第66話
第66話
翌日の朝、いつものごとく朝食と弁当の準備をしようと冷蔵庫を開けて材料を取り出そうとしたとき僕は冷蔵庫の中を見て驚愕した
「しまった・・・まだあると思ってたのに」
なぜなら、食材がほとんどないのだ
昨日は、母さんの弁当の分しか材料を買ってないしすぐに調理に取り掛かったからもちろん冷蔵庫の中身も確認していなかったその後も特に冷蔵庫を開けることもなく今日を迎えたので今の今まで食材がないのにまったく気づかなかったのだ
とりあえず、朝食分はなんとかなりそうだが弁当は作れそうになかった
「今日は、学校の学食で済ませるしかないか・・・」
といろいろ一人で言っていたらドアが開く音が聞こえた
「和ちゃん・・・おはよう」
「兄さま・・・おはようございます」
振り返るとはる姉と亜姫がそこに立っていた
「おはよう、はる姉、亜姫」
「和ちゃん・・・どうかしたの?」
「実は・・・」
事情説明中・・・
「というわけで今日は、お昼は学食にしてもらってもいい?」
「ん・・・わかった」
「そういうことなら・・・仕方ないです」
「ごめんね、二人とも」
「兄さま・・・気にしないでください」
「たまには・・・学食で食べるのもいい」
「ありがと、じゃあ朝ごはん食べようか」
僕がそういうと二人は同時にうなずきいつもの席に着いた
朝食を食べ終え片づけを済ませた僕は、部屋に通学用かばんを取りに行き学校へ向かった
通学路を半分くらい来たところで美里先輩と合流し学校に到着寸前で渉とも合流し僕たちは学校に到着し学校に到着した
「いや~休日は大変だったな」
教室に向かいながら僕と渉は休日のことを話していた
「そうだね、昨日はかなり疲れたかも精神的に」
「ああ、まったくだ」
そして、教室に到着し中に入るといつもより皆が賑やかな感じがした
「なんか、皆のテンション高い気がするんだが」
「そうだね、今日何かあるのかな?」
とりあえず自分たちの席に移動し数人のクラスメイトと挨拶をする
「おはよう」
「おう文弥、皆本」
「なんか、いつもより賑やかだがなんかあったのか?」
「それがよ~今日教育実習生の先生が来るらしいんだよ」
「教育実習生?」
「ああ、今日から一か月の間なしかもこのクラスにつくらしいんだよ」
「でもなんでそれで皆テンションが上がってるの?」
「聞いた話なんだけどなその教育実習生の人めちゃくちゃ美人らしいんだよ」
「なるほどなだからみんなテンションあがってたわけだ」
「そういうことだ」
話し終えたところでチャイムが鳴り先生が教室に入ってくる今までいろんな場所でグループになってた皆も各自の席に着く
「それではホームルームを始めるが・・・まぁ、知ってるんだろうななんだかテンション高いし」
先生が僕たちを見渡しながらそう言った
「実は、今日から一か月の間教育実習の先生がこの学校で実習を行うことになったしかもこのクラスを受け持つことになった。まぁ、受け持つといっても副担任のようなものだがな今から教室に入らせるがあんまりさわぐなよ」
そういって先生は教室のドアを開け教育実習生の先生を入室させた
その人は、黒板の前に立ち名前を書いて自己紹介を始めた
「え~っと、このクラスを受け持つことになった白石柚葉です。担当科目は数学です。これから一か月間と短い間ですが皆さんと仲良くできたらうれしいですよろしくお願いします」
そういって頭を下げた瞬間周りから「うぉぉー!」と歓声にも似た雄叫びが上がった主に男子から
周りの反応に驚愕する白石先生とやっぱりこうなったかと言いたそうな顔の担任の先生
先生は、なんとか騒いでいた生徒たちをなだめて再びホームルームを再開する
「この後、短い時間だが朝礼をやる生徒は体育館に集合するように。そのあとは、そうだな・・・文弥と皆本朝礼が終わった後、白石先生を学校の中を案内しておいてくれるか。ほかのクラスも一時間目 はつぶれるだろうしな。」
「「わかりました」」
僕と渉が同時に返事をしたのだが
「先生!なんで文弥と皆本何すか~!」
「そうだそうだ!」
先生の選択に不満があるらしくほかの男子生徒が抗議する
「お前らに任せたら嫌な予感しかしないからな。文弥と皆本がこの中じゃ一番まともだからだ」
「まぁ、確かに文弥君と皆本君なら大丈夫そうよね」
一人の女子がそういうとほかの女子がウンウンとうなずいていた
「ということだ。それと言い忘れるところだったが今日の授業には白石先生はすべて出席される今日以外も出席できるときは出席されるそうだ。それと今日は3,4に体育もあるが。体育担当の先生とも話し合った結果男女合同で行うことになった。これでホームルームを終了する。」
「先生、だったら他の日の体育も合同になるんですか?」
生徒の一人がそう聞いた
「そうなるだろうな、とはいえ出れない時もあるだろうからその時はその時で連絡する。ほかに質問はあるか?」
先生が教室を見渡しないとわかって教室を出る
教室から先生が出て行ったあと少しの間がやがやしていたがすぐに体育館に移動を始めた
先生は言っていた通り体育館での朝礼は10分程度で終わった
教室に戻った後、僕と渉は少し教室で話をしていたが白石先生が教室にやってきたので白石先生のところに向かった
「文弥君と皆本君ですよね?」
僕たちが来たことに気付いた先生が名前を聞き確認を取る
「はい、僕が文弥で」
「俺が皆本です」
「文弥君に皆本君今日は案内よろしくね」
「はい、じゃあとりあえず教室出ましょうか」
「ウフフ、そうね」
教室を出て歩き出す
案内をしつつ僕たちは白石先生と話をする
「白石先生は、数学を担当されるんですよね?」
「はい、そうですよ。わからないところがあったら遠慮せずに聞いてくださいね」
「次の授業が数学ですけど、次の授業からもう担当なんすか?」
「はい、でも後ろで数学担当の先生も見てるそうなので今から緊張してるのよ」
「それは大変そうですね」
「まぁ、大丈夫っすようちのクラスはノリがいいから白石先生を全力でカバーしてくれますよ」
「そうなんですか?それなら少し緊張もほぐれるかもしれませんね」
その後もいろいろ話しながら歩いていると
自販機の前で話をしていた美里先輩とはる姉に会った
「あ・・・和ちゃん」
「あ、ほんとだ和人君に皆本君、何してるのこんなとこで?」
「白石先生に学校の中を案内してるんですよ」
「へぇ、なるほど」
「文弥君と皆本君のお友達?」
「はい、もう一人は僕の姉ですけど」
「鳩羽美里です」
「文弥美晴・・・です」
「白石柚葉です。これから一か月よろしくね」
「ところで、はる姉たちはここで何やってるの?」
「暇だから・・・飲み物買いに」
「そっか、ほかのクラスも一時間目はつぶれたんだね」
「ええ、ラッキーよね。それより和人君、皆本君、美晴から聞いたわよ。二人とも一昨日泥棒捕まえて昨日警察の人から感謝状もらったんだってね」
「そうなの!すごいわね文弥君、皆本君」
思いがけない美里先輩の情報に驚く白石先生
「いや、そんな大したものじゃないんですけど」
「そうっすよ、感謝状もらったのもなんか精神的に疲れただけですし」
「あら、どうしてすごいことじゃない」
「そうよ二人ともすごいじゃない、でも今まで知らなかったわテレビでそのニュースはやってたけど名前までは出してなかったから」
「ああそういえば確かに名前は出してなかったな」
「私もそのニュースは見てたわよ、でもそれがまさか文弥君と皆本君のことだったなんて知らなかったわ」
「でも・・・新聞には載ってた」
「そうなの?」
「うん・・・今日ちらっと・・・新聞見たら・・・載ってた・・・小さい記事だったけど」
「へぇ、知らなかった」
「まぁ、二人なら泥棒の一人や二人どうってことなさそうだけどね~和人君なんかストーカー退治もやってのけたし」
「ストーカー退治ってもしかして一か月くらい前のやつかしら?」
白石先生が疑問を僕たちに問いかける
「はい・・・そうです」
「へぇ~文弥君って勇敢な子なのね~」
白石先生が関心したような目で僕を見る
「そんなことないですよ」
「和人、ぼちぼちほかのところも案内しとかないと時間なくなっちまうぞ」
「そうだね、それじゃはる姉、美里先輩僕たち失礼しますね」
「ええ、またお昼休みにね」
「また後でね・・・和ちゃん」
そして、また歩き出す
「それにしても文弥君も皆本君もすごいのね~」
さっき聞いた話が忘れられないのか白石先生は僕たちにそういった
「アハハ、ありがとうございます」
「でも、そんなに大したもんじゃないっすよ」
「そうですよ、泥棒はたまたま遭遇しただけですし。ストーカーだって家族のために必死だったからですし」
「謙虚なのね二人とも」
「俺は、ほんとに大したことしてないっすよ。和人は謙虚すぎると思うけどな」
「そうなの?」
「ええ、和人は勉強できるし運動神経もいいのにいつもそんなにすごいことじゃないって言ってますからね」
「文弥君は才色兼備なのね」
「そ、そんなこと」
「ないとは言わせないぞ和人」
「うっ、さ、さてこれでほとんど案内するところは終わったしそろそろ教室に戻りましょう」
「ごまかしたな」
「ごまかしましたね」
「うう~」
「ははは、冗談だってまぁ和人の言うとおりぼちぼち教室戻らないとな」
「そうですね、私も次の授業のために準備もありますから」
「なんか・・・急に疲れた気がするよ・・・」
その後、僕たちは教室に戻り白石先生は職員室に戻っていった
まだ時間が少しあったのでクラスメイトと話をして時間をつぶした
そして、一時間目の終わりを知らせるチャイムが鳴り僕たちは、数学の準備を始めた
白石先生も教室に早めに入りほかの生徒と交流を深めていた
休憩時間も終わり二時間目の数学の時間に入った
白石先生の説明はわかりやすく皆も一生懸命聞いていた
「それじゃあ、今から問題を書くので私があてた人は前に出て解いてもらおうかな」
そう言って問題を5問ほど書いていく白石先生
「それじゃあ、1問目を有紀さん、2問目を上城君、3問目を皆本君、4問目を漣さん、5問目をちょっと難しいけど文弥君に解いてもらおうかな。もちろんノートに解いてからでもいいからね」
あてられた僕たちは、前に出る
白石先生が言ってたように教科書で解き方を探したりする生徒もいた
僕は、あてられた問題の場所に行き問題を解いていく
解き終えた僕はチョークを置いて自分の席に戻る
他の生徒たちも自分があてられた問題を解いていった
数学が苦手な渉もなんとか問題を解き終え白石先生が答え合わせを始める
「1問目は正解、2問目の有紀さんは途中で少し計算間違いしてますね、でも解き方自体はちゃんとできてますね3問目の皆本君も少し不安そうに書いてましたが正解してますよ。4問目の漣さんも正解ですね。5問目の文弥君も正解です少し難しくしてたんですがすらすら解けてましたね」
そのあと僕たちが解いた問題を再度先生が詳しく説明して数学の授業は終わった
次は、体育なので男女それぞれ更衣室に向かう
更衣室で着替えを済ませ整列する
すぐに体育の先生と動きやすい服装に着替えた白石先生がやってきた
そして、体育の先生が授業の内容を説明し始めた
「今日は、男女合同でバスケットをやってもらうチームはお前らで決めて構わないからな白石先生も参加されるのでそれも踏まえてチームを組むように。組んだ後に俺のところに報告に来て箱の中のカラーボールを取ってくれその中のボールにはアルファベットが書いてあるからそのアルファベットがお前たちのチームになるからな」
先生の説明が終わりお互いチームを組み始める生徒たち
「おい、和人チーム組もうぜ」
渉が僕のそばに向かってくる
「うん、いいよバスケットだから5人だよね後3人どうしようか?」
「そうだな~」
残りの3人を考えていると
「ねぇ、文弥君、皆本君チーム組んでもいいかな」
「私たちまだ決まってなくてさ~」
クラスメイトの相沢さんと吉姫さんがやってきた
「いいよ、僕たちもどうしようか考えてたところだから」
「ホント~ありがと~」
「よろしくね~」
「んであと一人か」
周りを見渡しながら探していると
「あ、あの私が入ってもいいかしら」
白石先生がやってきた
「全然いいっすよ」
「はい、もちろんです」
「柚葉先生よろしくね~」
「これで5人揃ったわね」
「はい、いっしょに頑張りましょうね」
「それじゃ、先生に報告に行って来るね」
すぐに先生の所に行きボールを取り出す
僕が取ったボールにはBと書かれていた
その後、みんなのところに戻りそれを報告する
「よーし大体チーム組んだなそれじゃあチームで一つボールを取って少し練習してから試合始めるぞ」
先生がそう指示した
各チームの一人がボールを取りに行き始めた
僕たちのチームは渉がボールを取りに行ってくれた
「ボールとってきたぞ~」
「それじゃあ練習しようか」
「まずは、フリースローでもやってみるか」
「そうだね」
「了解」
「さんせ~い」
「そうね」
渉の意見に返事を返す僕たち
そして、練習を始める
まず渉から
さすがバスケ部の渉、きれいにシュートを決めボールを僕に渡す
「ほら和人パ~ス」
「サンキュー渉」
僕もボールを持ちシュートを打つ
スパンとボールとネットが擦れたような音がしシュートが入った
「次は、相沢さんかなはいボール」
「ありがと~文弥君」
僕からボールを受け取りシュートを打つ相沢さん
しかし、相沢さんの打ったボールはリングに当たりはじかれてしまった
「あ~失敗しちゃった~」
ボールを持って吉姫さんにボールを渡そうとする相沢さん
「次は、私だね~えいっ!」
吉姫さんのボールはリングの上で数回回転した後ネットを通過した
「次は、柚は先生だよ~」
白石先生にボールを渡す吉姫さん
「はい頑張りますね」
白石先生が一言そういってシュートを打つ
しかし、相沢さんと同じようにリングにはじかれてしまった
「はずしてしまいました」
一通りシュートを打った僕たちは一回集まって作戦を立て始めた
「作戦どうする?普通にみんなで攻めるか」
「でも試合数結構多いから僕や渉はともかく相沢さんや吉姫さん、白石先生は結構きついんじゃないの」
「じゃあ、なるべく俺たちで攻めて女子は攻められるときに攻めてもらってなるべくディフェンスに入ってもらうか」
「そのほうがいいかもね」
「相沢たちもそれでいいか?」
渉が3人に確認を取る
「私はいいよ~」
「私もいいわよ、柚葉先生もそれでいいですか?」
「はい、私はバスケのことはよくわかりませんしね」
「そろそろ試合を始めるぞー!」
先生の一言で先生の周りにみんなが集まる
「自分たちの相手は俺が持っているトーナメント表を壁に貼り付けておくからそれを見るように。後、試合を見物するチームが出てくると思うのでそのチームは審判をやったり得点を付けてやることわかったら初めていいぞ」
その一言で皆トーナメント表を確認しに行った
僕たちも皆で確認しに行く
「え~と、僕たちの最初の対戦チームはAチームか」
「反対のコートだな」
「このチームなら余裕そうな気もするんだけどねぇ~」
「それじゃ、コートに入ろうよ~」
「そうですね、みんなで頑張りましょう」
コートに整列して一礼
ジャンプボールは渉がやることになり他のメンバーもそれぞれ大体ばらつくように位置に着く
そして、渉もコートの真ん中に立つのだが
「ここで、いいところ見せれば女子に・・・フフフ」
「やってやるぜ~!」
なんか相手チームの男子が妙にやる気満々で渉の顔が微妙に引きつっていた
審判がボールを真上に投げる
タイミングを見て渉と相手の男子がジャンプしボールに触れた
触れたボールははじかれて僕たちのほうに飛んできた
そのボールはバウンドして相沢さんのところに行った
「え、私!、え、えっと、吉姫パス!」
「パスされても困るよ~柚葉先生パ~ス」
「私ですか!?」
白石先生が周りをきょろきょろ見渡す
「白石先生!こっちです」
白石先生に僕の場所を知らせパスを待つ
「文弥君、パスです!」
僕のほうにパスを出す白石先生
それを受け取りドリブルしながら攻めていく
「行かせるか!」
相手チームの男子が僕の前に立ちボールを奪おうとする
僕は、フェイントを混ぜてそれをかわした
「渉、パス!」
そして、渉にパスを出す
僕からパスを受け取った渉はすぐにシュートを放つ
そして、そのシュートは見事にネットを通過した
「よっしゃ!」
渉はガッツポーズをしながらこちらに向かってくる
「渉ナイスシュート」
「和人もナイスパス」
僕と渉はハイタッチを交わす
その後も渉と僕が主体となり試合が進んでいく
その結果、結構な大差をつけて勝利した
いくつかの試合を終えて一回10分間の休憩が挟まった
「あ~疲れたわ」
「もうへとへとだよ~」
「皆さん頑張ってますね」
相沢さんと吉姫さんがかなり消耗していた白石先生は意外と平気そうだけど
「あと半分あるんだけどな」
「とりあえず相沢さんも吉姫さんもゆっくり休むといいよ10分間休むだけでもだいぶ違うしね」
「文弥君と皆本君は全然平気そうね」
「まぁ、俺はバスケ部だしな。和人は純粋に体力があるんだろうが」
「パスで重点的にやってるからねそんなに体力使ってないんだよ」
「一番きついのは男子の異常なほどの気合の入りようだよな」
「アハハハ、そうかもね。男女合同でやるなんてなかったから皆いいところ見せたいのかもね」
「でも文弥君も皆本君もすごよね~ほとんど二人で点取ってるし~」
「そうね、他の男子じゃほとんど相手になってなかったわね」
「相沢さんたちだってシュート入れてたじゃない」
「そうですよ、相沢さんも吉姫さんも頑張ってますよ」
白石先生が二人にそう言う
「そうそう、皆で協力してるから勝ってるんだよ」
「もうそろそろ休憩終わるね」
「うし、もうひと頑張りするか」
「よ~しもうちょっと頑張るわよ」
「お~私も頑張るよ~」
そして、後半戦がスタートした
しばらくは前半と同じように動けていたのだがやはり女子のほうは疲れが完全にとれていなかったのか結構疲労していた
そして最後の試合が始まったとき
相手が攻めてきたのを相沢さんがブロックしようとした時
「キャッ!」
「危ない!」
相手のぶつかり方が少し強かったのか相沢さんが倒れそうになったなんとか腕をつかんだから転倒せずにはすんだけど
審判がファールの警告をだしこちらにボールが渡る
「大丈夫?相沢さん」
「ええ、少しびっくりしたけど大丈夫よ」
「すまん!ちょっと力が入りすぎた大丈夫だったか」
相手チームの男子が謝りに来た
「大丈夫よでも気をつけなさいよね!」
「ホントにすまん!」
そういって相手はコートのほうに戻っていく
渉や吉姫さん白石先生がこちらに駆け寄ってくる
「大丈夫~相ちゃん」
「怪我はなかったですか!?相沢さん」
吉姫さんと白石先生が心配そうに相沢さんを見る
「大丈夫ですよ文弥君が腕をつかんでくれましたから転倒もしませんでしたし、吉姫もそんなに心配しなくても大丈夫よ」
「たくっ!あいつは張り切りすぎるとたまにやりすぎちまうんだよな同じバスケ部だからよく見てるんだが俺が守っとくべきだったな。目立った怪我はなさそうだがさすがに疲れがたまってるんだろうな、試合は少し流す程度にして休憩してもいいぞ」
「そうだね、相沢さんたちはディフェンスにずっといていいよ今からは僕と渉でなんとかするから」
「でも、いいの?さっきの人バスケ部なんでしょだったら強いんじゃないの」
「大丈夫大丈夫、攻めてきても無理して守らないで点数とられてもいいからさ」
「私も攻めに参加しましょうか?」
「白石先生は、一応相沢さんを見ておいてください大丈夫だとは思いますが倒れたりでもしたら大変ですしね」
「でも、二人で大丈夫なの~?さっきまでは一応私たちも攻めてたから完全に二人になると大変なんじゃないの~?」
「う~ん大丈夫じゃない」
「おっ!えらく今回は強気だな~和人」
「そんなんじゃないけどさすがに女の子にこれ以上負担かけるのもあれだから少し頑張ってみようかな~と、それと、ねぇ渉」
「ん、なんだ?」
「渉ってダンク打とうと思えば打てるよね」
「おい、さらっと無理難題押し付けそうな気がするが気のせいか」
「ん~、まぁ当たりかな」
僕の発言に苦笑いの渉
「何をするつもりなの文弥君?」
不思議そうな顔で僕のほうを見る相沢さんたち
「ちょっとしたパフォーマンスかな」
「「「???」」」
「見てればわかると思うよ」
こうして試合再開
女性陣は、今までよりゴールに近い場所にいるようにしてもらったボールを取られたとき少しでも範囲が広い方がカバーしやすくなると思ったからだ
白石先生がボールを僕のほうに投げる
ボールを受け取った僕は、ボールをバウンドさせながら相手ゴールに走る
とはいえさすがに上手くはいかず2人がかりで僕からボールを奪おうとする相手チーム
僕は、左右に小刻みに移動し相手を揺さぶる
そして、チャンスを見計らって右に移動し手を背後のほうに回してパスを低めに出す
僕のパスを渉が受け取り一人抜いてまたパスを戻す
そして、僕は相手のゴールに背を向けてパスをキャッチしその状態のまま相手ゴールのほうに大きくボールを上げる
「何!?」
さすがにこれには相手チームもビックリだったようで意識を渉からずらすことができた
まぁ、これでゴールが入るとはさすがに思わないが少し意識を渉からボールにはずしてやれば・・・
「おーらよっと!!」
そんな掛け声とともにガシャアと音がした
「ダ、ダンクだと!」
相手チームが驚愕しながら渉を見る
渉は、そのまま僕のほうに駆け寄ってきた
そして、僕と渉はこぶしをこつんと合わせた
「やれやれ、和人はたまに無茶振りしてくるよな」
「アハハハ、でもちゃんと決めたじゃない」
「お前が良い位置にパス出してくれたからな他じゃああはいかないぜ」
そのあとも、同じようなことを繰り返し勝負は僕たちのチームが勝った
そして、試合終了後
「すごいすごい!何あれ!あんなプレー見たことないわよ!」
「二人ともかっこよかったよ~!」
相沢さんと吉姫さんが興奮しながら話しかけてきた
「ありがと二人とも」
「あれはさすがにしんどかったけどな」
「二人とも素晴らしかったですよ!まるでプロの選手みたいでした!」
白石先生が拍手しながらそう言ってくれた
「ありがとうございます白石先生」
「どうもっす」
そのあと、授業前と同じように整列してから午前の授業は終了した
相沢さんたちも十分に休憩できたようでほとんど疲れも取れていたようで吉姫さんと元気に話をしながら更衣室のほうに歩いて行った
僕と渉も更衣室に向かい着替えを済ませる
「あ~腹減った~」
渉が腹を押さえながら気の抜けたような声でそう言った
「今日は、いつもより大変だったしね僕もおなかすいたよ」
「さっさと昼飯にしようぜ今日もいつものメンバーで食べるんだろ」
「そうなるだろうね」
「どこで食べるんだ屋上か?」
「今日は、食堂になると思う弁当作れなくってさ」
「めずらしいな、寝坊でもしたのか?」
「寝坊はしなかったんだけど、冷蔵庫に材料がなくてね朝食分はなんとか余ってたんだけど」
「でも、昨日スーパー行ってたじゃないか」
「母さんの弁当用にね夕食も弁当に入りきらなかったおかずとかで済ませたし。だから、冷蔵庫の中身も今日の朝まで全然あけてなかったんだよ」
「なるほどな、そんじゃ学食行くか」
「うん」
僕たちは一旦教室に戻り財布を取って学食へ向かった
そして、学食に到着した
「お~い、和人君、皆本君こっちこっち」
美里先輩が手を振りながら僕たちを呼ぶ
すでにはる姉と亜姫も席を確保して座っていた
「兄さまの席・・・ここです」
亜姫がそう言って自分の隣の席をポンポンと叩いていた
「席とっておいてくれたんだねありがと」
そういいながら僕は亜姫の隣に座る
渉は僕の向かい側ななめのところにに座った
席順的には亜姫、僕で反対側にはる姉、美里先輩、渉となった
「あれ?皆まだ食べてないんすか?」
「ええ、私と皆本君は弁当だけど美晴と亜姫ちゃん、和人君は学食のメニューだからね、二人は和人君が来ないと食べないっていうし、というよりまだ食券も買ってないし」
「そうなの?じゃあ買いに行こうよ」
僕がそういうと二人は席から立ち上がった
食券売り場で食券を買い調理場にいるおばさんに渡す
しばらくして料理が渡され僕たちは自分の席に戻った
そのあと、もう一回離れて飲み物を買って
さて食べようとしたとき
「あの~私もご一緒してもいいかしら?」
白石先生が料理を持って僕たちのところにやってきた
「別にかまいませんよ」
美里先輩がそう返すと
「ありがとう、鳩羽さん。文弥君隣良いかしら?」
「はい、どうぞ」
「ありがと」
白石先生が料理を置いて僕の隣の席に腰掛ける
「良かった食堂混出て席が見当たらなくて困ってたんです」
「そうだったんですか」
「隣の子は、一年生かな」
「はい、妹の亜姫です」
「文弥君の家は妹さんもいたのね」
「はい」
「白石柚葉です。よろしくね亜姫さん」
「はい・・・よろしく・・・お願いします・・・白石先生」
白石先生も含めた6人でワイワイと賑やかに食事を楽しむ僕たち
「文弥君たちはいつもここで食事してるんですか?」
白石先生が食事をすすめながら僕たちに聞いてきた
「いつもは、弁当なんですけど。今日は、材料がなくて作れなかったんですよ」
「いつもは屋上で食べたりしてるんすけどね」
「作れなかったって。もしかして、いつも文弥君が作ってるの?」
「はい、そうですけど」
「すごいわね~」
「和人君は、完璧超人ですからね~」
美里先輩が少しにやにやしながらそう言った
「鳩羽さんの言うとおりホントね~まだ一日も過ごしてないのに文弥君がかなりすごいことが私にもわかるもの。私ったら今日は驚いてばっかりだし」
「そんなことないと思うんですが」
「兄さまは・・・謙虚ですね」
「そうかな?」
「まったくだ」
「そうね」
「それが・・・和ちゃんの・・・いいところでもある」
「フフフ、みんな仲がいいのね」
「そうですね、よくこのメンバーで遊びに行ってますしね」
「そうね、あとは皆本君の妹とその友達を誘ったりしてね」
「あら、皆本君にも妹がいるの?」
「いますよ」
「亜姫と仲がいいんですよ」
「へぇ、そうなの」
そのあともいろいろ話しながらお昼休みを過ごした
お昼休みも終わり午後の授業が始まった
5時間目は英語で体育&昼食後ということもあって眠そうな生徒が多かった
実際、僕もかなり眠かった
6時間目の古文もなんとか睡魔に負けずに授業を受けた
そして、今日の学校生活は終わった
放課後になり帰る準備をする僕たち
白石先生は、職員室に戻り
渉は、部活に行き
他の生徒たちはまだ教室で話をしたりしていた
僕は、自分のカバンを持ち昇降口の下駄箱に向かった
下駄箱に向かうとすでに亜姫がそこで待っていた
「あ・・・兄さま」
「まだ亜姫だけ?」
「はい・・・」
「そっか」
しばらく、亜姫と世間話をしながら時間をつぶしていると
やや急ぎ足で美里先輩とはる姉がやってきた
「いや~ごめんね二人ともホームルームが長引いちゃってね~」
「亜姫・・・和ちゃん・・・おまたせ」
「さてと帰りますか」
「あ、でも僕これからスーパーによりますから途中で別れることになりそうですね」
「私たちも・・・ついていこうか?」
「いいよいいよ、一人で」
「じゃあ・・・兄さまのカバン・・・持って帰っておきます・・・持ったままじゃ・・・買いもしにくでしょうから」
「う~ん、確かにちょっと買い物しにくいかもね。それじゃあ別れるときにお願いできる亜姫?」
「はい・・・」
話もまとまり僕たちは学校から出る
しばらく歩き続け最初に美里先輩と別れ
そのあと僕は、カバンから財布だけ取りだし亜姫に渡して一旦二人と別れてスーパーに向かった
スーパーに到着し籠を持って店内を見て回る
「今日は、ハンバーグにしようかな」
そう思い僕は、ハンバーグに必要な材料を集め始める
たまたま今日は卵が安いみたいで少しお得な気分で卵をゲットした後、お肉を取ってその後野菜売り場に向かう
そして、たまねぎを選んでみているときふいに肩をトントンと誰かに肩をたたかれた
それに気づき振り返ってみると
「やっぱり文弥君だった」
そこには僕と同じように買い物籠を持った白石先生が立っていた
「あ、白石先生もお買い物ですか?」
「ええ、私この近くに住んでるから夕食の買い物にねそしたら文弥君を見かけたから声をかけてみたんですよ」
「そうだったんですか」
「そうなの、でも今日の夕食どうしようか悩んでるのよ」
「献立って考えるの大変ですからね」
「そうなのよ~文弥君はもう決まってるの?」
「はい、今日はハンバーグにしようかなと思って」
「あらいいわね私もハンバーグにしようかしら」
白石先生と話をしていると
「あれ、和人さん?」
ふいに僕を呼ぶ声が聞こえそちらのほうを見ると
そこには由香ちゃんがいた
「由香ちゃん、こんにちは」
「は、はい!こんにちは和人さんもお買い物ですか?」
「うん、冷蔵庫の中からっぽだから晩御飯の買い物と少し買い貯めとこうかと思って」
「そうなんですか、それでその・・・和人さんと一緒にいる女性は」
「ああ、今日から僕たちの学校で教育実習生として来た先生なんだ」
「はじめまして、白石柚葉って言います」
「きょ、教育実習生の人なんですか・・・良かった彼女とかじゃなくて」
「ん?何か言った由香ちゃん?」
最後のほうが聞き取りづらかったので由香ちゃんに再び聞こうとする
「な、なんでもないですよ!なんでもないんです!」
「そ、そうなの?」
「はい!そうです!」
何かをごまかそうとアタフタする由香ちゃん
由香ちゃんと僕たちのやり取りを見てクスクス笑っている白石先生
由香ちゃんは咳払いをして白石先生に自己紹介する
「えっと、皆本由香です」
「皆本?もしかして皆本君の妹なのかしら?」
「はい、兄がお世話になってます」
「こちらこそ、文弥君と皆本君には学内の案内をしてもらったりお世話になってるのはこっちの方よ」
「ところで、由香ちゃんも買い物かな?」
「はい、お母さんに頼まれて」
「そうなんだ」
「はい、とりあえず頼まれたものに玉ねぎがあったのでそれを取りにそしたら和人さんが見えて」
「そっか」
そのあと僕たちは3人で話をしながら買い物をした
由香ちゃんもすぐに白石先生と打ち解けていろいろな話をしていた
そして、買い物を済ませてスーパーから出る僕たち
白石先生は僕たちとは反対方向の道のようですぐわかれることになった
「それじゃあ、私はここで由香さんまたこんな風にたまたま出会ったりすることがあったらこれからも仲良くしてね」
「はい、私も白石さんと話ができて楽しかったです」
「ありがと、文弥君また明日学校でね」
「はい、それじゃあ」
そして、白石先生と別れる
「僕たちも、行こうか」
「そうですね」
そういって僕と由香ちゃんも歩き出した
しばらくして由香ちゃんとも別れ自分の家に到着した僕
「兄さま、お帰りなさい」
「和ちゃん・・・お帰り」
はる姉と亜姫が玄関まで来てくれた
「ただいま、カバン運んでくれてありがとね」
僕はあいていた手で亜姫の頭をなでる
亜姫は、気持ちよさそうに目を細めた
それを見て少しむくれるはる姉
「うらやましい・・・」
とつぶやくはる姉
そのあと、リビングに荷物を運び冷蔵庫に今日は使わない分の材料を入れる
材料を入れ終わり夕食の支度に取り掛かる
夕食の支度ははる姉が手伝うと言ってくれたので一緒に作ることにした
亜姫は宿題が出たらしくそれをしに一回部屋に戻った
2人で作ったからすぐに完成した
「思ったより・・・はやくできたね」
「うん、はる姉が手伝ってくれたおかげかなありがと」
僕がお礼を言うとはる姉は何かを要求するような目でこっちを見た
「えっと、もしかして頭なでてほしいの?」
はる姉がこくんと頷く
「しょうがないなぁ」
そういいながらはる姉の頭をなでる
僕のほうが年下のはずなんだけどなぁ
そんなの関係なさそうに気持ちよさそうな顔をするはる姉
「さて、もうおしまい料理運ばないと」
「ん・・・満足」
料理をテーブルに置いた
すると、いいタイミングで亜姫が降りてきた
「亜姫、ちょうどよかったご飯できたから食べよう」
「はい・・・」
3人そろったので食事を始める
「ん・・・おいしい」
「とっても・・・おいしいです・・・兄さま」
「ありがと二人とも」
「あの・・・兄さま」
「何、亜姫?」
「宿題で・・・わからないところが・・・あるので後で・・・教えてもらえますか」
「別にいいよ、ご飯終わったらね」
「ありがとう・・・ございます」
テレビを見たり話をしたりしながら夕食を食べる僕たち
数十分して夕食を食べ終わる
食器を洗おうとしたらはる姉が代わりにやってくれるというので僕は、亜姫の部屋に行く
亜姫の部屋に行き宿題のわからないという部分を教えた
亜姫はすぐに理解し問題をすらすら解いていった
しばらくして、宿題を終わらせる亜姫
「兄さま・・・ありがとうございました・・・すごく・・・わかりやすかったです」
「それはよかった、もう宿題は終わりかな」
「はい・・・」
「じゃあ僕は下に行くけど、亜姫はどうする?」
「私も・・・下に行きます」
「それじゃ、一緒にテレビでも見ようか」
そして、下に降りてテレビを見始める
しばらくして、僕たちは順にお風呂に入り
いつでも寝れる準備をした後、3人でボードゲームをして時間を過ごした
何回かやった後、眠くなってきたので片づけて僕たちは部屋に戻った
今日は、体育でいつもより運動したせいか布団に入ってすぐに僕は眠りについた