1話 全ての始まり
作者の処女作です。アドバイスや訂正など大歓迎です! 不定期更新です。
宜しくお願いします!
それでは、どうぞ!
影里怜は引きこもりである。中学生の頃、怜はイジメを受けていた。だが、それを誰も信じなかった。それは、イジメを行っていたグループのリーダーが、大手企業の御曹司だったからだ。
両親も、担任も、クラスメートも。怜の周りには味方はいなかった。挙句の果てには、怜が例の御曹司を貶めるためについた嘘だ、とまで言われた。
それからだ。怜が人間を信用できなくなり、引きこもるようになったのは。
そんな怜の唯一の楽しみが圧倒的なプレイヤーの自由度と現実のような動作、映像のために世界的大ヒットとなったVRMMORPG〈ブレイブソード・オンライン〉だった。
〈ブレイブソード・オンライン〉通称-BSOを怜はソロで楽しんでいた。
そんなある日、BSOをプレイするために目元を完全に覆うハードを被った怜は、自身にメールが届いていることに気が付く。
「運営からのお知らせか?」
完全ソロプレイヤーである怜にはいわゆるゲーム友達がいない。そのため、届くメールは運営からのもののみだ。今回もそうだろうとメールを開き、本文に目を通すと怜は絶句した。
「何だ……これ……?」
『おめでとう! やはり、君は僕の見込んだ通りの人間だった。君は、人間が信用できないのだろう? 自分だけが信用できればそれでいいのだろう? そんな君に朗報だ。君を僕がいた世界【カルゲン】に転移させる。もちろん、オプション付きでね。そこで君は好きなように生きればいい。どう生きようと君の自由さ。では、頑張ってくれたまえ』
読み終わると同時に、怜の視界は黒に染まり、意識を失った。
意識を失う数瞬前、
『また会えることを楽しみにしているよ』
という声が聞こえた気がした。
◇ ◇ ◇
地球のどこか。光源がパソコンの明かりだけの薄暗い部屋に二人の男女がいた。
「本当に良かったのですか? ラプラス様。この世界の人間を送って」
自然な青い髪をした女性が目の前の椅子に座る10歳程度の少年にみえる男に問う。
「いいのさ。彼も向こうにいた方が幸せだろう。それに、面白そうだしね」
黒髪の男-魔神・ラプラスはくつくつと笑いながら答える。
女性はラプラスの後ろで溜め息をついているが、ラプラスは無視して呟く。
「早く僕たちを呼んでくれ。我らの王よ」