第52話
第52話
ユサユサ、今朝僕は誰かに体を揺さぶられて目が覚めた
「う、う~ん誰?」
「兄さま・・・起きて」
「亜姫?どうかした」
「昨日の・・・約束・・・二人で出掛ける」
「あ!そうだったね、今何時?」
「7時・・・です」
「・・・あのさ亜姫、出掛けるのはもうちょっと遅くてもいいと思うけど」
「楽しみ・・・」
「楽しみだから、早く僕を起こしたと」
僕がそう言うと、亜姫はコクンとうなずいた
「そっか、じゃあ起きようかな」
「ん・・・朝ごはん・・・できてます」
「うん、着替えたらすぐ行くから、下に行っててね」
「はい・・・」
亜姫は、僕が言った通りにすぐに下に降りた
僕もすぐに着替えを済ませ下に向かう
下に行くとはる姉がエプロンを着て朝ごはんをテーブルに並べていた
「和ちゃん・・・おはよう」
「うん、おはようはる姉」
「あ、和くんおはよ~う、ふぁぁ」
「母さんおはよう眠そうだね」
「昨日夜遅くまで漫画読んでたんだ、テヘッ」
「テヘッじゃないよ、あんまり夜更かししたらだめだよ」
「は~い」
まったくこれじゃどちらが親か分からないよ
「和ちゃん・・・ご飯冷めちゃうから・・・早く座って」
「うん、分かった」
それぞれ、いつも座っている場所に座る
朝食を皆でワイワイと食べた
朝食を食べ終えた僕は、はる姉の入れてくれたお茶を飲みながらのほほ~んとしていた
すると後ろからクイクイと服をひっぱられた
引っ張られた方を見ると亜姫が若干頬を膨らませていた
「どうしたの、亜姫?」
「兄さま・・・私との・・・約束」
そう言われ時計を見ると、いつのまにか9時になっていた
「いつのまに、こんなに時間が」
「そろそろ・・・行きます」
「そうだね、ごめんねぼ~としてたね」
僕は一言謝って、亜姫の頭をなでる
「・・・///」
亜姫は、今度は頬を赤く染めていた、表情はさっきとは反対に明るかった
僕は、自分の部屋に戻り財布、携帯を持って下に戻る
亜姫は、準備を終えていたのですぐに出掛けることができる状態になっていた
「じゃあ、行こうか」
「はい・・・」
僕たちが出掛けようとしたら
「和ちゃん・・・出掛けるの?」
とはる姉が言ってきた
「うん昨日、亜姫と約束したしね」
「そっか・・・気をつけてね・・・いってらっしゃい」
「ありがと、はる姉」
「行ってきます・・・姉さま」
僕と亜姫は、はる姉に一言そう言って出掛けた
ちなみにこの場に母さんがいないのは、朝食を食べる前に母さんが自分で行っていた通りで昨日夜遅くまで漫画を読んでいて夜更かしをしたため再び夢の世界にダイブしたのだ
いつも通る道を亜姫と進みながら、どこに行こうかと話し合っていた
「亜姫は、どこか行きたいところとかある?」
「えっと・・・映画をみたいです」
「何か見たいのがあるの?」
「前に姉さまと・・・母さまの・・・四人で行ったとき・・・にもう一つ見たいのが・・・あったんです」
亜姫は、少し遠慮気味にそう言った
「じゃあ、映画見に行こうか」
「でも・・・少し早い気がします」
亜姫は、残念そうにそう言った
僕は時計を確認する、確かに少し早い気がする
「少し早いね、でもゆっくり歩きながら行けばちょうどいい時間に着くと思うよ」
「ホント・・・ですか?」
「うん」
「分かりました・・・ゆっくり行きます」
そう言って亜姫は、僕の腕に抱きついてきた
「最近、亜姫は、僕の腕に良くくっついてる来るよねどうして?」
「マイブーム・・・です」
「そう・・・なんだ」
僕は、少し苦笑いしながら亜姫の方を見る
亜姫は満足そうな笑顔を浮かべていた
(まぁ、これぐらいで喜んでくれるんなら僕もうれしいけどね)
そして、駅前に到着した。映画が始まる時間にも丁度いい感じだ
映画館の方に行き、亜姫に何が見たいのか聞く
「それで、亜姫は何が見たかったの?」
「あれ・・・です」
そう言って亜姫が指さしたのはなぜかホラー映画
「ホントにこれがいいの?」
「はい・・・少し怖いですけど・・・見てみたいです」
「亜姫がそういうなら」
僕たちは二人分のチケットを買ってその後ジュースなどを買って中に入った
しばらくして、他の映画などのCMが流れていたが時間になり映画が始まった
映画の内容は思いのほかショッキングな映像などが流れて中々衝撃的な内容だった
隣で見ていた亜姫も終わるまでずっと僕の手を握って震えていた
映画が終わり館内から出る
「結構怖かったね」
「はい・・・でも面白かったです」
「そうだね、さて次はどこに行こうか」
僕はそう言いながら時計を確認する時刻はちょうど12時だった
「時間もちょうどいいし昼食も食べに行く?」
「食べたいです・・・お腹すきました」
「じゃあ、近くのファミレスにでも入ろうか」
僕がそう言うと、亜姫はコクンとうなずいた
その後、僕たちは近くのファミレスで昼食を取り、そのあとはいろんな店を回ったりして楽しい時間を過ごした
そして、夕方になり僕たちは帰ることにした
「今日は、楽しかった?」
「はい・・・今日は一日・・・付き合ってくれて・・・ありがとうございます・・・兄さま」
「気にしないで、昨日約束したのは僕だしね。楽しんでもらえたんなら僕もうれしいよ」
そんな話をしながら僕と亜姫は家に到着した
「さて、ここからが本番だね」
「何が・・・ですか?」
「家の中に入ればわかるよ」
僕はそう言いながら玄関の扉をあける
そして、亜姫を最初にリビングに向かわせる
亜姫は若干不思議そうな顔をしながらリビングのドアを開けると
パンッパンッ
クラッカーの音がリビングに響き渡った
「「「「「「「亜姫ちゃん誕生日おめでとう!!!」」」」」」」
僕以外の皆が一斉にそう言った
「兄さま・・・これは」
「ビックリした?今日は亜姫の誕生日だから、昨日から作戦を立てて準備してんたんだ」
「そうだったん・・・ですか・・・ありがとうございます」
亜姫は、嬉しそうにしながら皆にお礼を言う
由香ちゃんが亜姫の背中を押す
「さぁ、亜姫ちゃん座って座って!今日は亜姫ちゃんが主役なんだから」
亜姫は少し戸惑いながらも由香ちゃんに連れられて椅子に座らせられる
「さぁ、料理も一杯作ったからたくさん食べてね!」
「ケーキも・・・作った・・・私たちの自信作」
「私も頑張ったよ~」
と昨日決めた料理組の三人が言った
「飾り付けだって頑張りましたよ!」
「おお、この飾り付けにはかなり時間かかったからな」
「亜姫ちゃんに喜んでもらえたらうれしいな!」
「どうかな亜姫ちゃん?」
「とっても・・・嬉しいです」
亜姫は笑顔でそう答えた
飾り付けをしたメンバーは亜姫の返答に喜びハイタッチをしている
僕たちは、その後ワイワイと料理やケーキを食べながら騒いでいた
亜姫はずっと笑顔で嬉しそうに料理を食べたり、皆と談笑していた
こんなに嬉しそうにしてもらえると僕たちも頑張ったかいがあるという者だ(僕はほとんど何もしてないけど・・・)
料理もあらかた食べ終えた僕たちは亜姫にプレゼントを渡すために自らが用意したプレゼントを持つ
最初に動いたのは、はる姉だ
「亜姫・・・これ・・・私からのプレゼント」
「姉さま・・・ありがとうございます」
はる姉がプレゼントしたのは、ワンピースだ
「じゃあ、次は私ね!」
そう言って母さんもプレゼントを渡す
母さんが用意したのは、可愛いブックカバーと亜姫好んで読んでいるジャンルの小説だった
「亜姫ちゃんはこのジャンルの本が好きだからこれにしたんだ♪」
「母さま・・・ありがとうございます」
それに続き皆がプレゼントを渡す
渉は、少し大きめのクマのヌイグルミで由香ちゃんは可愛いフォトスタンド
美里先輩は、自分がお勧めのCDで美奈ちゃんと優菜ちゃんは、美奈ちゃんが星の形をしたイヤリングで優菜ちゃんはハートの形をしたネックレスをプレゼントした
そして、最後は僕が渡す番だ
「はい、亜姫これが僕からのプレゼントだよ」
僕は、自分のプレゼントを亜姫に渡す
亜姫は、僕から貰ったプレゼントを開けた
「可愛い・・・です」
そう言ってプレゼントをテーブルに置く
「ホント・・・綺麗なオルゴールね」
美里先輩がそう言った
そう僕がプレゼントしたのはオルゴールだ
「聞いて・・・みていいですか?」
「もちろん」
亜姫がオルゴールを開けると綺麗な音楽が流れ始めた
♪♪♪~
「綺麗な・・・音色」
「それに、オルゴールの装飾もとってもかわいいです」
「兄さま・・・ありがとうございます・・・大切にします」
「喜んでもらえて僕もうれしいよ」
「今日は・・・ホントに・・・ありがとうございます」
その後も僕たちはワイワイとしばらく騒いでいたが時間が結構経っていたのでそろそろお開きにすることにした
「じゃあ俺たちはそろそろ帰るか」
「そうね、もう結構遅い時間だし片付けもあらかた終わったしね」
「そうですね、今日は楽しかった~」
「うん、またこんな風に騒ぎたいね~」
皆、それぞれ今日の感想を言いながら、玄関に向かう
僕はそれを見送りに玄関に向かう
「皆今日はありがとね」
「何言ってんだよ、お礼なんていらねぇよ俺たちも楽しかったしな!」
「そうよ和人君、お礼なんていらないわよ」
「そうですよ和人さん私たちは友達の誕生日を祝っただけですから」
「そうですよ~私たちもおいしいものとか食べれたし満足ですよ!」
「そうそう!私たちは騒げただけで満足ですよ!」
「それじゃあ、帰りましょうか」
「そうっすね」
「お邪魔しました和人さん」
「うん、また暇なときにでも遊びに来てね」
「はい!」
そんなやりとりを終えて皆が帰って行くのをしばらく見送り僕も家の中へと戻る
「和ちゃん・・・皆は・・・帰った?」
「うん、皆楽しかったって」
「そう・・・亜姫に楽しんでもらうのが・・・一番だけど・・・皆にも楽しんでもらえて・・・良かった」
「そうだね」
その後、僕たちはまだ少し散らかっている所を片づけてお風呂に入り眠ろうと部屋に戻る
二階に上がり自分の部屋に入ろうとした時に
「兄さま・・・」
亜姫に呼び止められた
「どうかしたの亜姫?」
「あの・・・今日は・・・ホントに・・・ありがとうございました・・・楽しかったです」
「そっか、楽しんでもらえて何よりだよ、プレゼントも喜んでもらえたし僕もうれしいよ」
「それで・・・その・・・」
「???」
「その・・・誕生日だから・・・とかじゃないけど・・・一緒に寝てくれませんか?」
亜姫は少しうつむき気味にそう言った
僕はクスッと笑って
「うんいいよ」
僕の答えにパァっと笑顔になる亜姫
「じゃあ、もう遅いし部屋においで」
「はい・・・♪」
僕と亜姫は部屋に入り布団にもぐる
僕は、しばらく亜姫の幸せそうな寝顔を眺めてから眠りに着いた