第44話
第44話
デジャヴを感じながら始まった、ボウリング勝負
美里先輩の軽い説明を聞く限りでは、前回とルールは同じらしい投げる順番は、さすがに違うらしいが最初に投げるのは僕と渉かららしい
「さぁ、和人君に皆本君投げていいわよ」
「「わかりました」」
僕たちは、ボールを持って構えを取る
「和人さん頑張ってください!」
「ストライク取っちゃってくださいね~」
後ろから美奈ちゃんと優菜ちゃんがそれぞれ声援を送ってくる
僕と渉は、ボールを投げる
投げたボールはまっすぐ進みピンの真ん中をとらえ見事にストライクを取った
「よっしゃー」
渉もストライクを取ったみたいでガッツポーズを取っている
僕と渉は、ボールを投げ終え皆のところに戻る
「さすが、和人君ね」
席に座ると美里先輩がそう言ってきた
「ハハ、ありがとうございます」
「次はだれが投げるんですか?」
「はいは~い私でーす」
僕の質問に手を挙げて反応したのは美奈ちゃんだった
「頑張ってストライクとりますよ~」
「頑張ってね、美奈ちゃん」
「はい、まかせてください」
そう言って美奈ちゃんは、ボールを持ちかまえる
相手の方は、由香ちゃんが投げるようだ
「美奈、手加減しないからね」
「フフ~ン、こっちには美里さんと和人さんがいるから私が失敗しても大丈夫」
「美奈~私のことも入れなさいよ~」
優菜ちゃんがやや不機嫌気味に美奈ちゃんに行った
「アハハごめんね~優菜」
いたずらっぽい笑みを浮かべながら謝る美奈ちゃん
しばらくコントっぽい事をして美奈ちゃんと由香ちゃんは互いにボールを投げる
美奈ちゃんが投げたボールはやや左にずれてしまい何本か残ってしまった
対する由香ちゃんは、渉に続きストライクを取った
「よ~し、これで差が出てきたわよ~」
「うう~ストライク取れなかった~」
美奈ちゃんが悔しそうな顔をしながらこちらに戻ってきた
「どんまい美奈ちゃんまだ始まったばっかだし、遊びなんだから気楽にね」
「でも、やっぱり悔しいです~」
美奈ちゃんは以外と負けず嫌いらしい
「うう~こうなったら、優菜に仇を~」
「まかせなさい!美奈の残したピンはすべて私が倒してあげるわ!」
そう言いながら優菜ちゃんがボールを投げる
そして、投げたボールは宣言通り残りのピンをすべて倒した
「フフン、どんなもんよ」
ボールを投げ終えた優菜ちゃんは、こちらに戻ってきて胸を張っていた
「なんか美奈ちゃんと優菜ちゃんっていいコンビよね」
美里先輩が二人を交互に見まわしそう言った
「確かに、二人ともすごく仲がいいもんね」
「付き合いが長いですからね~」
優菜ちゃんが満面の笑みでそう言った
僕が優菜ちゃんと話していると、亜姫に袖をひっぱられた
「どうしたの、亜姫?」
「兄さま・・・私・・・ストライク・・・とりました」
亜姫がそう言って上にあるモニターを指さす、確かに表を見てみると亜姫はストライクを取っていた
「すごいね、亜姫」
僕は、亜姫の頭をなでてやる
「・・・///」
亜姫は、頬を赤く染めながら笑みを浮かべていた
「だめよ和人君、相手チームを褒めたら」
僕が亜姫をなでていると美里先輩がそう注意してきた
「相手チームって、何もそこまで全力でやらなくても」
「勝負とは、相手がどこの誰であろうとも全力でやるものなのよ。そこに友達、家族は関係ないのよ勝負の世界は厳しいの」
美里先輩が目をつぶって真剣な顔でそう言った
「そんなものですか?」
「そんなものよ」
「そういうことらしいから。ごめんね、亜姫、頭をなでるのはここまでってことで」
僕は、亜姫の頭から手をどかす
亜姫は、残念そうな顔をしながらも再びスコアに顔を向けていた
「さて、次はいよいよ私ね」
美里先輩が立ち上がり自分の選んだボールを持って構える
きれいなフォームで投げられたボールは、絶妙なカーブを描いてピンの真ん中をとらえ見事ストライクを取った
「まぁ、ざっとこんなものね」
美里先輩は、うんうんと頷き戻ってきた
「さすがですね」
「でも、美晴も負けてないわよ」
美里先輩は、はる姉の方を指さす
はる姉も、美里先輩と同じように綺麗なカーブを投げてストライクを取っていた
そして、それがしばらく続きいよいよ勝負は終盤にさしかかった
スコアに微妙な差はあるものの互いに勝負は接戦だ
最後のボールを投げるのは、僕とはる姉だ・・・あれ、またデジャヴを感じるぞ
「頑張ってね~和人君、負けたら和人君に女装させるからねぇ~」
美里先輩が、スペシャル不吉なことを言ってくる
「和ちゃんの・・・女装・・・負けられない」
はる姉が、燃えている!
「和人さん~はずしてもかまいませんよ~」
「見てみたい、和人さんの女装」
なぜか、美奈ちゃんと優菜ちゃんまでもが僕に負けろと遠まわしに言っている
何この四面楚歌状態・・・
女装なんて絶対に嫌な僕は、本気でストライクを取りに行こうとボールを投げるが力みすぎてしまいガーターになってしまった
「しまったー!」
そして、はる姉はぶれることのない見事なフォームでストライクを取り勝ったのは、はる姉達のほうのチームだった
僕は、勝負に負けたことよりも罰ゲームのほうがよっぽど嫌だった
「さ~て、和人君は旅館に戻ったら女装よ」
「い、いやですよ」
「見苦しいぞ和人、負けたんだからおとなしく女装するがいい」
「じゃあ、渉がやればいいじゃないか」
「いやだね、俺負けてないし」
「あきらめなさい和人君、これが勝負の世界なのよ」
僕は、絶望に打ちひしがれながらショッピングモールから出て駅に向かう
旅館に戻るころには、すっかり夕方になっており僕たちは部屋に戻り温泉に入ってから夕食を食べた
そして、ついに僕にとって嫌な時間が来てしまった