第一話・決意
私は、上月愛華。小五のいじめられっこ。
またショーゴにいじめられると思うと学校には行きたくない。
でも、絵美奈と会えるから我慢していくんだ。
絵美奈―清水絵美奈は私の大親友。二年のときにできた友達で、唯一私を無視しなかった友達。違うクラスだから、休み時間ぐらいしか会えないけど・・・。
「あ、来たぜ。」「上月よ。頭いいふりしたパシリ。」「またショーゴがパシルな。」
私が来るといつもこう。今日も気にしない。気にしていたらきりがないから。
私だってこんな事言われたくはない。でも私はやめさせることができるほど強くもない。
「パシリ優等生だぜ、ショーゴ専属パシリ。」
私はパシリじゃない!!そう叫びたかった。でも今の私にはそんなこと言う権利はない。
「ガラガラッ!!」ドアが開く。この乱暴な開け方はきっと・・・
「よう、パシリ優等生。今日もウザイ顔で本読んでんなあ」
七打彰吾。私をいじめるいじめっ子。世界で一番消えてほしい男。
こんなのが生きているだけで許せない。私はいつもそう思う。
いつもはこいつから目をそらすけど、きょうは彰吾の目を真っ直ぐに見てやった。
「何だよ、その目は。俺に喧嘩売ってんのか。なら、お望みどおり新学期早々ボロボロにしてやるよ」
「え、きゃああああ!!」
なにこれ、今までと違ういじめのやり方。いつもよりも彰吾が怖い。
「・・・やめっ、やめて、いやあ、いやあああああああ!!!!!!!」
数分後。
私は三年のときのいじめと同じことになっていた。
新しい教科書は破られもうすでにに読めない状態に。さらに油性のペンですべてのページに落書きがしてあって、解読不能になってしまった。
ランドセルはボール扱いにされてボロボロに。
私もバケツの水を三杯かけられてビショビショ。
誰も止めない。助けようといない。みんな見てる。笑いながら見ている。
「水も滴るいい女ってか?笑えるぜ」彰吾が言う言葉も耳に入らなかった。
許せない。何で私がいじめられなきゃいけないの?何で私だけ?何で?何でよ・・・?
放課後。彼女―愛華の思いは変わっていた。
許せない!あんな奴野放しにしておくのがいけないのよ!
あんな奴いなくなれば―そうすれば私だっていじめから脱出できる!
私だって―私だって絵美奈と一緒に遊んだり笑ったりできる!
許さない。あんな奴、この世から全滅させてやる!私が、私が消してやる!
それまでは、絶対に許さない。
絶対に―――――――!!!!!!!!!
眼鏡を掛けた女の子の目は、優しい目から、冷酷な目に変わっていた。
女の子は、冷酷な微笑みを浮かべ、教室を去った。
その微笑みは、氷のように冷たかった。
次回、愛華は何をするのでしょうか!?
次回、お楽しみに!