時間
君と明かした夜は、とても幸せな気配がした。
普段は布団を抱きしめ独りで眠りを待つのに。
手探りで君を抱き寄せる。
腕の中に君がいる。
強く抱きしめる。
君の匂いと、幸せの匂いが入り混じる。
そっと髪を撫でる。
眠りを妨げられて、君は不満そうな目で僕を見て、また目を閉じる。
君の寝顔から目が離せない。
そんな時、あぁ、君が好きなんだな、と実感する。
そして、一秒でも長くこの時間が続くように祈る。
時間とは不思議なもので。
労働をしていると一分が永遠に感じられるが、君との時間は一瞬とも言える早さで流れて行く。
君の髪から手を離し、空を掴む仕草をしてみた。
しかしいくら時間を止めようと足掻いても、時間は無情に過ぎて行く。
幸せな時間は刻一刻と過ぎて行く。