3話 預言と魔王と四天王
出来るだけ定期的に投稿していきたいですが、不定期になる恐れがあります。
ご了承ください。
それでは、どうぞ!
『青き月と赤き月が交わり、一つになる時。真なる魔の王が現れ、全ての魔の者たちを導くであろう』
かつて魔の神として君臨し、破壊の限りを尽くした魔神・ラプラスが、女神族との戦争に敗北し、【カルゲン】の神によって異なる世界へと送られる時に魔族に託した預言である。
魔神・ラプラスが異なる世界に送られてから500年が経った神暦3178年。
ついに、全魔族が待ちに待った時がやってきた。
「この時をどれほど待ちわびたか……! 我が父、【魔王】フェロンより魔神・ラプラス様の預言を受け継ぎ早40年。まさか、私の代で預言が現実のものとなろうとは……!」
金髪の【魔王】フェリグリスは魔王城の地下にある【魔神】ラプラスが残したとされる巨大な魔法陣に向かうため階段を降りていた。
その後ろに付き従うのはフェリグリスの秘書である青い髪をした魔族のデルガ。魔王軍四天王の一人に数えられ、武、文共に非常に優れた魔族である。
「現在、我々魔王軍と人族を中心とした連合軍は膠着状態。やはり、魔神様はこの状況を見越して預言を残してくださったのでしょうか」
魔族は、数は他の種族よりも少ないのだが、他の種族(女神族を除き)よりも優れた身体能力と魔力を持っている。そのため、魔王軍と連合軍との兵数が数倍であろうとも膠着状態を保てているのだ。
「……かもしれないな」
フェリグリスが答えると同時に階段がなくなった。目の前には、質素だがとても堅牢で、圧倒的な魔力に満ちた扉が存在している。
この扉は、【魔神】ラプラスが直々に作成したとされている扉だ。魔王とその魔王に認められた者しか入ることが許されていない。
フェリグリスが扉に手を触れ、魔力を流すと、静かに、そしてゆっくりと扉が開いてゆく。
登録された者の魔力を識別し、自動的に開閉する扉は、現在では再現不可能な失われた魔道具【アーティファクト】である。
扉の先には巨大な空間が広がっている。壁には等間隔に光の魔法が刻まれた魔道具が設置されている。その巨大な空間のおよそ8割の床に魔法陣が描かれている。
その魔法陣の奥に3人の魔族がいた。入ってきたフェリグリスとデルガに丁度向き合う形だ。
3人の魔族は一斉に頭を下げる。
「お待ちしておりました。魔王様」
フェリグリスから見て右端の赤髪の魔族が代表してフェリグリスに声を掛ける。
この男は魔王軍の主力『武』の軍を任されている将軍、バイガスである。炎属性に最も長けており、炎の上位属性である爆属性も自在に操ることから『炎爆王』と呼ばれている。魔王軍四天王の1人である。
バイガスの隣にいる緑髪の魔族は、クミトス。ユニークスキル〈鳥かご〉を持つため『鳥かごのクミトス』と呼ばれる。前線に兵糧や物資などを送る『運』の軍を任されている将軍である。もちろん、魔王軍四天王の1人である。
左端の茶髪の女魔族は、スイカ。岩属性に最も長けており、岩の上位属性である星属性も長けていることから『星の魔女』と呼ばれている。スイカに任されている軍は、隠密を担当している『隠』の軍である。そして、最後の魔王軍四天王である。
「うむ」
フェリグリスが魔法陣の前に移動すると、バイガスたちはフェリグリスの後ろに移動する。
ちなみに、フェリグリスは、魔族史上最強の天属性(雷属性の上位属性)の使い手と言われており、その気になれば山をも一撃で吹き飛ばせる。そのため、『天雷の魔王』と呼ばれることもある。
デルガは、水属性の上位属性の氷属性を扱わせたら右に出る者はいないため『氷結帝』と呼ばれている。
そうこうしていると、遂に魔法陣が起動し、幻想的な光と共に立体的に展開されていく。
「いよいよか……」
フェリグリスが呟くと、デルガたちも頷く。
そして、最後に新たな縦向きの魔法陣が形成され、そこから白髪紅眼の少年が出てきた。
「よくぞ、来られた。真なる魔の王よ」
早く戦闘描写を書きたいです!
次話ぐらいに入れられるかもしれません。
8/15 『魔の者たちを導くであろう』→『全ての魔の者たちを導くであろう』
8/17 魔王や魔神に【】を付けました