第58話
第58話
月曜日の朝、いつも通りの時間に起床し、はる姉と亜姫と一緒に朝食を取っている
久しぶりの学校だし渉にノート見せてもらったとはいえ授業も遅れてるだろうから頑張らないと、それに、後一カ月ぐらいで文化祭もあるし
朝食の食べ終えて食器をキッチンに運ぶ
家事ができない僕に変わってはる姉と亜姫が食器を洗ってくれた
その後は、いつも通りテレビをしばらく見てから家を出て学校に向かった
しばらく歩いていると、渉と合流した
「おはよう和人」
「おはよう渉」
「久しぶりの学校だな」
「そうだね、そうだこれ借りてたノートありがと」
僕は、カバンから借りてたノートを取り出し渉に返す
「おう、どういたしまして」
「なんとか、二日で写せたよさすがに一週間分の授業の内容を移すのは苦労したよ」
「無理しないでゆっくり書けばよかったじゃねぇか、別にしばらく借しといてもかまわなかったぜ」
「でもそしたら渉が困るでしょ」
「そんなことねぇよ、予備で一応ノート持ってるしなそもそも授業は基本的に寝てるしな」
「いや、寝ちゃだめだから」
僕は苦笑いで渉にそう返した
15分ぐらいして学校に到着した僕たちは各自の下駄箱に向かう
僕は、カバンを一旦下に置き下駄箱を開けた
すると、ドサドサとたくさんの手紙が落ちてきた
「何だろこれ?」
「あ~なんか予想通りになったな」
僕は落ちてきた手紙の一枚を見ながらそうつぶやいた
「和ちゃん・・・何かあったの?」
「兄さま・・・どうしましたか?」
上履きに履き替えたはる姉と亜姫がこちらにやってきた
「いきなりたくさんの手紙が出てきたから少しびっくりしちゃって」
「それ、全部ラブレターだろうな」
「ラブレター僕に?」
「そりゃあ、お前の下駄箱に入ってたんだからお前のだろ」
「でも、なんで?」
「もとから和人は人気あったからな、しかもそれに一週間前の事件だろ普段優しい和人が家族のために体張ってストーカー撃退したから優しいだけじゃなく勇敢なところも持ち合わせてるから女の子にとっては理想の男なんだろうな」
「撃退って・・・ほとんどボコボコだったけど」
僕は少し苦笑いでそう言った
「でも、お前がいなきゃあのストーカーは警察が来る前に逃げてたと思うぞ。まぁ、いまさらこんな話をする必要もないか。とにかく今のお前はこの学校の女子に大人気なんだよ」
「僕がねぇ・・・」
「まぁ、その話はこれまでにしてボチボチ教室行かないといけないしな」
「そうだね、それじゃはる姉、亜姫、お昼休みにね」
「わかった・・・お昼休みに・・・和ちゃんの教室に・・・行くから」
「私も・・・姉さまと一緒に・・・兄さまの教室に・・・行きます」
「ありがと、じゃあまたあとで」
僕は二人にそう言ってから小走りで自分の教室に向かう
自分の教室に辿り着き渉の後に教室に入ると視線が一気にこちらに集中した
そして、今まで座っていたクラスメイトも含め皆が一斉にこちらに来る
「大丈夫だったのかよ!文弥!」
「心配してたんだぞ!この野郎!」
「ニュース見たぞ!すげぇなお前!」
「妹を守ってストーカーを撃退するなんて、なかなかできないわよ!」
「文弥君って、やさしいだけじゃなくて強いのね!」
みんな口々に僕に言葉をかけてくれる
「はいは~い、皆ここまで~和人が困ってるだろ」
「なんだよ、皆本、少しぐらいいいだろ」
「そうよそうよ!」
皆が渉の言葉に不満を漏らすがその時、チャイムが鳴り先生が教室に入ってきた
「全員席に着け~」
先生がそういうと皆がそれぞれの席に着いた
その後、いくつかの軽い連絡事項がありホームルームは終了した
先生が教室から出た後、また皆が質問してきたりしたが渉が適当にあしらったりしてくれていたのであんまり大きな騒ぎにはならなかった
授業が始まり僕は、ノートや筆記用具を取り出す
やっぱり片腕使えないとノートも写しづらいなと思いながらもなんとか遅れずにノートを写していく
こんな感じで午前中は、少しノートを写したりするのに苦戦しながらも無事に終わった
お昼休みになり、ノートなどを片付けていると朝言っていた通りはる姉と亜姫そして朝は一緒にならなかったが美里先輩も教室にやってきた
「やっほ~和人君」
「美里先輩、どうも」
「和ちゃん・・・お昼食べよ」
「兄さま・・・何処で食べますか?」
「何処にしようか」
「屋上でいいんじゃないか外で食う方が飯もうまいだろ」
「そうだね、じゃあ屋上に行こうか」
「私は、別にいいわよ」
「ん・・・私も」
「兄さまが・・・いるなら・・・何処でもいいです」
場所が屋上に決まったので僕と渉も自分のカバンから弁当を取り出して皆で屋上に向かう
屋上には、すでに何人かの生徒が昼食を取っていた
僕たちも開いてる所に座りお昼を食べ始める
「和ちゃん・・・授業大丈夫だった?」
「うん、片腕使えないから少し不便だけどなんとか大丈夫だよ」
「あんまり・・・無理しちゃだめ・・・授業遅れても・・・私が教えてあげるから」
「うん、ありがとはる姉」
「そういえば和人、今朝のラブレターはどうしたんだ?」
「一応、カバンにしまってあるけど・・・どうしよう」
「和人君がたくさんのラブレターもらったのって本当だったのね」
「美晴先輩や亜姫ちゃんが貰うのと同じくらいの量があったっすよ」
「まぁ、和人君ならそれぐらいもらっても不思議じゃないけどね。私や美晴も授業の合間の休み時間に和人君について色々聞かれたわよ」
「私も・・・聞かれました」
「ん・・・大変だった」
「僕のことってどんなこと聞かれたんですか?」
「色々よ好きな子いるのかとか趣味とかね後は年上と年下どっちが好みなのかとか」
「私も・・・似たようなことを・・・聞かれました」
「そ、そうなんだ大変だったね」
「まぁ、そんなことは別にいいんだけどね、それより和人君バンドの練習のこと覚えてる?」
「文化祭のやつですよね、覚えてますよ」
「ええ、それで練習なんだけどそろそろ始めたいのよね、後、3週間ぐらいだから和人君はボーカルだからともかく私たちは練習しないとね」
「それもそうですね、でも申し込みはもう済ませてるんですか?」
「今日、申込用紙を書くつもりなのさすがにグループでの参加は全員の名前がいるからねさすがに勝手に書いたら申し訳ないしだから放課後に申込用紙を持っていくわ。ということでできれば今書いてほしいんだけど」
「いいですよ」
「俺も別にいいっすよ」
「分かり・・・ました」
「ありがと、美晴にはさっき書いてもらったから。後は3人だけなの」
そう言って美里先輩は申込用紙を取り出す
僕たちは順番に名前を書いていきその申込用紙を美晴先輩に返した
「よし、後はこれを放課後に出すだけね」
「なんか、今から文化祭が楽しみになってきたな」
「そういえば、来週は由香ちゃん達の学校の文化祭だよね」
「そういえば、そうだな」
「9月の最後の辺りって言ってたけど、具体的にはいつなの?」
「ちょうど来週の土曜日だな」
「そっか」
「あ!後、うちのクラスの喫茶店だけどなんか服はどうにかなりそうって言ってたぞ」
「そうなんだ、こっちも順調ってことかな」
「だな、まぁ本格的な準備は残り一週間ぐらいからだと思うけどな。今は、軽く役立ちそうなものを各自で持ってくるみたいな感じだし」
そんな話をしているとお昼休み終了のチャイムが鳴り僕たちは自分のクラスに戻って行った
午後の授業は、2時限とも体育だったので僕は見学していた
午後の授業も終わり、放課後になったのでカバンを持ち教室を後にする。渉は部活があるので荷物を持って体育館の方へと走って行った
昇降口に行くとはる姉と亜姫がカバンを持って待っていた
「二人ともお待たせ」
「ん・・・後・・・美里が来るから・・・ちょっと待ってて」
「そっか、申込用紙を持っていくって言ってたもんね」
「うん・・・もう少しで来ると・・・思うから」
はる姉がそう言ってから少しして小走りで美里先輩がやってきた
「お待たせ~皆それじゃあ帰りましょ」
僕たちは、上靴をしまって学校を後にする
いつものように適当に談笑しながら帰る
途中で美里先輩とも別れ僕たちも自分の家に戻る
家に到着した僕たちは、カバンを部屋に置いて着替え始める
ギブスがはめてあるので少し着替えづらかったがなんとか着替えも終わり下に降りる
下に降りるとはる姉と亜姫が夕食の準備を始めようとしていた
「和ちゃん・・・ちょっと待っててね・・・すぐ夕食作るから」
「ごめんね、僕にも何か手伝えることない?」
「大丈夫です・・・兄さまは・・・ゆっくりしてて・・・ください」
亜姫がそう言ってくれたので少しお言葉に甘えてゆっくりしておくことにした
さすがに久しぶりの学校だったし少し疲れてしまった
しばらくして、夕食を作り終えたようなので僕はソファーからテーブルの椅子に移動する
そして、夕食を食べ始めるのだが
「和ちゃん・・・あ~ん」
「兄さま・・・あ~ん・・・してください」
二人が僕にご飯を食べさせようとしてくるのだ
「じ、自分で食べられるから」
「でも・・・食べづらいかも・・・しれない」
「だから・・・私たちで・・・食べさせます」
そう言って箸を突き出してくる
二人を見ると意地でも食べさせるみたいな顔をしているので、僕は、あきらめて二人に食べさせてもらうことにした
夕食を食べ終えてしばらくゆっくりしていたが時計を見ると8時になっていたので着替えを部屋から持ってきてお風呂に入る事にした
途中で二人が背中を流してあげると言いながら僕についてきたのでなんとかそれを止めてお風呂に入る
さすがにあの二人が入って来たら姉と妹とはいえ僕の理性が持たなくなるよ・・・
二人を警戒しながら髪と体を洗いお風呂に浸かる
お風呂からあ上がりパジャマに着替えてリビングに戻る
僕が上がってきたのを見て二人もどっちが先に入るかを決め順番にお風呂に入り始めた
二人もお風呂に入り終わりしばらくお茶を飲みながらテレビを見たり本を読んだりしていたがぼちぼち寝ようと思い自分の部屋へと戻った
僕は、明日の準備を済ませてから布団の中に入り眠りについた