第64話
第64話
文化祭が終わった次の日の朝
僕は、肌寒さを感じて目が覚めた、目をこすりながら周りを見ると
母さんが自分の毛布をかぶっているにもかかわらず僕の毛布を強奪していた
「道理で寒いわけだよ・・・」
いまさら、二度寝というのも肌寒くて寝れそうにないのでとりあえず自分の部屋に行き着替えを済ませて再びリビングに向かう
肌寒さのせいでいつもよりも早く目が覚めたのでとりあえずソファーに座りテレビを見ることにした
まぁ、この時間帯はニュースとかだけだと思うけど
「暖房付けたからだんだん暖かくなってきたな」
暖かくなってきたせいか目が覚めていたのにだんだん眠くなってきた
ウトウト・・・zzz
・・・・・・・・・・
「・・・ちゃん、か、ず・・・ちゃん」
僕を呼ぶ声が聞こえた
どうやら寝てしまったらしい
目の前には僕の顔を覗き込むはる姉の姿があった
「あ~はる姉、起きたの」
「うん・・・どうして・・・ソファーで寝てるの・・・和ちゃん?」
「朝起きた時、母さんに毛布強奪されててね肌寒くて寝れなかったから起きたんだけど暖房付けて暖かくなったからいつのまにか寝ちゃってたみたい」
「そうなんだ・・・でも・・・寝るならちゃんと・・・布団に入って寝た方がいい・・・私が朝食作るから・・・和ちゃんは・・・私が使ってた布団・・・使って寝てもいいよ」
「じゃあ頼んでもいいかな文化祭の疲れが残ってるのかすごく眠たいんだ」
「ん・・・できたら・・・起こしてあげる」
「ありがと」
一言お礼を言うと僕は再び布団が並べてあるところに戻りはる姉が寝ていたところの布団に入って僕は眠った
それから1時間
ユサユサと体をゆすられ僕は目を覚ます
「和ちゃん・・・朝ごはんできたよ」
まだ眠い体を起こしてはる姉のほうを見るなんだか今日はかなり眠いな~
「う~ん、眠い~」
「後で・・・食べる?」
「いや、起きるよ起こしてくれてありがとねはる姉」
「ん・・・どういたしまして」
立ち上がりはる姉と一緒にリビングに向かう
母さんと亜姫はすでに起きて席についていた
「和くんおはよ~」
「兄さま・・・おはよう・・・ございます」
「おはよう、母さん、亜姫」
僕とはる姉も席に着き朝食を食べ始める
食べ始めてからしばらくして亜姫が
「そういえば・・・兄さま・・・どうして姉さまの・・・布団で寝てたんですか?」
そう聞いてきた
「母さんが僕の毛布を強奪してねとりあえず一回起きたんだけどソファーでウトウト眠ってたらはる姉に起こされて布団で寝たほうがいいって言われたからお言葉に甘えて寝かせてもらったんだよ」
「そうだったんですか・・・」
「なるほど~道理で途中から和くんの匂いがするわけだよ~」
母さんは納得したようにうんうんとうなずいていた
「というか僕のにおいかどうかわかるんだ・・・」
「もちろんだよ!エッヘン!」
「いや、威張るところじゃないから」
そんなこんなで朝食を食べ終わり食器を洗う
数十分後に食器を洗い終わりみんなでほのぼのとテレビを見て午前中はすごした
そして、午後昼食を終えてしばらくリビングでまったりしているとテーブルに置いていた携帯が鳴った
ディスプレイの表示を見ると渉だった
「もしもし、渉」
「おう、和人暇か~」
「うん、暇だけど」
「だったら遊びに行こうぜ~」
「うん、いいよどこに行くの?」
「そうだな~いつも通り駅前とかだな遊べる場所多いしな」
「わかった、それじゃ駅前に1時集合でいいよね」
「そうだな!そんじゃな~」
「うん、あとでね」
僕は、そういって電話を切る
「兄さま・・・どこか行くの?」
隣に座って本を読んでいた亜姫が聞いてきた
ちなみにはる姉は自分の部屋で音楽を聴いていて母さんはテレビゲームをやっているたぶん今の会話は聞こえていない
「うん、渉と一緒に駅前まで遊びにね亜姫もいく?」
「今日は・・・やめておきます」
「そっか、それじゃあはる姉とかにも伝えておいてくれる聞かれたらでいいけど」
「わかりました・・・いってらっしゃい・・・兄さま」
「行ってきます」
「ん~和くんどっか行くの~?」
「渉と遊びにね」
「そっか~気を付けてね~」
「うん、行ってくるね」
僕は、部屋に財布だけ取りに行ってから家を出た
そして、駅前につくと渉がこちらに手を振っていた
「お~和人」
「お待たせ、悪いね遅れて」
「何言ってんだよ、遅れてねぇじゃん。ん?今日は美晴先輩たちは一緒じゃないんだな」
「うん、はる姉は部屋で音楽聞いてたし亜姫は今日はやめとくってさ」
「まぁ、文化祭終えた次の日だしな~みんな疲れてるんだろうな」
「だろうね、僕も今日だいぶ眠くて二度寝したし」
「俺も、お昼近くまで寝てたよ。ま!たまには男同士で遊ぶのもいいんじゃね」
「それじゃ行こうよ、まずはどこから行こうか?」
「最近は、ボウリングとか行ったしな。バッティングセンターとか行ってみねぇか」
「確かにバッティングセンターは行ったことないね」
「んじゃ決まりだな」
「うん、そうだね」
行く場所も決まり僕たちはさっそくバッティングセンターに向かう
といってもバッティングセンターは徒歩10分ぐらいでつくんだけど
バッティングセンターに到着し僕たちはいくつかのメダルを買った
「まずは、どれぐらいの速さにするかねぇ~」
渉がきょろきょろ周りを見渡しながらそう言った
「100kmぐらいがいいんじゃないかな」
「でも、もうちょっと早くてもよくね」
「じゃあ、130kmぐらい」
「まぁ、そんなもんか」
渉が130kmコーナーに入りメダルを入れる
ここのバッティングセンターは映像が出るタイプなのでタイミングは合わせやすいほうだと思う
事実、渉は初球からかなり打っている
20球の球を打ち終えた渉はバッターボックスから出てきた
「久しぶりにやると面白いな」
「全部いい球打ってたね」
「まぁ、良いスピードだしな」
「それじゃ、次は僕だね。何処にしようかな~」
少しうろうろして僕は渉より少し遅めの120kmコースのバッターボックスに入る
メダルを入れてバットをかまえる
ボールが飛びだしタイミングを合わせてバットを振る
カキィン
子気味のいい音を出してボールは宙を舞う
しばらくして僕も20球を打ち終えバッターボックスから出る
「まぁこんなもんかな」
「いくつかホームランに当たりそうなのあったな」
「そうだね、おしいなとは思ったけど」
その後もボールのスピードを変えたり変化球が入っている所に入ったりして2時間ぐらいしてからバッティングセンターを出た
その後は近くのカフェに入りケーキと紅茶を頼んで休憩していた
「いや~結構いたなバッティングセンター」
「そうだね、少し手が疲れたよ」
「ちょいやりすぎたかもな」
「まぁ、楽しかったけどね」
「この後はどうするかな~」
「そうだね、出てきたはいいけどいざ何しようか考えると迷うよね」
「とりあえず、店を出てその辺ブラブラしてみるか」
「そうしようか」
ということで僕たちはお会計を済ませて店を出る
しばらく街をぶらぶら歩いていると
「キャー!泥棒ー!」
後ろの方から一人の女性が叫び声をあげながらそう叫ぶ声が聞こえた
その声に反応し慌てて後ろを振り返るとカバンを抱えてこちらに走って来る男が居た
「どけー!」
中年の男が叫びながらこちらに突っ込んできた
というより僕たちが突っ立ているだけなんだけど
「渉、サポートよろしく」
「ラジャー」
僕と渉は、泥棒めがけて突っ込んでいく
泥棒は僕たちが突っ込んでくるのは予想外だったのか驚愕して慌てて止まろうとする
止まろうとしている泥棒の懐にまず渉が足払いをかけ僕が潜り込み背負い投げの要領で腕を持ち投げ飛ばす
泥棒は背中から地面に落下し荷物は宙を舞ってその場に気絶した
「オーライオーライ」
渉が少し移動してカバンをキャッチする
そしてカバンを持ったまま渉がこちらに駆け寄ってくる
「やれやれ、最近この辺も物騒になったね」
「まったくだな、というか俺たち遭遇率高いよな」
「僕何かに憑かれてるのかな・・・不安になってくるよ」
「た、たまたまだって!」
「そうだといいんだけどね、それより渉早くカバン返してあげなよ」
「おっ!そうだな」
「君たち大丈夫か!」
警察の人が女性と一緒に駆け寄ってきた誰かがすぐ呼んだのだろう
「はい、問題ないですよ」
「これ、カバンどうぞ」
渉が女性にカバンを返す
「ありがとうございます!なんてお礼を言ったらいいか・・・」
「そんな!全然気にしなくていいですよ!僕たちが勝手にやったことですし」
「そうっすよ!見て見ぬふりもできないですし」
「いや君たちの勇気ある行動は素晴らしい!」
警察の人がそう言うと回りの人が拍手を送ってくれた
「ううっ~くそ」
気絶していた泥棒が意識を戻したらしい
警察の人が慌てて手錠をはめた
「そういえば、大丈夫かな結構強めに投げ飛ばしちゃったけど」
「泥棒にも気を使うのか和人・・・」
「だ、だって地面コンクリートだし心配もするよちょっと謝ってくるよ」
「珍しい奴だな~泥棒に謝りに行くって」
到着したパトカーに乗せられそうになっている泥棒のところに向かう
「あの~」
僕が、泥棒に話しかけるとキッと睨みつけられた
当然と言えば当然だろう
「さっきは、すいませんでした手荒なまねをして腰とか大丈夫ですか?」
僕の発言に泥棒も両サイドに居る警察も驚いていた
「うう・・・」
泥棒はしばらく黙っていたが、いきなり泣き崩れ始めた
「や、やっぱりどこか痛めましたか!」
「違うんだよこんなにやさしくされたのは初めてでな最近何もかも上手くいかなくてイライラして泥棒してしまったんだでもこれでよかったのかもしれないな」
そう言った後パトカーにその人は押し込まれてパトカーはこの場を去った
僕は、とりあえず渉のところに戻った
回りはまだざわついており何人か残っている警察にいろいろ聞かれているひともいた
「あの人悪い人じゃないみたいだった」
「そうなのか?」
「多分、ちゃんと反省して更生するんじゃないかな」
「和人がそういうんならそうなのかもな」
その場で話しているとさっき僕たちを褒めてくれた警察の人がこちらにやってきた
「君たちにも一応話を聞きたいんだけどいいかな?」
「いいですけど、話すようなことないと思いますよ僕たちたまたま遭遇しただけですし」
「まあ形式的なものだから」
そう言っていくつか聞かれた後に
「あと君たちの自宅の連絡先とか教えてくれるかな?感謝状が贈られると思うから」
「「感謝状!?」」
「そう連絡を入れるから教えてもらえないかい?」
「まぁ、いいですけど」
「でも俺たち感謝状もらうほど大したことしてないよな」
「うん」
「そんなことはない君たちの勇気ある行動で人一人救われたのだからねとにかく連絡先を教えてもらえるかい詳しいことは後日連絡するから」
と言うので僕たちは警察の人に連絡先を教えた
警察の人は、連絡先を聞いた後に「もういいよ、ありがとう」と言って別の人の場所に向かった
「どうしようか、これから」
「なんかどこか行く気失せたな~」
「そうだよね」
「今日は、解散するか時間早いけど」
「そうしようか、まぁ帰る方向ほとんど一緒だけどね」
「まあな」
その後、僕たちは途中で別れ家に帰ってきた
「ただいま~」
「おかえりなさい・・・兄さま」
返事をしながら亜姫がやってきた
「早かった・・・ですね」
「うん、ちょっとね」
「何か・・・あったんですか?」
「大したことじゃないよ、それよりなんで亜姫エプロンつけてるの?」
「クッキー・・・焼いてました」
「そうなんだ」
「食べますか・・・?」
「少しもらおうかな」
「はい・・・♪」
リビングに入るとはる姉が母さんとゲームで対戦していた
「ただいま~」
「和ちゃん・・・おかえりなさい」
「和くん!お帰り!」
「うん、めずらしい組み合わせでゲームしてるね」
「母さんに・・・一緒にやろうって・・・言われた」
「家族の交流だよ~でもね!美晴ちゃん酷いんだよ手加減してくれないんだよ50連敗中だよ!」
それは負けすぎじゃないかな・・・
「母さん・・・弱すぎ」
「グハッ!」
はる姉にとどめを刺されてその場に崩れる母さん
「兄さま・・・クッキーどうぞ」
苦笑いしている僕のところに亜姫がやってきた
「ありがと」
僕は、ひとつ手にとって食べる
「おいしいねこれ」
「ありがとう・・・ございます」
「私にも!」
復活した母さんが亜姫にクッキーをねだる
「はい・・・」
母さんにもクッキーを渡す
すかさず食べる母さん
「おいしい!復活だよ私!」
元気よく立ち上がる母さん
「そういえば、母さんは次はいつ仕事に戻るの?」
「明日の夕方なんだよ~仕事メンドイ!」
「いや仕事ってそういうものでしょ」
「そうなんだけどさぁ~」
「母さんらしいと思うけどね」
「だから、今日はいっぱいゲームするの!次の相手は和くんだよ!」
「しょうがないなぁ~」
「そういえば・・・和ちゃん・・・今日早かったね・・・何かあったの」
「まぁ、なんかもう出かける気が失せたというか」
「喧嘩でも・・・したの?」
「違うよ」
僕は、今日起きたことを3人に説明した
「すごい・・・お手柄だね・・・和ちゃん」
「さすがです・・・」
「和くん!すごいね正義の味方だね!」
「そこまではいかないと思うけど」
「でも、あんまり危ないことしたらだめだよ!メッ!」
「うん、気を付けるよ。でも、メッって、小学生じゃないんだから」
「いいじゃん可愛い感じがするし!それよりゲームだよ!」
「うん、分かったよ」
話を終えて母さんとゲームを始める
しばらく母さんとゲームをしていたが夕食の時間になり一旦ゲームを止めて夕食を食べ始めた
夕食後も皆でゲームをし夜までワイワイやっていた
はる姉と亜姫は10時くらいに先に部屋に戻って行った。
そして、夜の12時くらいになりさすがに僕も眠くなってきた
「そろそろ寝ようよ」
「え~もっと遊ぼうよ~」
「でも僕眠いよ」
「ぶ~しょうがいないな~じゃあ今日は諦めるよ。というか私もなんやかんやで眠いし」
「だったらなんでまだ遊ぼうなんて言ったのさ」
「ノリかな!」
「ノリって、まぁいいや僕は部屋に戻るよ」
「うん!お休み!」
僕は、部屋に戻り布団にもぐった
すぐに睡魔が襲ってきて僕は眠りに落ちた