第47話
第47話
花火大会の会場に到着した僕たちは、花火が始まるまでまだ3時間ぐらい時間があるのでいろんな所を見て回ることにした
「とりあえず、何か買って食べましょうか」
美里先輩がそう言った
夕食は今回、花火大会が始める前に会場のほうで見て回りながら食べると夏目さんに言ったのでまだ食べていない
「そうですね、まだまだ時間もありますし。お腹空きましたしね」
「じゃあ、たこ焼き食おうぜ!」
渉が目を輝かせながらそう言った
「私は、焼きそばがいいわねぇ~」
「私は・・・」
一人一人がそれぞれ違う意見を出し合っている
結局、二つのグループに分かれて行動することにした
僕・渉・亜姫・由香ちゃん
美里先輩・はる姉・美奈ちゃん・優菜ちゃん
といった感じに分かれた
「和ちゃんと・・・回りたかった」
はる姉は、ぶすっとすねた感じでそういった
はる姉は、このグループ分けに納得してない様子だった
「まぁまぁ美晴、たまには女の子同士で回りましょう」
「わかった・・・」
しぶしぶといった感じではる姉は、美里先輩たちと人混みの中へと入っていった
「俺たちも行こうぜ」
「そうだね」
僕たちの方もお店を見て回るため、歩き出した
「とりあえず、たこ焼き食べる?渉」
「おう!祭りと言ったらたこ焼きだろ」
「じゃあ、食べようか」
「おう」
というわけで、たこ焼きを人数分買った
「どうする、いくつかいろいろなもの買ってどこかに座って食べる?それとも、移動しながら食べる?」
「う~ん、人混みではぐれたりすると面倒だしどこかに座って食べようぜ」
「わかった」
僕たちは、たこ焼きのほかにもいろいろ買って、近くにあったベンチに腰かけた
「予想以上に、人が多いね。亜姫、疲れてない?」
「はい・・・大丈夫です」
「疲れたらちゃんといいなよ?」
「はい・・・ありがとうございます・・・兄さま」
「うん、それじゃあ食べようか」
「はい・・・」
「おお!うまい!和人此処のたこ焼きめちゃくちゃうまいぞ」
渉は、すでに自分の分を取り出し食べていた
「もう兄貴ったら、自分のことしか考えてないの!」
その様子に由香ちゃんが少し怒っている様子だった
「まぁいいじゃない由香ちゃん、僕たちも食べようよ」
「そうですね」
僕たちも、自分たちの分のたこ焼きを取り出して食べた
しばらく、買ったものを食べながらゆっくりしていると、携帯が鳴った
「はい、もしもし」
「もしもし、和人君」
電話は、美里先輩からだった
「どうしたんですか?」
「それがね、美晴が和人君と回りたいってまた言い始めてね。さっきはしぶしぶ納得したみたいだったけど」
「そうなんですか」
「そうなの、だから今から来れないかしら」
「だったら今から、皆で回りますか。僕たち、いろいろ食べたしそっちも食べたのなら今からは、遊びメインで回ればいいんじゃないですか?」
「そうね、その方がいいかもしれないわね。それじゃあ私たちが行くわ、今どこに居るの?」
「え~と、たこ焼き屋の近くにベンチがあったのでそこに座ってます」
「分かったわ、じゃあちょっと待っててね」
「分かりました、それじゃ」
僕は、電話を切る
「美里さんからですか?」
由香ちゃんが聞いてくる
「うん、今からこっちに来るらしいから。もうちょっとここに居よう」
「分かりました」
「なんだ、今からは皆で回るのか?」
渉がそう聞いてくる
「うん、なんか、はる姉が僕に会いたがってるらしいから」
「美晴先輩がなんで?」
「やっぱり一緒に回りたいらしい」
「そうなのか、じゃあ待ってた方がいいな」
「うん」
そして数分後、美里先輩たちがやってきた
「お待たせ~ごめんねぇ和人君。待たせちゃって」
「そんなに待ってませんよ」
「和ちゃんと・・・回る」
はる姉がそう言いながら僕の腕に抱きついてきた
「うん、そうだね一緒に回ろう。で、でもとりあえず離れてくれないかな?」
なんか胸とか当たってるし・・・
「やだ・・・」
「そこをなんとか」
「和人君、諦めなさい、美晴もこれまでずっと我慢してたわけだし」
「それとこれとは、微妙に話が違う気がするんですけど」
「気のせいよ」
「そうですか・・・」
僕はもう諦めるかしかないようだ
「姉さま・・・ずるい」
反対側の腕に今度は、亜姫が抱きついてきた
「あ、亜姫まで」
「良かったわね和人君、両手に花じゃない」
「美里先輩、もしかして楽しんでます?」
「まぁ、楽しみ半分祝福半分」
なんてこった今日の美里先輩は悪意100%で構成されていた
「まぁ、とにかくその辺回りに行きましょ」
「そうですね・・・」
両手に抱きついている姉妹が離れてくれることはないだろうとあきらめた僕は、抱きつかれた状態のまま、お店を回ることになってしまった
「和ちゃん・・・射的やろ」
「兄さま・・・輪投げやりに・・・行きましょう」
はる姉と亜姫がお互いに行きたい場所を言ってきた
「両方、ちゃんと回るから。最初どっちに行くか決めようよ」
僕がそういうとお互い同時にうなずき、僕の腕を離さないようにしながらジャンケンをし始めた
勝ったのは、はる姉だった
「はる姉が勝ったから、まずは射的だね」
「うん・・・」
ということで射的をやっているお店に向かう
お金を払って、弾と銃をもらう
「まずはる姉がやりなよ」
僕は、はる姉に銃と弾を渡す
「ん・・・ありがと・・・和ちゃん」
「美晴は、何かほしいものがあるの?」
「特に・・・ないけど・・・やってみたかった」
「そうなの」
「うん・・・」
はる姉は、美里先輩と話しながら銃を構える
狙いを定めて撃った弾は、景品に当たったものの当たった場所が甘かったのか倒れなかった。その後も同じ景品を狙ったけど、はずしたりして結局、はる姉の獲得したものは0だった
「はる姉、残念だったね」
「ん・・・次は・・・和ちゃんの番」
「うん」
僕も自分の持っていた銃に弾を入れて、狙いを定めて撃つ
弾は景品に当たり見事に倒れた
「おお~やるな和人」
後ろで見ていた渉がそう言った
「たまたまだよ」
僕は、倒した景品をお店の人から受け取りながらそう言った
倒した景品は、可愛らしいクマのぬいぐるみだった
「はい、はる姉これあげる」
僕は、取ったぬいぐるみをはる姉に渡す
「いいの?」
「うん、僕が持っててもしょうがないしね」
「ありがと・・・和ちゃん・・・大切にするね」
「どういたしまして」
「良かったじゃない、美晴」
「うん・・・」
はる姉が笑顔を浮かべながら美里先輩に返事を返した
次に、僕たちは亜姫の行きたいと言っていた輪投げのお店に行った
お店に行くまでまた腕を組んだままだったけど・・・
お金を払い、輪っかをいくつかもらう
さっきと同じで最初に亜姫が輪っかを投げたそして、見事に景品に入れて景品をもらっていたのだが、ほしい景品じゃなかったのかあまりうれしくなさそうだった
「亜姫、何がほしかったの?」
僕が、そう聞くと
「あれ・・・です」
と言って亜姫が指さしたのは、猫の小さなぬいぐるみだった
「そっか、じゃあ僕が取ってあげるよ」
僕は、自分の分の輪を持ち、亜姫のほしがっていたぬいぐるみに狙いを定めて投げた、しかし、投げた輪は、少し横にそれてしまった。続いて2投目もはずしてしまい、最後の3投目よ~く狙って投げる。投げた輪っかは、なんとか猫のぬいぐるみに入った
そして、猫のぬいぐるみをお店の人から受け取りそれを亜姫に渡す
「兄さま・・・ありがとうございます」
「うん、喜んでもらえて良かったよ」
僕たちは、その後もいろんな場所に回りいよいよ花火が始まる時間となった
僕たちは、花火が良く見えそうな場所をさがして歩いているのだが
「なかなか、いい場所見つからないわね」
「人が多いですからね」
「あ!あそこなんかいいんじゃないですか!」
そう言って、優菜ちゃんがその場所を指さす
その先には、2つ程ベンチが設置してあり見晴らしも特に悪くなく人がそんなにいない中々いい場所だった
「へぇ~いい場所ねぇ~」
美奈ちゃんがそう言った
「それじゃ、あそこにしましょうか」
美里先輩がそう言うと皆が一斉にうなずいた
僕たちは、ベンチの近くに移動した
さすがに全員は座れず、僕と渉は立ったまま見ることにした
「ホントにいいの私たちが座って?」
美里先輩が僕と渉を見ながら聞いてきた
「別にいいっすよ、俺そんなに疲れてないですし」
「僕も、特に疲れたわけではないので。それにこういうときは女の子に譲るものでしょうし」
「フフ、ありがと二人とも」
「お二人とも、けっこう紳士ですよね」
僕たちを見ながら、美奈ちゃんがそう言った
「そうかな?」
「はい、だって二人とも女性に優しいし」
「別に普通じゃないか」
渉が、美奈ちゃんのいったことにそう返した
「そんなことないですよ人にやさしくするのって中々できることじゃないですしね」
今度は、優菜ちゃんがそう言った
「まぁ、僕の場合はそういう性分だし渉も人にやさしいからね」
「お前の場合は、もっと自分に自信を持つべきだと思うがな」
「アハハ、善処するよ」
「善処するって、あまりする気のない時に使う言葉ですよね」
美奈ちゃんが、そう言った
「だよな」
「二人とも、手厳しいね」
「ホラホラ、いつまでも話してないで、そろそろ始まるわよ」
美里先輩がそう言った瞬間、空に綺麗な花火が打ち上がり始めた
「綺麗・・・」
はる姉がそう言った
「ホントね~」
「たーまや~!」
「かーぎや~!」
美奈ちゃんと優菜ちゃんが上を見上げながら、そう叫んでいた
「大したもんだな~」
渉が、感心したように花火を見ながら言った
その後も、綺麗やよくある掛け声などを何回か言っていた
そして、しばらくして花火が終わった
花火大会も終わり旅館に帰るため、歩き始めた僕たち
「綺麗だったわね~」
「そうですね、いい場所で見れましたしね」
「それに・・・お祭りも・・・面白かった」
「明日には、もう帰るのよねぇ~」
「まだ遊びたいっすねぇ」
「また・・・皆で・・・来たいです」
と亜姫が言った
「そうね、私と美晴は今年で卒業だけど、近くの大学に進学するつもりだからいつでも遊べるしね」
「うん・・・」
「だから、皆ともまだまだ遊ぶわよ~私は!」
美里先輩が元気よくそう言った
そんな話をしていると旅館に到着した
僕たちは、部屋に戻りお風呂に入って、しばらく話をしていたが全員疲れていたためすぐに眠りについた