異能の力を行使できる聖剣は、人に何をもたらすのだろうか?
その夜、無数の流星が大地に降り注いだ。
不思議なことにそれら流星が落ちた先には「剣」が落ちていた。
それら剣を用いると「異形な力」を使うことができた。
人間が本来持つ「武力」をはるかに凌駕する力を行使できるそれら「剣」は
その大地に社会体制の崩壊と戦乱をもたらすことになった。
それら剣は「空からの贈り物~聖剣~」と呼ばれた。
-流星落下から8年後-
「ロイ、あれが教皇直属の聖剣回収隊だぜ。」
ウルフガ峠の麓の商業都市「ケべル」まで20km手前にある街道に、歩兵と騎馬隊で構成される軍隊が行進しており、その行進を草むらの陰から二人の青年が見ていた。
そのうちの一人カロッカはその軍隊をみて、伏し目がちのもう一人の青年ロイに話しかけた。
「やっぱりケベルに聖剣が現れたって噂は本当らしいな。目算通りついていけば
おこぼれもらえるかもしれないな。」
「......。」
「もう諦めろロイ。回収隊は聖剣だけではなくその都市の金も食料も塵も残さずに回収するから、お前の故郷は助からない。それよりもそれらはどこにあるのか、お前の土地勘当てにしているぜ。」
軍隊の最後尾である義勇軍と呼ばれる傭兵部隊が、彼らの隠れていた草むらを通り過ぎた。
「よし、今だ。潜り込むぞ。」
二人は義勇軍の後尾にとりついた。非正規のため統率のとれていない傭兵部隊は二人の事など気にも留めていない。むしろ戦力は増えるのは大歓迎だ。
カロッカはその点を熟知しているのか、目つきの悪い無精髭の傭兵に遠慮なく話しかける。
「今回の遠征は随分と大所帯ですね。ケベルに現れた聖剣使いって単独ですか?
それでどんな能力なんです?」
カロッカは人の懐に入るのが上手い。傭兵も悪い気がしなかったのか口を開く。
「なんでも光を放つ剣らしいぞ。切られた奴は青い光を放って死んでしまうらしい。」
「何だって?」
めったに口を開かないロイが大声をあげて反応した。