第39話
第39話
時刻は朝の7時50分僕たちは今、駅前に居る
昨日、はる姉が当てた温泉旅行に行くためだ、そして今僕たちが待っているのは、由香ちゃんの友達の美奈ちゃんと優菜ちゃんだ。僕たちはお泊りの最中なのでそのまま家を出ればいいけど二人はそうもいかないので集合場所を朝の8時の駅前に指定したのだ
「遅いなぁ~二人とも」
ボ~としながら待っていると由香ちゃんがぽつりとそう言った
「ちょっと早く来過ぎたかな」
「もうそろそろ来るんじゃないか」
そう話し始めた途端に二人の姿が見えた
二人はあわてた様子でこちらに走ってきた
「す、すいません。遅れてしまって」
「荷物があって走りづらくて」
二人があわてて謝罪をする
「もう二人とも遅いよ!」
由香ちゃんが二人に対して注意をする
「ホントにごめんね」
「ごめん由香」
二人がホントに申し訳なさそうに謝る
「まぁまぁ由香ちゃん、まだ集合時間になってないし別にいいじゃない」
「か、和人さん」
「だな、こっちが出るのが早すぎたせいもあるしな」
「そうよ、時間はあるんだからそんなに謝らなくていいわよ」
僕に続き、渉と美里先輩がそう言った
「和ちゃん・・・そろそろ・・・行かないと」
はる姉が時計を確認しながら言った
「そうだね」
皆が自分の荷物を持ちながら移動を始める
今回は、電車ではなく新幹線で向かうことになる
切符を買い改札口を抜けてすでに止まっていた新幹線に乗り込む、僕たちは自由席なので自分たち席を決める
「和ちゃん・・・一緒に・・・座ろ」
「兄さま・・・一緒に座りましょう」
「うん、いいよ」
席は、イスが三つのところがあるのでそこに亜姫・僕・はる姉その前の方の席に由香ちゃん・渉・美里先輩そして席が二つのところに美奈ちゃん・優菜ちゃんと座っている
新幹線が動き始め僕たちは荷物を上に置いた。僕たちが行く駅は、到着に二時間ぐらいかかるのでトランプや談笑したりして時間をつぶしたりした
しばらくして、朝起きるのが早かったためか亜姫がウトウトし始めた
「亜姫、眠いの?」
「はい・・・」
「到着したら起こしてあげるから、僕の肩に寄りかかって寝てていいよ」
「ありがとう・・・ございます」
亜姫はそう言ってから僕の肩に寄りかかり寝始めた
「亜姫ちゃん、寝ちゃったの?」
前の席にいた美里先輩がこちらに顔を出して僕に聞いてきた
「はい、朝起きるの早かったですからね」
「確かにねそうね」
「和人、このお菓子うまいぞ食ってみろよ」
渉もこちらに向いて僕にお菓子をすすめてきた
「ありがと、渉」
僕は渉からお菓子を受け取り食べる
「しかし、亜姫ちゃん良く寝てるな」
「そうね、すごく幸せそうな顔してるわ」
「まぁ、和人に寄りかかって寝てるからな」
「どういうこと?」
「和ちゃんの・・・隣に居ると・・・安心する」
隣に居たはる姉がそう言った
「そうかな?」
「和人さんは、やさしいですから」
由香ちゃんも話に混ざり僕の方を向いてそう言った
「ありがと」
「亜姫ちゃんが寝てるならあまり騒がないほうがいいわね少し声を小さくしましょう」
「そうっすね」
「はい」
美里先輩たちは声を小さくして話を続けた
しばらくして到着する駅が近くなってきたので亜姫を起こすことにした
「亜姫、そろそろ着くから起きて」
「ふみゅ・・・はい・・・兄さま」
亜姫は若干可愛い声を出して目覚めた
「良く眠れた?」
「はい・・・」
「そっか」
「和人、そろそろ駅に着くから荷物降ろしとこうぜ」
「そうだね」
僕と渉は席から立ち皆の荷物を下ろす
降ろした荷物を皆に渡す
そして、駅に着き僕たちは荷物を持って新幹線から降りる
駅を出て旅館までは徒歩で十分ぐらいと言っていたので僕たちは旅館に向かって歩き始める
「ずいぶんのどかなところだな」
「そうだね自然がいっぱいでいいところだよ」
「旅館の近くには海もあるらしいわよ」
「明後日には花火大会もあるみたいだし楽しみですね」
そんな話をしながら歩いていると旅館が見えてきた
旅館に到着し中に入ると女将と思わしき人がこちらにやってきた
「お待ちしておりました、ご予約いただいた文弥様ですね」
「はい」
「私は、当旅館の女将をしている夏目と申します。さっそくお部屋の方へとご案内させていただきます」
「よろしくお願いします」
夏目さんに案内され僕たちは部屋へと向かう
部屋に到着するとそこにはかなり広めの部屋が用意されていた
「今回は八名様ということで広めの部屋をご用意させていただきました。お休みになる時は男女で分けれるようにもなっております」
「ありがとうございます」
「何かありましたらお呼び下さい」
夏目さんは、僕たちにそう言って別の仕事へと戻って行った
僕たちは部屋に入り荷物を置く
僕たちは、しばらく休憩して置いてあったパンフレットみたいなものを見た
「へぇ~露天風呂もあるのね」
「楽しみ・・・」
「その前に、海行くわよ!」
「もう行くんですか!?」
「もちろんよ!」
「プールに行ったけど海はまた別モノですよね」
美里先輩の発言に優菜ちゃんがそう言った
「優菜ちゃん分かってるわね~」
「いや~それほどでも」
美里先輩に褒められ優菜ちゃんが照れている
海に行くことになった僕たちは、水着や財布を取り出し中に入れておいた少し小さめのカバンに入れて旅館を出ることにした
旅館から海まではそんなに時間もかからないのですぐに着いた
更衣室を見つけてそこに向かい中に入る前に美里先輩からビーチパラソルと砂浜に敷くためであろうシートを渡された
「多分和人君たちの方が着替えが早いだろうからパラソルの設置お願いね」
「分かりました」
「じゃあ、後でね」
「はい」
それぞれ更衣室に入り水着に着替える
早々と着替えをすませた僕と渉は手ごろな場所を見つけてパラソルを設置して皆が来るのを待っている
「結構にぎわってるな」
渉が周りを見ながら僕にそう言った
「そうだね」
しばらく待っていると女性陣がやってきた
「二人ともお待たせ~」
美里先輩達が手を振りながらこちらに向かって来る
周りの男の人たちが皆の方を見て見とれている
美少女が集まってるのだから無理はないけど
「どうかしたの・・・和ちゃん?」
はる姉が僕がボーとしてると思ったのか顔をみて聞いてくる
「皆、すごいなぁ~と思って」
「どうして?」
「だって他の男の人がはる姉たちを見てみとれてたよ」
「だなそしてこっちには殺意のこもった視線が・・・」
渉がそう言いながら周りを見る
「それは言ったら負けだよ渉」
「すまん」
渉の言うとおりはる姉がこちらに近づいてきて話を始めたあたりから殺気のこもった視線がこちらにものすごく突き刺さっているのだ
僕たちは、お昼を食べるため海の家でいろいろ食べ物を買って皆で食べた
しばらくすると
「さて皆で遊びましょうか」
そう言って美里先輩が持ってきたカバンからビーチボールを取り出す
「そうですね」
「それじゃあチーム分けしましょ」
こうして決めたチームは、僕の方に由香ちゃん・優菜ちゃん・美奈ちゃん
渉の方に、美里先輩・はる姉・亜姫となった
「よろしくね」
「は、はい。よろしくお願いします和人さん」
「私たちがいるから勝ったも当然です!」
「まかせてください!」
「和人の方はかなり強くなったな」
「そうだね全員現役のバレー部だし」
「でも俺らも負けないぜ」
「こっちだって」
そして、勝負が始まった
渉の方も皆、運動神経がいいのでなかなかの接戦だった
しばらくして試合も終わり海で泳いでいた僕は休憩している美里先輩とはる姉の方に目をやると男の人たちが美里先輩とはる姉に声をかけていたさっきからいろんな人が声をかけているがことごとく玉砕していった。しかし、今回の人たちは少し強情な人らしく追い払うのに時間がかかっていた
僕はいったん泳ぐのを止めてはる姉たちのところに向かう
「あら和人君、どうかしたの?」
戻ってきた僕に美里先輩が不思議そうな顔で聞いてきた
「いえ少し休憩しようかなと」
「そうなの」
「和ちゃん・・・飲み物」
「ありがと、はる姉」
「ん・・・」
僕は、はる姉から飲み物を受け取って飲む
それから僕は遊んでる他のみんなを美里先輩とはる姉と一緒に見ていた
そろそろ夕方なので旅館に戻るため、パラソルなどを片付けて皆を呼び戻す
更衣室に行き着替えて、旅館に戻るため歩きだす
「ふぅ、疲れたわね」
「そうですね」
「それにしても美里先輩と美晴先輩はめちゃくちゃナンパされてたっすね」
「ものすごく迷惑だったわ」
「追い払う方が・・・疲れた」
「大変だったね、はる姉」
「でも、ありがとね和人君」
「何がですか?」
「和人君、途中で戻ってきたでしょ休憩って言って」
「そうですね」
「あの後からナンパが全然来なくなって助かってたのよ」
「別に、僕は何もしてないですし」
「和人君、ホントは私たちが困ってるの見て戻ってきたんでしょ」
「そうなの・・・和ちゃん?」
「まぁ、それもあるかな」
「和人君、やさしいから私たちの代わりに男の人を追い払おうとしたんでしょ」
「しつこい人もいましたからね」
「和人君らしいわね」
「そういう性分ですから」
そんな話をしながら旅館に到着した