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第57話

第57話


あれから一週間後、僕は今退院の準備をしている


一週間、いろいろ検査を受けたけど特に問題もなく予定通りの退院となった


マスコミの人もさすがに一週間も同じネタを引っ張っているわけにはいかないのか2,3日前から姿をほとんど見なくなり僕の周りは大分落ち着いた


私服に着替えて荷物をかばんにしまい準備を終える


「文弥君、支度は終わったかしら?」


準備を終えた頃に水瀬さんが病室にやってきた


「はい、今終わりましたよ」


「そうじゃあ、受付で退院手続きを済ませなきゃね」


「そうですね」


水瀬さんにそう言われ病室を出ようとした時


「よ、和人」


明るい声で僕の名前を呼びながら渉が病室に入ってきた


「渉!、どうしてここに!」


「今日、退院だろだったら荷物持って帰るのは大変だろうと思ってな手伝いに来た」


「でも、学校は?今日は金曜日だしまだ午前中だから授業あるはずだよね」


「サボりだ」


「サボりって、はぁまったく」


「まぁ、良いじゃねえかどのみち片腕じゃあ荷物持つのに苦労するだろ」


「そうね文弥君折角なんだから渉君に家まで荷物持って帰ってもらいなさい」


水瀬さんは、僕を見ながらそう言った


ちなみに水瀬さんはこの一週間で僕の周りの人とかなり仲良くなっており今のように渉のことを普通に名前で呼んだりしている他のみんなも水瀬さんはちゃん付けや君付けで呼んでいる


「仕方ない、じゃあお言葉に甘えるよ」


「まぁ、いざとなったら和人に勉強教えてもらえばいいしな」


「その前に進んだ分だけノート写させてよ」


「もちろんだ」


「文弥君って頭いいの?」


「成績はいつも上位のほうにいますよ和人は運動神経もいいですし」


渉が水瀬さんのほうを見ながらそう言った


「へぇ、すごいわね。そんな文武両道の人始めてみたわ」


「渉、過大評価しすぎだよ僕はそんなにすごくないよ」


「そうか、お前は自分のことを過小評価し過ぎだと思うぞ」


そんなやりとりを渉としていると自然と笑みがこぼれてくる


僕の表情を見て渉が


「やっとお前らしくなったな」


「僕らしく?」


「ああ、上手く言えないがこの一週間お前は俺たちの前で笑ってはいるがなんか別の感情も入り混じってる感じだったからな、でも、今のお前はそんな感じがしない」


「そうかな」


僕は、自分ではそう感じていなかったのだが渉にはそう感じたらしい


「そうだよ、まぁ元気が戻ったってことだろ、美里先輩たちも今日は夕方から和人の家で退院祝いをしてくれるって言ってたぞ。その前にいつも通りになって良かったよかった」


渉は、笑いながらそう言った


「青春ねぇ~」


水瀬さんが腕を組んでうんうんと頷きながらそう言った


「さて、元気になった人がいつまでも病室にいたら駄目よそろそろ受付に行きましょう」


「はい、分かりました」


僕は、自分の荷物を肩に担ぎながらそう言った


「じゃあ、俺はもう一つの荷物を持つか」


渉はもう一つ置いてあったカバンを肩に担ぐ


「うん、頼むよ渉」


「おう!頼まれた」


僕たちは、忘れ物がないか軽くチェックして受付へと向かった


受付に言った僕は、水瀬さんに簡単な説明を受けながら退院手続きを済ませて入院費を払いに行く


お金の方は入院中に母さんに連絡をしたので問題はない


まぁ、事情を説明した時、仕事を放って僕のところに戻ってくるって言った時は説得に苦労したけど


会計を済ませた僕は病院の出る


水瀬さんもお見送りで一緒に着いてきてくれた


「水瀬さん一週間お世話になりました」


「もう入院になんてなっちゃだめよ、文弥君たちはまだ若いんだから」


「ええ、気を付けます」


「でも、寂しくなるわ~文弥君と話をしたりするの結構癒しになってたから」


「アハハ、今度水瀬さんが暇なときにでも家に招待しますよ、お茶菓子とお茶ぐらいは出しますから」


「ありがとう、そうねいつか御馳走になりに行くわ。もちろん和人君たちの文化祭にも行くわよ」


「はい、楽しみにしてますね」


「ええ、それじゃあね気をつけて帰るのよ」


「はい、それじゃあ」


僕と渉は水瀬さんに頭を下げて病院を後にした


しばらく、ボ~っとしながら歩いていると渉が話しかけてきた


「外に出て疲れでも出たか和人?」


「そんなことないよ久しぶりに外に出たなと思ってね」


「でも散歩とかしてたんじゃないのか許可されてたんだろ」


「許可は出てたけど、病院に運び込まれた次の日に春香さんと一緒に散歩しようと病院の敷地内を軽く回ってたんだけどマスコミに見つかっていろいろ聞かれちゃってねそのあとから出てないんだよ」


「そう言えば母さんがそんなこと言ってたな、一緒に話を聞いてた由香や父さんもかなり怒ってたしな」


「そうなの」


「ああ、それ以前に母さんがキレたことに驚きだ普段はあんまり怒らないタイプだからな」


「僕もその時はビックリしたよ」


「まぁ、それだけ心配されてるってことだ」


数十分後、ようやく家に到着


鍵を開けて家の中に入る


リビングに行きソファーの近くに担いでいた荷物を下ろす


「やっぱ少し疲れたか和人?」


「少しね、ほとんどベットの上であんまり動いてなかったからね」


「しょうがねぇよ、病院だしな」


「まあね、そういえば今日皆がうちに来るんだよね?」


「ああ、学校終わってな美里先輩たちは俺が休んでるの知ってるしな」


「じゃあ、材料とか買いに行かないと」


「おいおい、祝われる人間が準備してどうするんだよ」


「でも、悪いよそれに軽い運動も兼ねて外に出たいしね」


「なら、俺も付いていくか一人ではさすがに無理があるだろ」


「そうだね、難しいかもじゃあもう少し休憩したら行こうよ」


「了解」


その後、僕と渉は家に置いてあったカップラーメンを食べてからしばらくして材料を買いに出掛けた


「さてと、どこで買い物するよ材料だけならスーパーか?」


「そうだね、あそこならそんなに遠くないし商品も安いし」


「んじゃ、行くか」


僕と渉は適当に話をしながらスーパーに向かった


数十分後、スーパーに到着した


「それで和人、来たのはいいが何を買うんだ?」


「どうしようかな、よく考えたら何を用意すればいいかわからないや。渉は何か聞いてないの?」


「退院祝いをやるとしか聞いてないな」


「じゃあ、お菓子やジュースでも買っていこうお菓子なら多めに買っても置いておけるし」


「そうだな」


僕たちは、カゴを取りジュースやお菓子をたくさん買って会計を済ませスーパーを出た


家に帰ってきた僕たちは、時間が3時を少し過ぎたところだったのでおやつも兼ねて買ってきたお菓子とジュースを少し食べることにした


もちろん、夕方用に使う分なのでほとんどはしまっているが


お菓子を食べたりボードゲームでしばらく時間をつぶしていると玄関のドアが開く音が聞こえた


「「「「「おじゃましまーす」」」」


「皆が来たみたいだね」


「みたいだな」


そして、はる姉を先頭に次々といつものメンツがリビングに入ってきた


「和ちゃん・・・ただいま」


「兄さま・・・ただいま」


「おかえり、二人とも」


「和人さん、退院おめでとうございます」


「「おめでとうございま~す」」


由香ちゃんが言葉に続き美奈ちゃんと優菜ちゃんが同時におめでとうと言ってくれた


「ありがと、由香ちゃん、美奈ちゃん、優菜ちゃん」


「やっぱりこの家には和人君がいないとね~」


「美里の言うとおり・・・和ちゃんがいないと・・・家にいてもあんまり・・・落ち着かない」


「一週間・・・寂しかったです」


「ごめんね」


僕は謝りながら亜姫の頭をなでる


亜姫は、嬉しそうに微笑んでいる


「亜姫だけ・・・ずるい・・・私も頭なでて」


はる姉がそう言うので今度は、はる姉の頭をなでる


「癒される・・・」


「いつも通りの日常に戻ってよかったわ」


美里先輩が僕たちのほうを見ながらそう言った


「さて、じゃあそろそろ和人君の退院祝いの準備しなきゃね」


「とりあえず・・・私たちで・・・夕食作る」


「そうね、材料も買ってきてあるし」


「一応、僕と渉で散歩も兼ねてお菓子とかは買ってきてるので夕食の後、好きに食べてください」


「ありがとう、お菓子とかは準備中に誰かに買ってきてもらおうと思ってたんだけど手間が省けたわね」


「それじゃあ、私たちはどうしましょう?」


由香ちゃんが少し困ったようにそう言った


「さすがにキッチンにはそんなにたくさん入れませんしね」


「だったら、由香ちゃんたちは和人君を見張っていてちょうだい」


「美里先輩、見張るって・・・」


「だって和人君のことだから、お皿運ぶだけでも手伝うって言いそうだし」


「それぐらいは手伝わないと悪いし」


「だから見張ってもらうのよ」


「分かりました!私たちで和人さんを見張っておきます」


優菜ちゃんが元気よくそう言った


「そうですね。今回の主役は和人さんなんですから、和人さんに手伝ってもらったら私たちが悪い気分になっちゃいますよ」


「そういうことなので、主役の和人さんは椅子に座って待っててくださいね」


そう言って美奈ちゃんが僕の肩を少し押してイスに座らせる


「それじゃあ、お願いね」


美里先輩がそう言いながらはる姉と一緒にキッチンに向かう


一方、そのまま座らされた僕は、なぜかすかさずやってきた亜姫に抱きつかれており身動きがほとんど取れない状態になっていた


「あのー、亜姫、離れてほしいんだけど」


「駄目です・・・兄さまが・・・動かないように・・・捕まえておきます」


「和人あきらめろ、亜姫ちゃんは料理が来るまで離れる気はなさそうだぞ」


渉が笑いながらそう言った


「離れません・・・抱きついてると・・・落ち着きます」


「亜姫、そっちが本音でしょ」


「はい・・・」


「まったく、今日だけだからね」


「といいながらもこれからも同じことをされても許しそうだな和人は」


「アハハハ、そうかもね」


僕たちは結局、料理が完成するまでボードゲームなどで時間を潰した、亜姫も僕に抱きついたまま器用にゲームをやっていた


しばらくして、料理を作り終えた美里先輩とはる姉がたくさんの料理を運んできた


唐揚げやサラダなど様々な料理が並べられていった


「たくさん作ったから、おかわりしてね~」


「和ちゃん・・・いっぱい・・・食べてね」


「うん、ありがとはる姉」


「「「「「「「「いただきま~す」」」」」」」」


自分の食べたいものを小皿にいくつか取り、食べ始める


美里先輩とはる姉が作った料理はどれもおいしく皆も皆しゃべりながらも夢中で食べている


そして料理を食べ終え片付けも終わり、大分時間が経った頃さすがに皆も帰らないといけない時間になってきたのでここでお開きにすることにした


見送りをするため玄関に向かう


「じゃあ和人君、また月曜日に会いましょう」


「はい、今日はありがとうございました」


「じゃあな和人、あ!後これ学校のノートな渡すの忘れるところだったぜ」


「ありがと渉、じゃあ借りるね」


「まさか、俺が和人に何か貸すことになるとわな」


「今回限りでしょ兄貴が何か貸すことは」


「だろうな」


渉が苦笑いでそう言った


「今日は、お邪魔しました和人さん」


「とっても楽しかったです」


「また来ますね」


由香ちゃん、美奈ちゃん、優菜ちゃんの順に笑顔でそう言った


「じゃあ帰りましょうか、ゆっくり休むのよ和人君」


「はい、美里先輩たちも帰りは気を付けてくださいね」


「ええ」


皆、さよならと一言言ってから家を出る


皆を見送った後、お風呂に入ってからしばらくリビングでゆっくりしていたのだが疲れが出たのかだんだん眠くなっていき


部屋に戻り、寝ることにした


自室に戻り、やっぱり自分の部屋が一番落ち着くなぁと思いながら僕は眠りに着いた











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