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第49話

第49話


パシャッ、パシャッ


う~ん、何の音だろう?


今朝僕は、何かの音で目が覚めた


目を開けるとそこには、いろんな角度から僕の写真を撮っている母さんがいた


「あ、和くん。おはよ~よく眠れた?」


母さんは僕が起きたのに気づいて僕に挨拶をしてきた


「母さんおはよう、後なんで僕の写真を撮ってるの?」


僕がそう聞くと母さんが


「和くんの寝顔があまりにも可愛かったからついね」


「ついじゃないよ・・・まったく、あれ渉は?」


「もう下にいるわよ」


「そうなんだ、じゃあ僕らも降りようよ」


「そうね、和くんの写真もいっぱいとれたし」


「僕は、あんまりとってほしくないんだけど・・・」


僕がそう言ったが僕の言葉は母さんには聞こえていなかったようだ


僕と母さんは下に降りる


「おう、和人目が覚めたか」


「うん、渉おはよう」


「和ちゃん・・・おはよう」


「兄さま・・・おはようございます」


「和人さん、おはようございます」


「はる姉、亜姫、由香ちゃんおはよう」


僕が三人に挨拶をすると、キッチンの方から朝食を作っていた美里先輩がこちらにやってきた


「おはよう和人君、珍しいわね和人君が私たちよりも遅く起きるなんて」


「すいません、朝ご飯作らせてしまって」


「いいのよ、和人君もきっと旅行の疲れが出たんだと思うし、それよりちょうど出来上がったところだからみんなで食べましょう」


「ありがとうございます」


僕たちは、それぞれ椅子に座って朝ご飯を食べ始める


「今日は、美里先輩たちはどうするんですか?」


「何が?」


「今日でお泊りも終わりだし皆いつごろ帰るのかなって」


「ああ、そういえばそうねどうしようかしら」


「どうすっかな~」


「なんだったら、夕飯食べてからにしなよ今日は美奈ちゃんと優菜ちゃんも来るからあっちさえよければ夕食を御馳走するつもりでいるから」


「じゃあ、俺はそうすっかな」


「そうね、私もそうするわ」


「私もそれでいいですよ」


と渉、美里先輩、由香ちゃんの順番で言った


「ねぇねぇ、和くん」


「どうかしたの、母さん」


「美奈ちゃんと優菜ちゃんって誰?」


「由香ちゃんの友達でね前に知り合ったんだよ」


「ふ~ん、その子たちが今日、家に来るの?」


「そうだよ」


「じゃあ、掃除した方がいいかもしれないわね」


「そうだね」


確かに母さんの言うとおり、しばらく家を開けていたせいか少し汚れているし昨日はすぐに寝てしまったから荷物の整理とかもしてないし


「じゃあ、今日は家の掃除でもしようかな」


「それだったら私たちも協力するわよ、和人君」


「ありがとうございます美里先輩」


「それじゃあ、朝食も食べ終わったし少し休憩してから始めましょうか」


美里先輩の言葉に皆頷いて僕たちは食器を台所に下げる


そして、数十分の休憩を終えて僕たちは各自掃除に取り掛かる


僕と渉は、窓やフローリングの床を雑巾で拭いたりしていた


美里先輩とはる姉は洗濯をして


亜姫と由香ちゃんは皆の部屋の掃除をしてもらっている


そして母さんは台所やお風呂場などの掃除をしてくれている


しばらく、黙々と作業をしていた僕たちは、思いのほか掃除を早く終わらせることができたのでテレビなどを見てくつろぐことにした


「思いのほか早く終えることができたわね」


テレビを見ながら美里先輩がそう言った


「そうですね、これも皆が頑張ったからですよ」


「そうね」


「和人、美奈ちゃんと優菜ちゃんは何時ぐらいに来るんだ?」


渉がそう聞いてきた


「多分、一時から二時くらいには来ると思うけど」


「そうか」


「和く~ん、それなら私とお昼までお出かけしようよ~」


母さんがそう言いながら後ろから僕に抱きついてきた


「ちょっと母さん抱きつかないでよ」


「え~いいじゃない、減るもんじゃないし」


「そう言う問題じゃないよ・・・」


「ぶぅ~」


母さんは子供のように頬を膨らませる


「母さん子供じゃないんだから・・・」


僕は、若干苦笑いでそう言った


それからしばらく似たようなやり取りがあったものの僕たちは午前中はダラダラと過ごしていた


その後、僕たちは各自で適当に昼食を食べた


そして、お昼の一時を過ぎた頃


ピンポーン


玄関のインターホンが鳴り僕は、玄関を開ける


来たのは、優菜ちゃんと美奈ちゃんだった


「こんにちは、和人さん」


「こんにちは~」


「二人ともいらっしゃい、どうぞ」


「「お邪魔しまーす」」


僕は、二人を連れてリビングに向かう


「こんにちは~」


「遊びに来ました~」


と二人が言うと


「いらっしゃい・・・ゆっくりしていってね」


とはる姉が言った


「綺麗ですね~和人さんの家」


「うん、ビックリした」


「二人も来るし今日は朝から大掃除だったからね」


「そうなんですか」


僕たちが話していると


「和く~ん、お菓子買ってきたよ!」


母さんがたくさんのお菓子を買って帰ってきた


「和人さん、この人は?」


「僕の母さんだよ」


と僕が答えると


「嘘、お母さん!全然見えない!」


「大学生くらいに見えますよ!」


最初に母さんを見たときの皆の反応と同じ反応をした


「こんにちは、美奈ちゃんと優菜ちゃんだよね和くんから話は聞いてるよ!今日はゆっくりして行ってねお菓子も買ってきたからね!」


母さんは二人にそう言った、こういうときは母さんはちゃんとしているからさすがだなと僕は思った


「はい」


「ありがとうございます」


いきなりの事で二人は少しびっくりしている


「まぁ、折角母さんが買ってきてくれたことだし、皆で食べようよお茶入れるからさ」


そして、僕は人数分のお茶を入れてテーブルに運ぶ


いくつかのお菓子はすでに開けられており皆少しずつではあるがワイワイと楽しみ始めている


「皆、お茶入れたから各自で取ってくれる」


僕がそう言うと皆がハーイと言ってお茶を取る


僕もイスに座り会話に混ざる


数時間後、僕は片付けをしながら皆に夕食のことをきりだす


「皆、今日は外でバーベキューでもしようかと思うんだけどそれでいいかな」


「おういいぜ!バーベキュー楽しそうじゃねぇか!」


「いいわね、皆そろってることだし」


「楽しそう・・・」


などと次々に賛成の意見が出る


「じゃあ、材料買ってこなくちゃ」


「私が・・・手伝う」


「私も・・・」


と手伝いを申し出てくる人が何人か現れたが・・・


「和くん、申し訳ないんだけど私皆と少し話があるから一人で行ってもらえないかしら」


母さんがそう言った


「母さん・・・さすがに和ちゃんだけじゃ・・・人手が足りないと思う」


「そうだよな、さすがにこれだけの人数の材料を一人で運ぶのはちっときついよな」


とはる姉と渉が言うが母さんは


「そうなんだけどね、こっちも結構真面目な話なのよ」


と珍しく母さんが真顔で言う


こういった顔をするときの母さんはホントに真面目だからはる姉と亜姫は少し驚いている


「分かったよ、少し大変だけど多分運べると思うし一人で行ってくるよ少し時間を使うと思うけどね」


「ごめんね、和くん」


「母さんは、気にしないでそれじゃあ行ってくるね」


僕は、財布に少し多めにお金を入れて買い物に向かう


【美里視点】


和人君が出掛けて数分後皆は一回リビングに集まりイスに座る


さっきまで明るく接していた美空さんが真面目な顔をしているのでいまだに皆少し驚いている


「さてと、それじゃあ少し話をしましょうか」


美空さんが話を切り出す


「話はもちろん和くんの事」


まぁ、それはそうよね和人君だけを買い物に行かせたところを見せられればここに居る皆なら簡単に気がつくだろう


「母さん・・・早く・・・話して」


美晴は少し苛立った様子を浮かべながらそう言ったおそらく和人君だけに大変な思いをさせたことにイライラしているのだろう


「あなたたちは和くんの事をどう思ってる」


私達はその言葉に驚きの表情を出す


「別にアナタたちが和くんの事を嫌っているとかそういう意味じゃないのよ、私も和くんを見ていてホントに楽しそうだと思うもの」


美空さんはホントに嬉しそうな顔で言った


「和くんは、昔から優しい子だった私やお父さんが仕事でほとんど家に居ないときでもあの子は文句ひとつ言わずに家のことをやってくれていた。そのことに春ちゃんと亜姫ちゃんが怒っているのは私にでもわかるわ」


美空さんがそう行った時、美晴と亜姫ちゃんの表情が少し変わった


「春ちゃんと亜姫ちゃんも家のことをよくやっている、でも二人にとってそれはたいした問題じゃないのよね」


「私は・・・そんなことはどうでもいい・・・和ちゃんは・・・ずっと寂しがってた・・・私にはそれが一番つらかった」


美晴がそう言うと美空さんの表情が曇った


「特に・・・小学生の時の和ちゃんが・・・一番可哀想だった」


美晴がその時の事を思い出してか少し目をうるませていた


「運動会や・・・参観日なんかの・・・行事にも母さんも父さんも・・・来なかった」


「和ちゃんは・・・私と亜姫の前ではいつも笑顔でいたけど・・・和ちゃんはその後・・・必ず部屋かトイレに入って・・・泣いていたのを私は知ってる」


美晴がそう言い終わると今度は亜姫ちゃんが口を開いた


「兄さまは・・・いつも・・・笑顔で私達に接しています・・・でも・・・それと同じくらい兄さまは・・・泣いていました」


「そう・・・」


美空さんは、それだけ言うのも精一杯の様子だった


「母さんが・・・帰ってきたとき・・・私は正直・・・いまさら何をしに帰ってきたのかと思った」


と美晴が言った


「そうね、何を言われても言い返す気はないわ全部春ちゃんの言うとおりだし。だからこそあなたたちに和くんをどう思ってるのか聞きたいのよ。今、和くんに必要なのは私でもお父さんでもなくて、いざという時に和くんを心から支えてくれる仲間だと思っているわ」


美空さんがそう言った


「だから教えてほしいの和くんのことをどう思ってるか」


美空さんがそう言った時、皆本君が口を開いた


「和人は俺にとって大切な親友ですよ」


「渉ちゃん・・・」


「和人が困ってんなら助けるし、嬉しいことがあるなら一緒に笑ってやろうと思ってます。まぁ、といってもいつもは俺が和人に助けられてばかりですが」


皆本君が苦笑いしながらそう言った


「でもだからこそ俺はいざとなったらアイツのためになんだってできる覚悟があります。助けられてばかりじゃ親友とは言えないですからね」


皆本君がそう言い終わった後、今度は由香ちゃんが口を開く


「私も、和人さんのためなら何でもできる覚悟があります!」


「私も・・・」


「私も・・・です」


「もちろん私だって!」


「まだ会ってから日は浅いけど和人さんは私たちにとって大切な人です!」


と次々に和人君の事を思う発言が飛び交う


そして、私も口を開く


「美空さん、確かに和人君はつらい思いをした時もあるかもしれませんが今はそんなことないと思いますよ、だって和人君の周りには和人君の事を一生懸命に考える仲間がいっぱいいるんですから。それは、私が保証します」


私がそう言い終わると美晴が


「母さん・・・私は確かに・・・いまさら何をしに来たかと思ったけど・・・それと同時に・・・和ちゃんの事を考えてくれている母さんに・・・やっぱりさすがだなとも思った」


「私も・・・そう思います・・・母さまは・・・何も気にする必要ないです」


二人がそう言うと


「ありがとう・・・皆」


美空さんは涙を流しなら私たちにお礼を言った


和人君は幸せね、こんなに和人君を思ってくれている人たちがいて


「さてと美空さんいつまでも泣いてないで、こっちはこっちでバーベキューの準備を始めましょう」


私がそう言うと


「そうね、もう少しで和くんも帰ってくるだろうし」


こうして私たちの話は終わり私たちも和人君が帰ってくる間にバーベキューのセットなどをそろえ始めた


【和人視点】


ふぅ、さすがに重いな


僕は、買い物を終えて今、家に向かって帰っているところだしかしさすがに9人分の材料は重く少しふらふらしながら歩いている


「お~い、和人!」


荷物の重さに苦戦していると前から渉がやってきた


「あれ渉、母さんの話はもう終わったの?」


「ああ、以外とすぐに終わったぜ、だから荷物持ちをしようと思ってな」


「ありがと渉、さすがに9人分はきつくってさ」


「まかせとけ!」


僕は、渉に半分荷物を渡す


「しかし、和人ならもう少し家の近くまで帰ってきてると思ったんだがな」


「さすがにこの量だときついよ」


「確かにな、半分で結構重いぜ」


「そりゃいっぱい買ったからね」


と僕たちが話していると家が見えてきた


家の前では、すでに皆がバーベキューのセットなどを出していた


「和ちゃん・・・買い物お疲れ様」


「兄さま・・・荷物持ちます」


「ありがとはる姉、亜姫」


「あ!ずるいよ二人とも私も和くんのお手伝いするんだから!」


と母さんも出てきた


「お手伝いって、普通なら立場が逆だと思うんだけど」


「和くん、細かいこと気にしてたら駄目だよ!」


「やれやれ、相変わらずだな母さんは」


「ま~ね!」


「褒めてないからね・・・」


「え!」


そんなやりとりをしながら僕は材料を切ったりして準備を始めた


そして、僕たちはジュースの入ったコップを持って乾杯の合図とともにバーベキューを開始した


バーベキューは数時間行い終わったころにはすっかり日が暮れていた


そして、バーベキューの片付けを終わらせいよいよ皆が帰る時間だ


「2週間もお泊りして楽しかったわ、またやりましょうね和人君」


「今度は冬休みだな!」


「また兄貴と一緒に来ますね」


「ハハ、そうだね楽しみにしてるよ」


「その時は私たちも参加させてくださいね」


「今回は、だめだったけど私たちも今度はお泊りしたいです!」


「うん、美奈ちゃんと優菜ちゃんもその時は一緒にね」


「「はい!」」


「さてと、それじゃあそろそろ帰りましょうか」


「そうっすね」


「以外と時間が経っちゃったですしね」


そして、皆はそれぞれの家に帰る


しばらく見送っていたが皆の姿が見えなくなったので家の中に戻ることにした


リビングに戻った僕は静かになった、家を見わたして少しさびしい気持ちになる


その時、両腕にはる姉と亜姫が抱きついてきた


「ど、どうしたの2人とも」


「大丈夫・・・和ちゃんには・・・私がいるから」


「私もいます・・・兄さま」


二人とも僕の気持ちを感じ取ったのかそう言ってきた


「ありがとう二人とも」


「ん・・・」


「はい・・・」


「ちょっと、私もいるからね!」


そう言って母さんも僕に抱きついてきた


「ちょっと母さんまで!」


しばらく、そんなやりとりが続いたが数十分後、お風呂に入って寝ることにした


その日の夜は、家族で仲良く布団を並べて寝た





















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