第六話・助けて〜絵美奈からのSOS〜・前編
こんにちは。絵美奈です。
愛華と絶交しました。
でもこれホントは、彰吾が絶交しろっていったんです。
「愛華って女とかかわらないほうが良いと思うよ、絶交したら?」って。
でも愛華は、
「あたしは彰吾にいじめられてんの!!」
って言いました。
どっちがホントなのか、今から確かめにいきます。
あ、彰吾がいました。
「彰吾〜!!!」
「おお、絵美奈か」
「ねー彰吾、さっき愛華と絶交してきた」
「そっか、そっちのほうがいいと思うよ」
「でも、絶交って言ったら、愛華、[あたしは彰吾にいじめられてるんだ]っていったの。」
その言葉を聞いたとたんに彰吾の顔色が変わったのを、私は見逃しませんでした。
さらに追い討ちをかけるべく、次の言葉を発射しました。
「ねえ彰吾、彰吾はいじめなんかしないよね、そうだよね?」
「う・・・・・・・・・・」
彰吾は黙り込んでしまいました。
「やっぱり彰吾じゃないかぁ。誰が愛華をいじめてるのかな?いつかそいつをとっ捕まえてやる!!!」
その瞬間、彰吾が口を開きました。
「・・・・・・・・・だよ」
「え?」
「そうだよ、俺があいつをいじめてるのさ!しかし、ばれちまったならしゃーねえな。消す」
「え、しょ、彰吾?!・・・・・・・・もがっ!!!!」
突然鼻につんと来るにおいがした。彰吾がなんかハンカチみたいなので私の口と鼻をふさいでるのが見えた。
私はとっさに、持っていた携帯に登録してある、愛華のメルアドを呼び出した。
すばやくメール作成画面を出して、ある三文字を打ち込んだ。
―――さっき絶交しちゃったけど、まだ親友でいてくれる―――?
その思いを込めて、発信ボタンを押した。
でもそれが限界だった。
私は床に崩れ落ちた・・・・・。
「絵美奈・・・・・!?」
こんにちは。愛華です。
今、なんか絵美奈の身に異変が起きたかもしれません。
あたしたちは、どちらかの身にピンチがおきるとすぐに、なんとなくだけど分かることができます。
そして今、異変を感じました。
「絵美奈・・・・・・!!!」
あたしは数分前に絶交されたのも忘れて、走っていきました。
どこにいるかは分かりません。でも親友に何か起きたなら、それを救わない親友はいません!
――――――チャラランラン ラッララランラン♪―――――――――
「だれから?絵美奈からだ!!」
絵美奈からメールです。開いてみると・・・・・・
発信者:絵美奈
無題
本文
SOS
「SOSって・・・・・・・・・絵美奈が危ない!!!!」
気がつけば、あたしはもう、無我夢中になって町内中を走っていました。
後編へ、続きます。