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異世界から転生したけど出戻りしました。  作者: 阿弥陀
1章 出戻り英雄譚の始まり
8/13

7話 ステータス

遅れました、地味に難産でした(主にステータス)。

なので頑張っていつもより少し長めにしました。

どうぞお楽しみください。

のほほんと紅茶を飲んでいたアルールだが、チラッと勇士とカイアのほうを向く。

そしてフムッと顎に手を置くと一瞬何か考えると、手をポンと叩いた。


「剣様は魔術を使ってみたいのですね?でしたら、どんな魔術に適性があるのか調べてみませんか?」


「本当に!?今、適性調べて貰えるんですか!?」


カイアの手をブンブン振っていた勇士がその言葉を聞くなり、すぐさま手を離しアルールのほうへ向く。

手を離されたカイアは微妙に残念そうにしているのは目の錯覚ではあるまい。

また一人、勇士の毒牙にかかってしまった乙女が誕生してしまった。

まあ、あんまり関わることもないだろうし犬に噛まれたと思っておいたほうが良いと思うぞカイアさん。


「はい、調べると言うより確認と言う程度ですけどね。ただ一言『ステータス』と唱えてみてください。あっ、他の皆様も唱えてみて下さい。自分に起きた変化を知っておいたほうがよいかも知れません」


「『ステータス』!!」


「変化ってどういうことでしょう?」


変化と言う言葉に人一倍敏感に反応する水鳥。

知らない内に自分の身に何かが起こっていることに恐怖することはさも当然のことだろう。

そしてそれが伝播し、いつもは強気な涼子やポワポワしている榊も少し不安そうにしている。

しかしアルールはそんな水鳥達に優しく話かける。


「大丈夫ですよ皆様、変化と言っても悪い物ではありません。世界を超え、その身を昇華させた皆様は今まで使えかった、いえ、使えないはずの力が備わっているはずです」


「すごい!!本当にゲームのステータス画面みたいなのが見える!!」


「本当に大丈夫なんですね?」


「はい、この召喚の第一責任者として保証します。もしも悪いことがおきていても、私の身を削ってでも責任を持って事に当たらせていただきます」


そう言いながら、力強い眼差しを水鳥に向けるアルール。

水鳥もそんな眼差しに安心したのか頬を緩める。



「分かりました、アルールさんが嘘を言っているようには思えません。確認するのは怖いですが・・・・『ステータス』・・・・」


そうゆっくりと一字一句丁寧に唱える水鳥。

何か思う所があるのだろうが、そこは俺ではなく彼女の勇者様に任せるとしよう。

というかスルーしたが勇者様よ、唱えるの早すぎはしませんかねぇ・・・・

そしていちいち大声ださないでくれませんか?

大事な話をしているのに台なしだよ・・・・


「勇士五月蝿いわよ!ったく・・・・アルール、アタシも信じてるからね!それじゃあ唱えてみるわ!『ステータス』!」


「私も~『ステータス』~」


ほらみろ、雷様が落ちた。

ゴンッと鈍い音がなり、床にうずくまる勇士。

言わずもがな涼子のゲンコツが落ちただけだけどな。

しかしそんな勇士を膝枕で介抱し始めるカイア。ほんと完落ちするの早すぎませんか?

皆、自分のステータスに夢中になっていてその光景に気付いていない模様。

どちらも役得だな、畜生!

痛みが引き、膝枕されている事に理解した勇士はデレッとしてるし、カイアはそんな勇士の頭を愛おしげに撫でている。


「あっ、一つ言い忘れたことがあります。皆様が見ているステータスですが基本自分にしか見えない物なので、確認が終わりましたらなにが書かれていたのか教えてくださいね」


アルールがそう言うとまだステータスを確認していない俺以外がステータスを見据えながら首を縦に振る。

何故まだ俺がステータスを確認していない理由。それは他の皆のステータスを見ているからだ。

アルールも言ったが基本、他人のステータスは見ることが出来ない。

よって例えば冒険者がパーティを組む場合、仲間になった者に自己紹介する場合、自分の技能を自己申告をすることになる。

しかし所詮自己申告なので偽ることも隠すこともできるので、地雷には注意する必要がある。

誇大に言っているただの莫迦なのか、それとも爪を隠した鷹なのかを。

まあ、冒険者になることは今のところないのでいらない情報だけどな。それで話は戻すが基本見れないとは言ったが何事にも例外がある。

そして俺がその例外にあたる。

ステータスの魔術はステータスを唱えることによって補整された魔力を自身に意図的に流し、感応して帰ってきた情報を唱えた本人にしか見えないスクリーンを作りだし写し出すという一連を纏めた魔術である。

しかしだ、何故ステータスが個人の物差しではなく、規格化された数値や項目が画一的に表示されるのか。

その答えが俺が他人のステータスを見ることができる理由だ。

一般的に公開されているステータスの魔術の効果は先に説明した通りなんだが、実は他に隠されたというか、普通の人間には知り得ない効果がある。

一般的に感応してスクリーンに写し出すという事になっているが本当は少し違う。


この世界には魔力が満ちている。

そしてその魔力はネットワークとなって世界に存在する全ての情報を取り込み、世界そのものを使った、例えるならパソコンのサーバーに常時送信し、そのサーバーが対応した項目を規格化して数値化し、その情報をスクリーンに受信して写し出しているのだ。


サーバーにはその情報を保存する機能が勿論あり、このネットワークは全ての物の情報をサーバーに流している。

つまりステータスの情報以外にも、物を鑑定する『鑑定』の魔術など情報を介する魔術の情報もあるのだ。

そして何よりサーバー自体が『ステータス』や『鑑定』の魔術の魔法陣ともなっている。

なので魔術を使ったことのない勇士達も簡単に唱えることが出来た。

そして俺は、いや俺達はそのサーバーにアクセスし保存されている情報を閲覧することができる。

何故俺がその情報を閲覧できるのか、それについては詳しくは長くなるのでかい摘まむと、前世の俺がこの魔術やサーバーを作るのに携わった一人だからだ。

詰まるところ、普段本人しか見れない情報とは、逆にその他の項目を見れないだけのゲストユーザーな訳だ。

そして俺達は開発者、つまり管理者なので全ての情報を見ることができる。


そしてアルールも俺と同じ数少ない例外の可能性がある。

彼女が前世からの知り合いならば十中八九、彼女もこれの管理者なのだ。

内容を教えて欲しいと言ったのも他人のステータスが見えるということについてのカモフラージュなのだろう。

まあ長々説明したがつまりまた、色々思い出してアルールに対しての警戒は益々強くなったと言うことだ。

そして肝心の勇士達のステータスといえば、

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剣勇士 16歳 男

レベル:1

素養:異世界武術[威神流闘技門下:刀]・虹色(こうしょく)の勇者[魔術適正:二極四元属性]

[基本外魔術適正:魔力剣][魔術耐性:二極四元属性][回復補正:体力・魔力・状態異常]

[聖剣適正][聖鎧適正][聖盾適正]

技能:威神流闘技[刀術]

特記事項:異世界人・召喚昇華・勇者・言語理解

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金井涼子 16歳 女

レベル:1

素養:異世界武術[威神流闘技門下:拳]・明暗分(めいあんわかつ)巫女[魔術適正:二極属性・火・風]

[基本外魔術適正:付加][魔術耐性:二極・火・風属性][回復補正:魔力・状態異常]

技能:威神流闘技[拳術]特記事項:異世界人・召喚昇華・言語理解

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水鳥香織 16歳 女

レベル:32

素養:グランディア武術[スティード流剣術門下:細剣]・清廉の聖母[魔術適正:光・水・風・土]

[基本外魔術適正:回復・譲渡][魔術耐性:光・水・土属性][回復補正:体力・魔力・状態異常]

技能:スティード流剣術[細剣術]・習得済中級魔術[土・譲渡]・習得済上級魔術[光・水・風・回復]

特記事項:異世界人[異世界転移者の子孫]・召喚昇華・言語理解

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榊恵美 17歳 女

レベル:1

素養:普天の魔女[魔術適正:二極四元属性][基本外魔術適正:生成][特異魔術適正:融合]

[魔術耐性:二極四元属性][回復補正:魔力・状態異常]

特記事項:異世界人・召喚昇華・言語理解

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HPやら筋力などの能力値が載っていないのは、確認できてしまうとそこで満足し人々が鍛錬をせずに堕落するのを防ぎステータスの能力値だけで物事を判断しないよう、この世界のステータスにHPや筋力の能力値はあえて数値化せず、それらは自身の感覚で確かめるようにしているからだ。

しかし勇者な勇士はともかく他の奴らもすさまじい素養を持っているな。普通、魔術適正などは一人0~2つ程度なのに対し皆魔術適正が4以上、4つとなると王宮魔術師レベルで、6つとなると伝説の魔術師レベルだ。ちなみに二極四元とは二極の光・闇、四元の火・水・風・土の総称だ。

皆基本外魔術適正まで持ち、榊に関しては特異魔術まで持っている。基本外魔術とは体系化された二極四元以外の魔術で特異魔術とは発現が珍しいユニーク属性のことだ。素養に関してもひとつの素養で幾つもの能力が内包しているネームドばかりで勇者と同じレベルの貴重な素養ばかりだ。

そして気づいた人もいるかもしれないが、ネームドの素養の前に勇士と涼子はうち武術がのっている。そう、実は門下生だったりする。勇士は俺を助けたあと、涼子はもともと小学生のころ門下生になり、それで俺たち(勇士)とつるむようになった。

榊と水鳥は高校からの付き合いなので門下生ではない。

そして何より水鳥だ。レベルが1ではなく、そして異世界転移者の子孫・・・・

これこそが先ほどの神妙な雰囲気の原因だろう。グランディアの武術に魔術を習得していることを見る限り、グランディアから向こうの世界に先祖が行ってなお、子々孫々と技術が受け継がれていたのだろう。

レベルが高いのは、向こうの世界でこちらの世界でレベルが上がる事をしたということだ。

この世界に置けるレベルアップの要因は魔力を宿した者を倒すこと、主に魔獣の討伐だ。

そして向こうの世界にもそれに準じた異形の者が存在する。

こちらとは違い、存在が秘匿されし者達、モンスターや妖怪、化け物と呼ばれ、人間に害を及ぼす存在。

そしてそれらを討伐するハンター。

水鳥の一族はハンターとして人知れず、こいつらを倒していた、まさに正義の味方だったと言うことであろう。

向こうの世界に逃げた俺としてはむしろ誇らしいことであると思うんだが、隠していたこと、自分が普通とは違うという不安や罪悪感があるのだろう。


何故ハンターだと断言できた理由は水鳥に限っては絶対にないが、魔力を持った者を倒す、つまり魔獣、モンスター以外にも魔力を持った人間を殺すことでもレベルが上がる。

しかしそうした場合、犯罪歴が特記事項に罪状:殺人として載る。

それが無かったから、消去法で他にハンターぐらいしか理由がないからっていう訳だ。

向こうの世界ではギルドの変わりにハンターを管理する協会があり、32のレベルともなると大々的に狩ることのできる正式なハンターってことなんだろうな。俺も向こうの世界で狩りはしていたが、俺という存在が協会に露呈するのが嫌でモグリでしていて、普段は魔力などを隠蔽し、隠蔽の魔術以外は使っていなかったので水鳥がハンターであることに気付かなかった。

まあもっともモグリは俺と同じか後ろ暗い連中しかいない少数派で最悪、危険因子として協会から目を付けられる可能性があったんだけどなテヘッ。


そんなことを考えていると、いつの間にか皆アルールに報告が終わったらしい。

水鳥は流石に色々隠して報告をしたらしく、周りの反応は薄い。

そして最後は俺と言わんばかりにニコニコしたアルールに目を輝かせた親友。


仕方ないのでそろそろ俺も唱えるとするか。俺もただ、無駄に考えことをしていただけではない。

アルールにステータスの虚偽を悟られないよう、無理のないレベルでステータスの改ざんをして今設定が終わったところなのだ。

俺のほうが管理者権限のランクが高いのでばれる心配はほぼない・・・・はず。

ただ何故か妙に鋭いから、改ざんしていることはばれているんだろうなぁ。


まあちょっとアンニュイになったが気を取り直して唱えるとしよう。


「『ステータス』!!」



------------------------------------------

威神御影 16歳 男

レベル:1(―――)

素養:異世界武術[威神流闘技師範代:全]・幻殻纏者からまといしもの|(―――)[魔術適正:無]

[基本外魔術適正:付与・魔力剣(―――)][特異魔術適性:武具創造(―――)][魔術耐性:無(―――)][回復補正:体力・魔力・状態異常]

技能:威神流闘技[全技能]・(習得済帝級魔術[付与・魔力剣・武具創造(―――)])

特記事項:異世界人・(転生者(―――))・召喚昇華・言語理解

------------------------------------------


()つきは隠蔽してある物でそれをアルールに見られないようにしている項目、―――は万が一見られた場合の保険で伏せ字になっている。

そして、隠してもしかたないので正直に載せているが俺は・・・・二極四元属性と呼ばれる基本の属性を使えない・・・・

ステータスを隠蔽・改ざんしながらも露呈することを前提の組んだ、地味に後ろ向きな主人公。

なんだかんだ言って本当はアルールに確信して貰いたいのかもしれませんね御影は。

地の文が一人称だったり三人称もどきだったりします、拙い文章力ですみません。

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