生体実験
20XX年
ある国の、ある地域がハリケーンに襲われました。
まれにみる巨大な勢力が猛威を奮い、
犠牲者は100人近くに。
ハリケーンが去ってから、
その国の政府は救援のために軍隊を派遣。
被災者を収容する「テント村」をつくり、
食事の供給等を開始しました。
課題は山積していましたが、「想定外」の問題が発生。
新種の伝染病が広がったことです。
救援に当たった兵士や軍医、衛生兵も罹患して、
致死率は50%超。
政府の保健衛生機関は病原体の発見に全力をあげましたが、
目的はなかなか達成されず。
被災地の住民は半数超が死亡して、
復旧後の地域経済にも多大な影響を及ぼしました。
この伝染病は災害から数か月後にようやく終息。
政府は軍隊にもかなりの人的損失がもたらされたことも重視して、
前述の研究機関にさらなる努力を要請。
謎の病原体がついに発見されました。
新種で、特効薬なし。
治療は対症療法だけ。
この病原体の出自については、さまざまな推察が。
最も有力な説は、
「既存の病原体が、何らかの原因で変異したのではないか」
ただし、この病原体は、その国には元来存在していない種類でした。
「外国から持ち込まれた?」
ごく一部の専門家が、日本の研究施設に輸送される途中で行方不明になった、
きわめて凶暴な病原体について言及。
可能性として、ゼロとは断言できません。
仮に、日本へ運ばれる途中に「消えた」病原体が、
ハリケーンで被災した国に持ち込まれたのか。
事態はもっとわるく、いくつかの国に分散して移送されたのか。
ハリケーンを「利用」した、一種のテロなのか。
対策・・というより、予測して封じ込める方法はあるのか・・
この件は、関係者や関係する国では極秘にされ、
マスコミには伝わらず。
国際的な機関では、WHO と IOC が秘密会でたびたび協議。
「トーキョーで不測の事態が起きるとお手上げ」
「大震災と重なると、壊滅的な被害は避けられない」
果たして、今後の成り行きは・・