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大罪の魔神王  作者: ひなた 奏
序章 新たな魔神と新たな勇者
6/21

6話 異世界へ

ここから勇者側のエピソードになります。

楽しんでいただけたら幸いです。

それでは、どうぞ!

 都立・光翔学園。偏差値70と日本屈指の高校だ。だが、それだけではない。光翔学園には、特別クラスというものが存在する。

 特別クラスとは、成績優秀者上位3名と学内で最もスポーツに秀でた2名の合計5名で構成されているクラスである。


 もしも、光翔学園の特別クラスに入ることができれば将来に困ることはないとまで言われている。事実、特別クラス出身の殆どがどこかしらの社会で成功を収めている。


 そのような言わば規格外の5名の生徒を纏めている担当教師は、ハーバード大学を首席で卒業した新垣アリスだ。名前の通り日本人の夫とアメリカ人のハーフで黒髪であるがその目はアメリカ人のように青い瞳をしている。尚且つ、スタイルも良く人柄も良いため生徒には人気の教師である。


 特別クラスでハーバード大学を卒業したアリスを採用したのには理由がある。特別クラスでは、全ての教科を担当教師が受け持つからだ。


「皆さん。おはようございます」


 言いながらアリスが教室に入ってくる。


『おはようございます』


 その挨拶に5人は同時に答える。


「わかっていますが、出席をとりますね。音無礼音さん」


「はい」


 音無礼音。光翔学園生徒会長で成績は1位。更に、スポーツもできる完璧超人だ。黒髪の乙女で大和撫子を体現したような美しい容姿をしている。そのため、非公認ファンクラブが存在する。


「来潮咲良さん」


「はい」


 来潮咲良。古くから存在する武家・来潮家の一人娘。剣術にのみ打ち込み、剣道、居合道など剣を扱わせて彼女の右に出る者はいないと言われるほどの剣の才女。


「神童神威くん」


「はい」


 神童神威。三度の飯よりも神話が好きな天才高校生。生徒会副会長を務め、成績は2位。将来は、学者になると公言しており、それは確実と言われている。


「咲山穂乃花さん」


「はい」


 咲山穂乃花。弓道の名家・咲山家の長女。咲山家の最高傑作と言われる程弓が上手い。その腕前は、弓を射させたら必ず必中させる程。弓道のお蔭か姿勢が良く、顔も整っているのでたまに読者モデルで紹介されている。


「月詠光くん」


「はい」


 月詠光。ロシア人の父と日本人の妻との間に生まれたハーフ。父の血をより濃く受け継いでおり、白がかった金髪と青い目が特徴である。成績は3位で、あらゆるスポーツをそつなくこなし、カリスマ性もある。それに加え、超絶イケメンなため、男版音無礼音と裏では呼ばれている。もちろん、非公認ファンクラブが存在する。


「はい、全員出席していますね」


 アリスが出席簿をぱたん、と閉じる。

 1時間目は数学だ。アリスが数学の教科書を取り出し、開く。

 同様に、礼音たちも数学の教科書を開く。


「それでは、1時間目の数学の授業を始めます」


 1時間目の数学がアリスの声と共に始められたその瞬間、教室の床に幾何学的模様――魔法陣が現れた。


「な、何ですか? これは!?」


 いの一番にアリスが疑問を口にする。

 その後、礼音たちが疑問を口にする暇もなく、魔法陣が一際明るく光ると教室にはもう誰の姿もなかった。


 ◇ ◇ ◇


 光が収まると、礼音たちは上下左右全てが白で染め上げられた不思議な空間にいた。


「……ここは?」


 何気なく無意識に呟いた礼音の独り言に答える者がいた。


「ここは【神界】です。よくぞ、来られました勇者たちよ」


 この空間と同じされど溶け込むことはなく存在感を放っている白髪とルビーよりも美しい紅眼を持ち、ペプロスのような衣装を身に纏ったこの世のものとは思えない美貌を持った女性がどこからともなく現れた。


 礼音たちは思わず見惚れてしまった。


「あの、貴女はどなたなのでしょうか?」


 一番早く復活したのは光だった。さすがイケメン。美人を目の前にすると、行動力が違うのだ。

 ふふっ、と優雅に笑ってから女性は答えた。

 その姿に見惚れるのは仕方のないことだろう。


「自己紹介を忘れていましたね。私はアステナ。【カルゲン】の時と空間を司る女神で神の一柱です」


 すると、礼音たちの頭のなかに【カルゲン】の情報が入ってきた。

 魔物や魔王が存在し、魔法と剣の世界であること。

 人族を中心とした連合軍と魔王が戦争を続けていること。

 その戦争の切り札として礼音たちを召喚したこと。

 そして、レベルやステータスがあり、それらの確認の仕方。


「今、あなた達にこれから行ってもらう世界【カルゲン】の基礎知識を授けました。しかし、それだけでは、すぐに死んでしまいかねないので、私の権限であなた達に見合った力を授けます」


 礼音たちは何かが自分たちの中に入ってくる感覚があったが、特に不快感や違和感はなかった。アステナがそれぞれに見合った力を授けてくれたからだろう。


 アリスが一歩前に出てアステナに頭を下げる。


「力を授けてくださりありがとうございます。しかし、私たちにはまだわからないことが多くあります。申し訳ないのですが、質問をさせていただいてもよろしいでしょうか?」


 感謝を述べた後にお願いをした。しかし、アステナはそのお願いを申し訳なさそうな顔をして断った。


「申し訳ありません。答えてあげたいのですが、もう時間がありません。これ以上ここに滞在されるとあなた達が時空の狭間に閉じ込められる可能性があります。しかし、ご安心ください。召喚先には私の使徒がいますので、その者に説明をお願いしています」


 時空の狭間に閉じ込められると聞いた時はひやっとしたが、きちんと説明する人がいると知ってアリスは納得する。


「それでは、あなた達を【カルゲン】へ転移させます。どうか、私たちの世界を救ってください」


 再び、礼音たちの足元に魔法陣が現れ、【神界】から礼音たちの姿が消えた。


 礼音たちがいた場所をアステナは見つめる。


「どうか、魔神が再び地上を蹂躙する前に魔王を、――ッ! まさか、すでに!? ありえない。あの者は今異なる世界にいるはず……。しかし、この魔力の波動は、少し異なるけれど……魔神、の、もの」


 その呟きは誰にも聞かれることはなかった。

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