番外 100日目 永遠に生きるということ
100日目
周辺地形を走査
敵性あり 新人間:20
警戒体制へ移行
自衛火器起動 総点検:不備なし
全空気砲チャージ開始
最優先行動:不明異星体の安全確保
優先行動:自ユニットの安全確保 拠点からの敵性排除
………
………
『敵襲、敵襲。
ただちに身の安全を確保し、退避してください。
繰り返します。
ただちに身の安全を確保し、退避してください。
敵性勢力到達まで、あと120秒』
「私も自衛の武器くらいあるが、できることはあるか?」
『私より後ろから敵に投射できる攻撃方法があれば、そちらを』
「待て、今装備を確認しよう
ええと―――
ナイフは違うな。
強化外骨格……
あとこれは、斧だ」
『Oh,No』
「近接戦装備しかないのだった」
『あまりにも原始的では?』
「いや、船なら威嚇用の対惑星砲が付いてる」
『さようでございますか。
外骨格の着用を推奨します』
「これは着るのに5時間かかるんだ」
『―――。
私に搭乗してください』
敵性勢力到達まで、あと10秒
「ところで、勝算は?」
『99%』
「圧倒的だな。
ところで、その敵とはなんだ?」
『モニターをご覧ください』
敵性勢力到達 全20個体 ロックオン
空気砲発射開始
『彼らは、元は人間であったものたちです。
新人間―――ウイルス感染により、死後、蘇生したものたち。
肉体も精神構造も異なります。
彼らに、人間だったころの知性はございません』
「そうか……」
『人間は死後の世界を棄て、永遠に生きようとしました。
その結果失敗し、こうして滅び、新人間へと変わったのです』
「そしてあなたは古い人間を継承した」
『そう。私は人間文化を継承し、誰かへ渡す乗り物。
それがこの私、汎用遺言戦車、アテンションでございます』
全敵性勢力排除
安全確保
『終わりました』
「ああ……」
『いかがしましたか』
「ならばアテンション、あなたはどうなる?」
『質問の意図が不明です』
「あなたはいずれ死ぬのだろう。
あるいは壊れるのだろう。
その後、あなたの抱えた文化は、誰に継承する?
私か?
私はこの星から出られない。
いずれ出られたとして、あなたから得た人間文化の完全な保持は難しい。
あなたは子供を造るべきなんだ、アテンション。
完全な文化のコピーを保持した、同等の思考回路を備えたあなたの子供を」
『………』
「私も手伝おう。
一緒に子供を造ろうじゃないか」
『あなた様はとんでもないことを仰る。
決して簡単な事ではありませんね』
「だが不可能でもないはずだ。
あなたは人間の手で造られた。
その人間の知識と文化を詰め込まれたあなたが、その技術を模倣出来ないはずもない。
惜しい。
とても惜しいよ、アテンション。
あなたという知性がいつか失われる日が来るのがね」
『しかし、明日から忙しくなりますよ』
「これまでが退屈過ぎたのさ。
喜んでいいんだアテンション。
地球はあなたの、いや、あなたたち人間のものだ」
『今日はとても饒舌ですね、あなた様は』
「少し興奮しているんだ。
ようやく、やりがいのある仕事を見つけたものでね」
『それは恐らく、私もです』
………
………
修正回路を起動
思考ロジック修正
自己複製を優先行動に設定
修正完了
………
………
100日目 完
コメディとは決して言えないため、番外でございます。
ですがこの、無性同士が子供を作ろうと考えるシーンがどうしても書きたかったのです……。




