第十話・詩の著者は
―――――パワフルにパワフルに勝ち抜いて
―――――クールにクールに生き抜いて
―――――変わりたいならさあおいで
―――――きっと貴方は変われるよ
―――――鋭い目をした暴力少女に―――――
パタン。
「こんな詩も・・・・あったんだ・・・・・」
あたし愛華は、そういってため息をつきました。
今は読書の時間。
あたしはたまたま見つけたこの『こころのなかの詩』という本に載っている詩を、読んでいるところです。
「でも・・・」
あたしはまた本に目を落としました。
「こんな詩、初めて・・・・」
そう。
この詩のタイトルは、『暴力少女』と言うもの。あたしは、そのタイトルにも驚きましたが・・・・
この詩の内容。
まるで、あたしみたい。
いや、華麗じゃないんだけどね。
全部を読んでみると―――――
“暴力少女 kai Minezaki
暗黒の森にて 少女が目覚めた
冷酷な目をした 華麗なる少女
その子は 昔いじめられてた 心の傷を受けた
昔のことは 心の奥に閉じ込めて 新しい未来に目を向けよう
彼女を苦しめた奴等に 復讐を誓いながら
パワフルにパワフルに勝ち抜いて
クールにクールに生き抜いて
変わりたいならさあおいで
冷たい目をした暴力少女に
あなたもきっとなれるはずだよ
誰よりも強く
誰よりも冷酷で
誰よりも空しい
独りぼっちの 暴力少女に ”
空しくて 冷酷で 強い
そんな少女になりたいならば
おいでなさい 私の元へ
こんな内容かな、まとめると。
「あれ・・・愛華ちゃん?」
「うへぇ!?・・・ああ、あの時の!!」
「驚かしちゃったかな」
そう・・・・あの、トラックに轢かれそうになったあたしを助けてくれた、身元不明の男の人だった。
「あ、その詩、僕も気に入ってるんだ。なんか現実感あるよね」]
「はい!・・・・・あ、そだ」
「ん?」
あたしは、一番気になっていたことを、聞いてみることに。
「あなたの・・・名前は?」
すると、その人はにっこり笑いながら、こう答えた。
「嶺崎カイ。僕は、嶺崎カイさ」
「みねざき・・・・カイ?」
どこかで聞いたことがある名前。なんだろう・・・・・
嶺崎カイ。
この名前は、愛華が「聞いたことがある」といった名前だ。
しかしそれは、正しい表現ではない。
正確には、「見たことがある」又は「目にしたことがある」だ。
だって。
その名前は。
「暴力少女」という詩の、著者の名なのだから。
kai Minezakiとなっていても、愛華の目は見逃さなかったようだった。
休載解除です!
まあこれからは超ゆっくり更新ですが笑