1話 戻され『グランディア』
俺の名前は威神御影、日本のとある県の高校2年だ。名前はいたって普通の純和風だがハーフだったりする。
父親は日本人なんだが、母親が北欧の出身なんだが、重度の日本オタクで自分の子供の名前は日本名じゃないとやだっ!!とダダをこねたらしい。そしてすったもんだの末御影って言う名前が付いたらしい。髪は北欧の母親の銀色の髪と、父親の黒髪が混じったのか、灰色がかった銀髪で、瞳はほとんど赤に近い茶色だ。
なんで唐突に自己紹介じみた事を考えているのかというと、なんと!異世界に召喚されてしまったんだよ!まあ、親友のおまけだけど・・・・さらに言うと俺が転生する前の世界だったりするけど・・・・
俺はなんでこんな事になったのか、現実逃避気味についさっきの事なのに、随分と昔の事に感じる日本での出来事を思い出していったのであった・・・・
今日もダラダラと学校から家に帰る俺は、その隣で繰り広げられる親友のラブコメ空間に飽き飽きしながら見ていた。
幼なじみにして親友、剣勇士は所謂主人公体質な奴で俺と関わることになったのも、小学生の頃ハーフの俺は明らかな異分子で周りからはイジメの格好の餌食だった。
しかし俺の家は住んでいる街で古くから続く武術の家で、それなりに門下生もいる。そんな家であった。
そして昔から家の武術を習っていたんだが、それを使うのは本当に譲れない時だけにしろと父親に口をすっぱくして言われていた。普通の子供ならば驕っていたかもしれないが、生憎俺には前世の記憶があった。
少し周りがうるさくはあったが、気にならない程度だった。
しかしそれが気にくわなかったあいつがそいつらに突っ掛かっていった。
だが小学生の身に多勢に無勢ではあっさりとやられそうになったあいつを内心なにやってんだか・・・・と思いながらも加勢するため俺は拳をあげた。そうして俺がやり返すと所謂イジメも無くなりあいつと友達といってもいい関係となり、現在に至る。
「・・・・おい、御影聞いてるのか?」
俺がこいつとの馴れ初めを思い出していたときに何か話かけられていたらしく、若干不機嫌な声でそんな事を言ってきた。
「ごめん、聞いてなかった」
「たく・・・・放課後、どこか皆で遊びに行くか聞いてたんだよ」
皆とは、こいつとこいつの周りに侍らせている女子達と俺の事だろう。
さっきも言ったがこいつは主人公体質、正義感が強く顔も良い。なのでひじょーにモテる。
俺も母親のお陰で顔は良いほうだと思うんだが、こいつは何の因果か学校の美少女ばかりにホレられていた。
「威神君、私達は行こうと思ってるんだけどどうかな?」
そう言ってきたのは、黒髪ロングの美少女クラスメイト水鳥香織だ。
彼女は大人しめの性格をしていて顔はかわいい系。
大人しい性格とその見た目から、クラスの女子達から嫌がらせを受けていた所あいつが助けた。
所謂俺と同じあいつに助けられ組で何となくシンパシーを感じている。
「御影ーどうするの?行くの行かないの?」
次にそう言ってきたのはツンデレの金井涼子。
他には・・・・特になし。強いて言うならば俺と勇士の第3の幼なじみ以上。あ、あと見た目は良い。
「そうだな、今日は暇だし俺も行くよ」
「そう~久しぶりに威神君も一緒ね~」
そうポワポワした喋りで返してきたのは、榊恵美。
ゆるふわカールをしていてこの3人の中で1番胸がでかい。
ポワポワした見た目から想像もつかないが、なかなか面倒見が良く頭も良く、見た目・性格から、先生の推薦で信任率99%で生徒会長になった、ナチャラルハイスペックなお方だ。
この3人が同学年からか良く勇士とつるむ女子で、そこに勇士から誘われる形で俺が入る。
「誘っといてなんだけど、珍しいな。御影が遊べるなんて」
「ああ、今日は鍛練も休みだし息抜きだよ」
本当は他に誘わた時はあんまり恋する女子達の勇士との時間を純粋に邪魔したくなかったし、何よりこいつらを見ていると胸やけしてくるから、なにかに付けて断っている。
しかし毎回断ると言い訳に困ってくるので、たまにこうやって参加している。
「ふん、それでどこ行くか決まってるの?」
「そうだな、久しぶりに御影が遊べるしラウイチでいいんじゃないか?」
そう涼子の問いに勇士が答える。ちなみにラウイチとは総合アミューズメント施設でボーリングとかカラオケ、いろいろある所だ。
「OK。久しぶりに鍛練以外で体が動かせるし、楽しみだ」
「私もラウイチでよいと思います。あんまり体を動かすのは得意ではないですけど好きですし」
「それじゃ~、けって~い。急いでいきましょ~時間もあんまりないことですし~」
そうまとまった所で丁度良く通学路からラウイチへ行くための交差点に差し掛かった時であった。
いきなり交差点から俺等以外の人がいなくなり地面が光だしたのだ。
内心迂闊だったと思う。
こっちの世界では基本魔術関連は使われていないし、何より自分はそれらに対抗する不干渉魔術を常時纏っていたので、油断してたのだろう。
(この魔法陣、あっちの世界物だな・・・・しかし見たことのない記符が混じっているな。断片的にしか読み取れないが、召喚及び選定、条件が・・・勇有る者だと・・・・詰まり勇者召喚魔術か!)
一瞬で考えを纏め上げた俺は魔法陣の中心・・・・つまり陣に勇者と選定された勇士に駆け寄る。
「おい、勇士なんかやばいぞこれ!早くそこから出ろ!」
「だめなんだ御影!何故かこの光の外に出れない!」
内心舌打ちをする。
多分読み取れない記符に対象の動きの阻害及び外部から内部に干渉されないためのものが付与されているのだろう。
それにこれ自体は召喚の際対象が召喚に失敗して異空間に放り出されるのを防ぎ関係ない者を巻き込むのを防ぐ防止策なのだろう。
勇士以外に俺と彼女等が残ったのは俺の不干渉魔術の圏内にいたためであろう。
しかし勇者召喚の対象が俺ではなく勇士だったため、不干渉魔術は効果を成さず発動しているのだろう。
魔法陣が一際輝き、本格的にやばくなったその時。
俺は不干渉魔術を外部の干渉を防ぐ部分に強引にぶつけ、強制的にこじ開け、陣の内部に入った。
「勇士!お前が出られないなら俺が入ってやったぜ!死なばもろともとってな!」
「馬鹿だなお前!だけどありがとう!」
勇士に俺が陣の内部に入った事に疑問に思わせないよう、そう男らしいむさ苦しい会話をし、
「そうよ、水臭いじゃない!アタシも一緒よ!」
「そうです。私も怖いですが勇士さんと一緒ならなんでもできます」
「あらあら~何か楽しそうたがからぁ~私も来ちゃった~」
俺のこじ開けた穴について来てしまったのだろう。姦しい3人の声が聞こえる。
「ごめん、皆。俺のために・・・・皆は俺が護るだから安心してくれ」
「まあ、この光が収まったら俺等死んでるかもしれないけどな!」
そう勇士の決意に茶化しをいれつつ、光は収束していき俺等は異世界『グランディア』に飛ばされたのだった・・・・
いきなり長文説明回。そしてガバガバ設定、つまりあれです。行き当たりばったりの自転車操業です。