竜です」