10日目 流出
下ネタが苦手な方は、当話の閲覧をご遠慮ください。
10日目
定期汚染度検査開始
土壌:汚染軽微 放射能あり、域値下
水質:汚染軽微ーーー修正、汚染あり
………
………
「大変だアテンション、トイレが壊れた!」
『なんですって?』
「大変なんだアテンション……またトイレが壊れてしまったんだ……」
『頭頂部から脳液を垂らしながら落胆するのはおやめください』
「人間を模倣してみた。
私は今とても悲しい。
どうだろう、泣けているだろうか?」
『さて、またでございますか。
またお手洗いが故障したと。
また、でございますか』
「そうだ。
また何もしていないのに壊れた。
アテンション、あなたの整備が悪い」
『無礼を承知の上で、敢えて重ねて申し上げますが、失礼、あなたの大便は人間向けお手洗いの使用に向いておりません』
「………………」
『無言で脳液を撒き散らして抗議なさるのはおやめください』
「私はトイレが使いたいんだ」
『さようでございましょうとも』
「直してくれアテンション。
頼む! この通りだ!」
『素晴らしい!
それはジャパニーズドゲザ、そこまでされては直さぬわけにも参りませんね。
しかし一体なぜ、おまるや縦穴汲み取り式ボットン便所を拒むのですか。
あなたの大便は固形塊が多く水溶性ではございません。
水洗には適しておられないのですよ』
「自明だ。
流れていくのを見るのが楽しい」
『さようでございましょうか』
「毎日それを楽しみに生きてる。
水洗トイレがなくなったら私はその辺で結晶化して、この星が砕け宇宙空間に放り出されるその時まで目覚めるのをやめる」
『それほどでございますか』
「水洗は人間文化の最たるものだ」
『昔は人間も、その辺の通路に窓から排泄物を投げ捨てたり、一箇所に溜めておいて肥料に用いたりと、水に流しはしなかったのでございます』
「暗黒時代だ」
「汚物を踏まないための高い靴、ハイヒールなども発明された程でございます。
しかし時代は過ぎ、下水が整備されて以降は水洗が主流でございましたね。
快適なお手洗いをデリバリーするサービスさえありました』
「トイレをデリバリー!
素晴らしい。素晴らしい!」
『清潔性だけでなく、排泄音を隠す水音を流す装置を取り付けたり、調香に気を配ったりと、人間はお手洗いに対し様々な工夫を凝らしたものでございます』
「で、あれば今度の水洗トイレにも何か工夫を凝らしてほしいが?」
『善処いたします。
しばしお待ちを』
ライブラリ検索 お手洗い
修正案思考中:完了
DIYユニット駆動
製作開始
………
………
『いかがですかあなた様。
流れていく大便をよりつぶさに観察できるよう、配管俯瞰モニターをご用意いたしました』
「素晴らしいぞアテンション!!!」
『また、詰まり防止のため分解酵素を水洗に混ぜております』
「完璧だアテンション!!!」
『お褒めいただきありがとうございます』
「明日が楽しみだな」
『さようでございますね』
………
………
定期汚染度検査より考察
不明異星体大便および分解酵素による水質汚染あり
改善案:浄水場構築 要検討
10日目 完




