第60話
第60話
由香ちゃん達の学校の文化祭から数日後、特に何か変わったこともなく
僕たちは、いつものように学校に向かう
僕たちの方もあと2週間ぐらいで文化祭なので少しづつではあるが準備を始めている生徒を放課後によく見かける
最近では僕たちも放課後に集まって文化祭のイベントの一つであるバンド演奏の練習をしている
いつものようにはる姉、亜姫、途中で渉と合流して学校に向かい自分の教室に到着する
そして、渉とチャイムが鳴るまで適当に話をしていた
「俺たちも後、2週間後には文化祭だな」
「そうだね、今日も頑張ってバンドの練習しないとね」
「だな、あ、でも悪い俺今日は部活の方もあるから少し練習には遅れるわ」
「分かった、じゃあ皆で先に練習してるよ」
「おう!遅れはするけど必ず行くから」
「うん」
僕が頷いた後、チャイムが鳴り、ホームルームが始まった
先生が簡単に連絡事項を済ませて教室を出て行った
生徒の方も授業の準備を済ませて再び授業が始まるまでの間、友達との談笑にはいる
その後、少しして授業が始まった
授業もいつも通り進みお昼休みになった
お昼休みになると弁当箱を持った、はる姉、亜姫、美里先輩がやってきた
「和ちゃん・・・お昼食べる」
「兄さま・・・お弁当・・・何処で食べますか?」
僕たちの所に来て二人がそういってきた
「いつも通り屋上でいいんじゃないかな」
「相変わらずね、二人とも」
隣で微笑ましそうに見ていた美里先輩がそう言った
「うし!じゃあ屋上行くか!和人」
「そうだね」
僕たちは、お弁当を持って屋上に向かった
弁当を食べるべく近くのベンチに腰掛ける
僕たちは、弁当を食べながら文化祭の話をし始めた
「後2週間で文化祭ね、時間が経つのは早いわね~」
「美里・・・なんか・・・おばさんっぽいよ・・・その言葉」
「うっ!今、心に重い一撃を受けたわ」
「確かに・・・今のは・・・ちょっと・・・おばさんみたいでした」
亜姫もはる姉の意見に賛同しそう言った
「二人とも、はっきり言ったな」
渉が苦笑いしながらそう言った
「うう~、二人とも酷いわ。こうなったら和人君を慰めて~」
そう言いながら美里先輩が僕に抱きついてくる
「うわっ!ちょ、ちょっと美里先輩抱きつかないで下さいよ」
僕は、弁当を落としそうになったが何とか耐えた
「いいじゃない、亜姫ちゃんと美里のせいで私の心がボロボロになったんだから家族である和人君が私を慰めるのは当然だわ!」
「だからってなんで、抱きついてくるんですか」
「ん~なんか落ち着くから」
「どうでもいいっすけど、美里先輩それ以上和人に抱きついてると大変なことになりますよ」
渉が美里先輩を見ながらそう言ったその目には若干脅えが見える気がする
「美里・・・和ちゃんから・・・そろそろ離れないと」
「大変なことに・・・なりますよ」
二人が美里先輩をにらみながら気迫のこもった声で言った
「あ、あははは、二人とも冗談よ、そんな、怒らなくても・・・」
「「・・・」」
二人は、無言で美里先輩をにらみ続けている
「う~、ご、ごめんなさい」
美里先輩が脅えながら二人に謝っている
「二人とも、そんなに怒らなくても」
「「でも・・・」」
「二人だって美里先輩に失礼なこと言ったんだから」
「仕方ない・・・」
「今回は・・・見逃します」
「なんだか、ものすごく疲れたわ」
美里先輩が安堵しながらそう言った
その後も色々話をしながら昼食を終えお昼休みが終わった
午後の授業も特に変わったこともなく放課後を迎えた
放課後になり僕は、バンド練習のため練習の時に集まる教室へと向かう
練習ように開けてある教室に向かうとすでに渉以外のみんなは揃っていた
「和人君、遅いわよ」
「すいません、ホームルームが少し長引いて」
「それなら仕方がないわね、あれ?皆本君は?」
「渉は、部活に行ってから来るって言ってました」
「そうなの、皆本君はドラムだからできればいてほしかったんだけど部活なら仕方ないわね。それじゃあ先に練習始めておきましょ」
「そうですね」
皆それぞれに楽器を構える
それぞれの楽器は、さっき美里先輩が言ってた渉がドラムで美里先輩がギターではる姉がベース、亜姫がキーボードとなっている、そして僕が、ボーカルという風になっている
「じゃあ、合わせてみましょうか」
「うん・・・」
「わかり・・・ました」
「僕は、どうします歌いますか?」
「そうねぇ~、今日は演奏聞いててもらえないかしら?何かアドバイスほしいしね」
「いいですけど、あまり的確なアドバイスができるかどうかはわかりませんよ」
「いいのよ別にそういうのは気にしないでなんとなくでいいのよ」
「わかりました」
「じゃあ、始めるわね」
「はい、どうぞ」
美里先輩は、亜姫とはる姉に軽く合図を出し演奏を始める
アドバイスを求めていたが、基本的に3人とも特に変なところもなく演奏をしている
数分後、演奏を終え僕に感想を聞いてくる
「それで、どうだった和人君」
「特に悪いところはないと思いますよ、強いて言うなら亜姫のキーボードの音量が少し大きいかなとは思いましたね」
「じゃあ・・・少し音量を・・・下げてみます」
そう言って亜姫は音量を調節し始めた
「それぐらいじゃないかな」
僕は、自分がちょうどいいんじゃないかと思うあたりで亜姫にそう言った
「じゃあ・・・これぐらいで・・・演奏してみます」
「うん」
「じゃあ、次は和人君もボーカルとして混ざってやってみましょう」
「わかりました」
その後は僕もボーカルとして混ざって休憩したり演奏したりを繰り返しながら練習を続けていた
数時間が経過した時、渉がようやく練習に来た
「すまん!、思いのほか時間がかかってな」
渉は、慌ててきたのか少し息切れしていた
「部活なら仕方がないわよ、今日は後1時間くらいしか練習できないけど2週間も期間があるんだから大丈夫よ」
「マジ、すいません」
渉は謝りながら荷物を置いてドラムのスティックを手にして構える
「それじゃあ、みんな揃ったしまた最初の曲からやってみましょうか」
渉も揃い美里先輩の一言で再び練習に戻った
そして1時間後、練習を終えた僕たちは楽器を片付けて学校を後にした
「今日も、ちゃんと演奏できてたわね」
「そうですね」
「後は、和人のギブスがとれれば完璧だな」
「そうだね、文化祭の直前には取れるから大丈夫だよ」
「骨自体はどうなの?もうくっついてるの?」
「はい、ちょっと前に病院に受診しに行ったらもう大丈夫だって言ってました。でも一応しばらく経過を見ようということでギブスはそのままですけど」
「そうなの、それなら良かったわ」
「ええ、なんかここまで順調だと逆に怖いですけどね」
「そうかしら、けっこう大変なこともあったから今が順調なのは当たり前な気もするわよ、私は」
「特に・・・和ちゃんは・・・大変なこと・・・多かった」
「そうよね、だから今が順調なのは必然なんじゃない」
「そんなもんですか」
「そんなもんよ、っとそろそろお別れねじゃあね皆また明日」
「はい、また明日」
「じゃあね・・・美里」
「おつかれさま・・・でした」
「おつかれーっす」
美里先輩は僕たちと別れて自分の家へと戻って行った
「さて、俺たちも自分の家に帰るか」
「だね」
僕たちも美里先輩を見送った後、自分の家へと帰って行った