表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/29

初日の壁

「ここがレンくんのお部屋ですか。殺風景なところですね」

「しょうがないだろ。置く家具もまともにないんだからよ」

俺たちは今、俺の新居にいる。

俺は、ノア副団長との決闘に敗れた後、グロアリス軍が日々訓練を積んでいる修練場の敷地内にある、寮と呼ぶべき場所に引っ越すことになり、俺のお城生活は早々と終わりを告げた。

「では、今度家具を揃えに行きましょう。服も揃ってないようですし」

「よろしく頼むよ。俺、一文無しなんでね」

「全く、しょうがないですね。レンくんは」

そんな会話をしていると、玄関の外から声が聞こえてくる。

「レン、集合の時間だ。ま、あんたはまず走り込みからだけどね」

扉の隙間から顔をだすノアに返事をしながら玄関を出る。

「悪いな、カレン。俺もう行かないといけないから、また今度な」

寮をでて横のグラウンドにいくと、同じ制服を着た人達が集まっている。

多くは男性だが、ごくわずかに女性も混ざっている。どこの世界に行っても女性は強いのだろう、そう思って苦笑いを浮かべる。

「じゃあレン、君はまずグラウンド100周からだ」

桁が一つ多い気がしたが、気のせいではないらしい。

ノアが皆のまえに立ち、訓練を仕切っている。整列をすると後ろの俺には姿が見えない。

皆が剣の素振りをする周りを、俺はひたすら走り続けた。はじめはやる気満々の俺だったが、未だに10周目の俺は酸欠で倒れそうなほどにヘトヘトである。

走り始めたのはまだ日の位置が高かった頃だったと思うのだが、すでに空はオレンジ色に染まり、影は長く伸びている。

残り2周なのだが、棒のように硬くなった足を必死に動かしても全然まえに進まない。

先ほどまで訓練をしていた兵士たちも、寮へと戻っていった。

結局、俺はその後とてつもない時間をかけて2周を完走した。

「まさか、走りきるとはねぇ。根性だけはあるんだな」

「そう、だな」

どこからか現れたノアに返事をするも、息が切れて言葉が出ない。

「今日はもう休みな。こんなんでへこたれてたら、私たちにはついてこれないんだからな」

そう言ってノアは、俺を部屋まで送り届けてくれた。

「そういえば、横に見えてた小さな集団は何なんだ?」

俺たちとは違う制服を着た奴らが、訓練中に横を通ったのだ。

「あぁ、あれはビスティリオス軍だ。グロアリスの誇る最強の戦力。私たち選抜隊をはるかに上回る実力を持ってる」

そんなものがあるのかと、疲れ切った俺は右から左へと音が通り抜けてしまった。

部屋に放り込まれた俺は、そのままベットで爆睡してしまったのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ