第40話
第40話
旅館に戻り、しばらく部屋でゆっくりしていると
「皆さま、夕食ができたのでお持ちいたしますがよろしいですか?」
夏目さんが部屋にやってきて僕たちにそう聞いてきた
「はい、お願いします」
「かしこまりました、少々お待ちください」
そう言って夏目さんは、料理を持ってくるために戻って行った
「楽しみねぇ~どんな料理が出てくるのかしら」
「楽しみですね」
少しして、夏目さんが料理を持ってきた
料理を次々に置いて、置き終わった夏目さんは「では、ごゆっくり」と言って再び仕事に戻って行った
「早く食べようぜ和人」
「そうだね僕もお腹すいちゃった」
僕たちは席について料理を食べ始める
「おいしいわねこのお刺身!鮮度抜群」
「この天ぷらもおいしいぜ!」
「お味噌汁も・・・ダシが良く出てて・・・おいしい」
各々、料理の感想を述べている、確かにここの旅館の料理はかなりの絶品だ
僕も料理を食べていると、横から服をクイクイっと引っ張られた
引っ張られた方を向くと亜姫がこちらを見つめていた
「どうかしたの、亜姫?」
「兄さま・・・あ~ん」
亜姫が料理をこちらに向けてくる
「い、いいよ自分で食べられるから」
僕がそう言うと亜姫はシュンっとなってしまった
「わ、分かったからそんなに落ち込まないでよ、あ~ん」
僕が口をあけると、亜姫の表情がパァっと明るくなる、そして僕に料理を食べさせてくる
「おいしいですか・・・兄さま?」
「うん、おいしいよ」
「和ちゃん・・・今度はこっち・・・あ~ん」
「は、はる姉まで、わ、分かったよあ~ん」
僕は、料理をパクっと食べる
「どう・・・?」
「おいしいよ」
「ん・・・良かった」
「由香もやったらあ~んて」
「へ、変なこと言わないでよ美奈」
「いいじゃない、やったら」
「優菜まで」
「由香がやらないなら私がやろうかな」
「え!」
「和人さん」
「何、優菜ちゃん?」
「はい、あ~ん」
「え!ゆ、優菜ちゃんまで」
「私がやったらだめなんですか?」
「そ、そういうことじゃないけど」
「じゃあ、あ~ん」
「え、え~と、あ~ん」
僕は、優奈ちゃんが差し出した料理を食べる
「おいしいよ、ありがと」
「いえいえ、どういたしまして~」
「優菜だけずるいわよ、和人さん私もあ~ん」
「美奈ちゃんまで・・・あ~ん」
美奈ちゃんの差し出した料理を食べる
「おいしいね、ありがと」
「どういたしまして、さぁ次は由香の番よ」
「わ、私も!」
「もちろんよ」
「いいですか、和人さん?」
「ま、まぁ」
「ほら早く」
「そ、それじゃあ、あ~ん」
由香ちゃんの差し出してきた料理を食べる
「おいしいよ、ありがと」
「い、いえ///」
由香ちゃんは、顔を真っ赤にして黙ってしまった
「由香ちゃん、大丈夫熱でもあるの顔が赤いけど」
「だ、大丈夫です!」
「それならいいけど」
その後も各々、料理を楽しみながら食事の時間を過ごした
食事を終えて、僕たちは少し休憩を取っていた
「ふぅ、食った食った」
「すごくおいしかったよね」
「だな」
「お茶でも淹れようか?」
「いいのか?」
「別にいいよ」
「じゃあ悪いけど頼む」
「了解」
僕は、部屋に常備してある保温ポッドに入っているお湯を確認して皆の分も淹れようと人数分の湯呑みを用意する
お茶を入れて、お茶の入った湯呑みをお盆において、皆のところに運ぶ
「はい、渉」
「おお、サンキュー」
「はい、はる姉、亜姫」
「ありがと、和ちゃん」
「ありがとう・・・ございます・・・兄さま」
「美里先輩、どうぞ」
「悪いわね、和人君」
「気にしないでください」
「由香ちゃん、美奈ちゃん、優菜ちゃん、お茶どうぞ」
「ありがとうございます、和人さん」
「ありがとうございます、いただきますね」
「すいません、いただきますね和人さん」
皆、一斉にズズ~と音をたててお茶を飲む
「「「「「おいしい!」」」」」
「うわ、ビックリした!」
「すごくおいしいわ和人君!」
「ただのパックのしかも粉状のお茶なのにどうしてこんなにおいしいんだ」
「和人さん、他に何か入れたんですか?」
「別に何も入れてないよ」
「それでこの味はすごいわね」
「ありがとうございます」
僕たちは、お茶を飲み終えて、お風呂に向かうことになった
必要なものを持って温泉へと向かう
「それじゃあ、後でねぇ~」
美里先輩が手を振りながら、女湯の方へと入っていく
「俺たちもさっさと行こうぜ」
「そうだね」
僕たちも男湯と書かれたのれんをくぐって温泉に向かう