4話 敵、襲来!?
遅くなりました。
短いですがどうぞ。
P.S. 壮大なミスを犯していたため、修正。
7/20 描写変更。
タンニーンと主人公の関係を知り合いから、互いに知っているにしました。
―あ・な・た・な・ら、そう言ってくれると思っていました―そう謎の言葉を残したアルール。
しかしその後直ぐパッと離れる。
「嬉しさのあまりはしたないことをしてしまいました・・・・で、ではここでは何なので移動しましょうか」
何事もなかったかのように振る舞う彼女。
しかし何故俺を知っているのか?考えられる理由は俺と同じ転生者か、もしくはそれに準ずる者なのか・・・
しかし転生者か・・・・
もし転生者ならばますます危険度が上がる。
偶然俺と同じ時代に転生することはまずありえない。
が、自ら時代を合わせての転生していた場合、十中八九逃げた俺を追撃するためだろう。そこまでするほどに嫌われていたのかと若干悲しくなる。
危険は承知だがあえて泳がせる。
本当にあいつらが転生した転生者ならまずはあやまりたいし、そして和解したい。
あいつらにとって俺は憎しみの対象でしかないのであろうが、俺にとってはあいつらは本当に大切な存在なのだ。
――――――
俺達一行はアルールに連れられ台座の部屋を出る。外に出るとそこは小高い丘の上で、辺り一面草原だった。まず現代の日本にはないであろう雄大な景色。
後ろには、台座の部屋がある建物があり、その風貌はピサの斜塔を真っ直ぐに建てたような塔であった。
そして空には日本だけではなく、地球にすらいない生物も飛んでいた。
「俺達本当に異世界に来たんだな・・・・草原だけなら実は海外でしたなんてオチもあっただろうけど。見ろよあれ、多分ドラゴンだよな・・・・あんなもの飛んでるんだもんな、信じざるを得ないよな・・・・」
指を指して龍を見る勇士。
「というかあれ魔獣とかいうやばい奴じゃないの?なんかこっちに来てない?逃げなくていいの?」
「もしかして~私達を餌だとおもってるんじゃ~」
「塔に隠れましょう皆!」
たしかに龍がものすごいスピードでこっちに向かって来る。慌てふためく涼子達だがアルールは、
「心配はいりません皆様。あれはドラゴンではなく龍です。ドラゴンは魔獣なのですが龍は魔獣ではなく、私達人間と同じこの世界の住人、幻獣です」
幻獣とは、神々が生み出した原生動物の中でも上位に存在する者達の総称だ。
普通の原生動物ならば本能で行動するため危険なのだが幻獣は違う。人間と同じ、場合によっては人間などとは比べものにならないほどに発達した知性の持ち主達だ。
そんな龍は、俺達の上を旋回しながら降りてくる。
ドラゴンは自力で空を飛ぶんだか、龍は魔法で飛ぶ。なので驚くほど静かに着地した龍。
『巫女や約束通り来てやったぞ。ほう、そやつらが勇者であるか?』
直接脳内に響く荘厳なる声。そんな直接響く声に動揺する勇士達。
「ええ、彼等が私達の勇者様です。正確には真ん中の剣様が勇者様で、他の皆様は魔法陣の不具合で召喚に巻き込まれてしまった方達なのですが、彼女等もまたこの世界のために戦ってくださる味方です」
そんな気負いなく龍に返事をするアルール。少なくとも知り合いであるようだ。
『ほう、これはなかなか粒揃いだ。・・・・ん?剣とやらではない、そこの男子や。ちょいとこっちに来てくれないか』
「俺か?」
「ちょっと!何でそんな普通に返事してんのよ!すみません、こいつが失礼なことを・・・・」
素で返事をした俺に叱咤を入れる涼子。
『よいよい、ほら早うこい』
「ああ、わかった」
そう言いながら俺は龍に近づく。そして顔の前に立つと龍は俺をまじましと見てくる。
何か期待する眼だったが、しばらくすると落胆するように龍は首を振った。
『すまんの、男子よ。そなたから懐かしい感覚を覚えたのだが勘違いだったようだ』
「そうなのか?じゃあもういいのか?」
『ああ、もうよいぞ男子よ。しかし何かの縁じゃ、我の名前はタンニーンと言う。そなたはなんと言う?』
「俺は威神御影。なんかごめんな、期待させて」
『よいよい。こっちが勝手に期待して勝手に落胆したんじゃ、気に病むでない。しかしじゃ皆の者、我は顔見せのためだけにきたのではないぞ。巫女と約束しておっての。勇者召喚が成功したらそやつらを王都まで乗せてってやってほしいとの。ほれ皆の者、背に乗りぃ』
「ありがとうございますタンニーン。皆様、タンニーンもそういってくださっているので遠慮せずにどうぞ」
皆を先導するアルール。
しかしながら危なかった。あいつは勘違いだと思っていたが本当は勘違いでなどではなく正解だ。
あいつと俺は互いに知っている。
できるかぎり隠蔽もしているし、器も違うのでな大丈夫だと思っていたが幻獣の勘が嗅ぎ取ったのだろう。
というかまだ生きていたのかよ!
そしてすげーでかくなってるし、びっくりしたわ。
おかげで必死にぼろが出ないようにしてたため、めっきり言葉数が少なくなってしまったレベルだからな。
まあよく考えればあいつは龍だし、千年や二千年生きるのは普通だよな・・・・
内心動揺しながらも普通を装いながら皆がアルールに続くいてこっちにくるのを待つ。
興奮したようにピョンピョン跳ねる涼子は見物だ、子供である。
逆に若干おっかなびっくり近づいてくる水鳥に、大丈夫よ~近くで見るとかわいいのね~、タンニーンは優しいお方ですよと話しかける榊とアルール。
・・・・というかこいつかわいいのか?
どっちかって言うと男心(厨二心)くすぐる見た目だと思うんだが。そんな姦しい女子達の後からゆっくりと近づいてくる勇士。
「どうした勇士?なんか元気ないな」
「あーわかるか?別に元気がないと言う訳じゃないんだが考え事をな。タンニーンもそうなんだがアルールもお前を気にかけてる事が気になってな。別に嫉妬じゃないぞ!何て言うかあいつらと話すお前、何となく俺の知っているお前と違うん気がするんだよな。気のせいだと思うんだが、何か隠し事してないか?」
「いや?どうした急に。というか俺もびっくりしてんだぞ。龍だぜ、榊はかわいいとか言ってたが俺はどうみてもカッコイイと思うんだが」
「ごめん、変な事聞いて。ああ、俺もお前に賛同だよ。何だか安心した」
しらばっくれたが、こいつもこいつで妙に鋭いな。
しかしこうして俺の良心にチクチク刺してくるのは本当にこう思う。
なあなあで向こうの世界で過ごした罰が当たったのかもな・・・と。
俺達はタンニーンの背中に乗ると、流石に詰めたが俺達6人が乗れるほどの体長よりもさらにでかい翼を広げた。
『我の飛行は魔術を使う。よって振り落とされる心配はないが、皆よう掴まっておれ』
翼に一瞬魔力が籠められ、その鮮やかな赤い翼から赤、緑、白、黒の四色の魔法陣が構成される。
記符は飛行のための緑と黒、俺達を守る赤と白。
その巨体から緑の風の記符だけだけでは飛べない。
それを黒の重力制御で補い、緑の風で加速する。そして白の結界、温度制御の赤。
ふむ、こいつ魔術の腕を上げてるな。
ほぼノータイムで四色混合の陣を形成し、なおかつ俺達の心配までしている。
昔のこいつならば、人を乗せても緑の単色の飛行魔術で強引に飛んでいたからな。
乗せられた奴は皆寒さと、Gでグロッキーになったあと、二度と乗るかと決意表明していたレベルだ。
こいつが人に気を使えるほどに成長していることに嬉しく感じる。
そしてタンニーンは一つ大きな咆哮をあげると魔術は起動し、スーっと音もなく空へと舞い上がったのだった。
俺がタンニーンの成長を喜んでいたのが顔に出たのだろう。
前に座るアルール(並び順はアルール、俺、勇士、何故かハーレムズが団子になってそれぞれに抱き着いている)は後ろの俺を見て、
「ふふ、威神様何やら楽しそうですね」
「ああ、向こうの世界でも空を飛ぶ乗り物はあったが、龍に乗るのは始めてだからな。流石にわくわくもするさ」
「そうですね、最初は私も凄く気分が昂揚しました。威神様、タンニーンの飛行は物凄い速いのであっという間ですが、存分に楽しんでください」
「ああ、早すぎて景色なんてほぼ見えないけど、間違いなく良い体験だよ」
さらっと流しつつ、そんな他愛のない会話をしていると体感時間数十分で線状になっていた視界が急に落ち着き、目の前に巨大な外壁に囲まれた街が現れた。
「二度目のようこそ皆様。最初はこの世界、そして。ようこそ、この国の王都クーレンシュテインへ!」
アルールは器用にタンニーンの上に立ち上がりクルッとこちらを向くと、両腕をパッと広げ。
そう俺達に笑顔で言うのだった。
はい、タイトルを見て戦闘を期待したかたすみません。
初戦闘はまだまだ先です。
話は余り進まない。
そして既存の名前を使ってしまった。
もしかしたら名前変えるかも・・・・
何故か謎の7人目がタンニーンの背中に乗っていたので6人に修正しました。