イチワ 平凡
「ただいま。」
誰もいない家に帰りを伝える。親父は会社にいるため家にはいない。
自分の部屋にカバンを置き制服から部屋着に着替えた後リビングに向かう。
机の上を見ると夜食が置いてある。親父は男なのに料理がうまい。
「はぁ」
深いため息をつきながら夜食を温める。ため息の理由は単純に平凡な毎日が嫌だからだ。
学校はただ単につまらない。俺は友達がいないため特別楽しいこともないからだ。俺は昔から好奇心が強い。俺の母はとても好奇心が強くどんな事でも最後までやり通す人だったという。親父は俺には『母』の血が流れているからだと笑われた。確かにそうかもしれない。
「人生は楽しんだ者勝ちだ、って誰か言ってた様な。」
チン
温まった夜食を取り出し食べる。
夜食を食べ終わった後はお風呂に入ったり歯磨きをしたりして宿題を終わらせてから寝る。それが毎日の習慣だ。
(明日はもっと楽しい日になりますように。)
そう願いながら眠りに落ちた。
朝起きるとすぐに朝の準備をする。そして家を出る。いたって平凡な毎日だ。朝食を食べ終わり玄関を出る時、親父に
「行ってきます。」
と言うと
「おう。行ってらっしゃい。」
と帰ってくる。そしてそのまま学校に向かう。これが最後の親父との会話になるとは思ってもみなかった。学校に着くと階段を上がり自分の教室へと向かう。
(またつまらない日が始まるな。)
そう思いながらクラスメイトが待つ教室の中へと入る。すると
スッ
(!?)
周りがいきなり暗くなる。俺は混乱してすぐに部屋を出ようと後ろを向いたがドアがない。すると今まで教室だったところがいきなり茂みができ始める。
(なんだ?何かのいたずらか?)
最初そう思って周りを少し歩いてみたが何もない。そう、何もないのだ。
暗闇のなかに何かあるわけでもなく本当に何もない。あるのは茂みぐらいだ。
そして話はゼロワの冒頭に続く。
「あなたがここに来た理由、それはあなたは『エモーションゲーム』という、ゲームの参加者に選ばれたためです。」
(ゲーム?)
「ゲームとはどう言う事だ?ここはあの世だろ?」
「いぇ。確かに現世で言うと一番近いのはあの世ですが、実質は違います。」
「どう言う事だ?」
「つまり簡単に言うとここは現世とは全く違う別次元。つまり、ここは『エモーションゲーム』の会場です。」
「なるほど。」
つまりここは現世とは全くの無関係な場所。そしてエモーションゲームの会場。
「『エモーションゲーム』とはなんだ?」
「やっと聞いてくださいましたか。」
紳士は待ちくたびれたという顔をする。それにしてもこいつの顔。よく見ると不気味だ。肌は真っ白、いつもニヤニヤ笑っている。正直言うとホラーゲームなどに出て来てもおかしくないほどだ。
「さて、それではエモーションゲームについてお話ししましょう。エモーションゲームとは、簡単に言うと『殺し合い』ですね。」




