第36話
第36話
僕は今、着替えの真っ最中だ。というのも昨日のゲーム大会で優勝した人は僕と二人で買い物するということになり見事に優勝した由香ちゃんと出掛けるための準備をしているからだ
時刻は現在朝の九時半、朝食もとっくに済ませ他のみんなもそれぞれ自分たちで自由な時間を過ごしている
必要なものを持ち準備も出来たのでリビングに行くことにする
リビングに行くと渉に美里先輩、亜姫そしてはる姉はテレビを見たり読書をしていた
「和人、下りてきたのか」
「うん、準備も終わったし由香ちゃんは部屋?」
「ああ、あいつ服とか選ぶのめちゃくちゃ長いからな」
「そっかじゃあ僕もテレビでも見とこうかな」
「和ちゃん・・・お茶いる?」
「貰おうかな」
「はい・・・」
「ありがと。はる姉」
「ん・・・気にしないで」
しばらくお茶を飲みながらくつろいでいると由香ちゃんが下りてきた
「か、和人さん!待たせてしまってすみません!」
「女の子なんだから準備に時間がかかるのは仕方ないよ」
「あ、ありがとうございます。そ、その今日はよろしくお願いします」
「うん。よろしくじゃあそろそろ出掛けようか」
「は、はい」
「いってらっしゃい二人とも。家のことは私たちに任せといて」
「よろしくお願いします美里先輩」
「由香さん・・・いってらっしゃい」
「亜姫ちゃん、ごめんね私だけ和人さんと出掛けて」
「気にしないで・・・今日は・・・楽しんできて」
「うん、ありがとそれじゃ行ってくるね」
「はい・・・」
僕と由香ちゃんは家を出て歩き出した
「さて由香ちゃん、どこか行きたいところとかある?」
「え、え~と、見たい映画があるので映画館に行きませんか」
「じゃあそうしようか」
僕たちは、いつも通り駅前まで到着した僕たちは映画館のほうに向かって歩き始めた
映画館に辿り着き、受付に向かう
「由香ちゃん、どの映画が見たいの」
「その、あれなんですけど」
そう言って由香ちゃんが指さしたのは最近、テレビのCMでもよく見かけるホラー映画だった
「私、ホラー映画好きなんですけど一人じゃ怖くて」
「そっかじゃあチケット買わないと」
受付に行きチケットを二枚購入する
「いいんですか?私の分まで」
「気にしないのこういうのは男が払うものだしね」
「ありがとうございます」
「じゃあ中に入ろうか」
「そうですね」
僕たちは、チケットに書いてある番号席に座る
しばらく座って待っていると映画が始まった
映画の内容は以外とクオリティが高く僕から見たら中々の作品だった
ふと横を見ると由香ちゃんが震えていた
「大丈夫由香ちゃん?」
「は、はい。だ、だだ、大丈夫です」
由香ちゃんは、そう答えているが明らかに声が震えているのがわかる
そんな事を聞いていると由香ちゃんが悲鳴を上げながら抱きついてきた
「ゆ、由香ちゃん!」
「あ!す、すいません和人さん」
「手つなぐ?」
「え?」
「手つないでるだけでも大分恐怖感とか違うと思うし」
「でも、いいんですか?」
「うん、由香ちゃんが良ければだけど」
「じゃあ、お願いします」
「うん」
僕は由香ちゃんの手をぎゅっと握る
そして二時間後、映画の終わった僕たちは近くの喫茶店で休憩していた
「はぁ、怖かった~」
由香ちゃんが紅茶を飲みながら映画の感想を言う
「あの映画、最近よくテレビのCMでやってたから気になってたんです」
「そっか、中々迫力あっておもしろかったね」
「はい」
「今お昼だし、ここで昼食取ってからまたどこか行こうか」
「そうですね」
僕たちは、昼食を取ってから喫茶店を出ることにした
昼食をとった僕たちはデパートに行くことにし喫茶店を出た
「和人さんは、何かデパートで見たいものがあるんですか?」
「う~ん僕は特にないかな。あ、でも、渉に新作のゲームソフトがあったら代わりに買ってきてくれって言われたからゲームショップに行きたいかな」
「またバカ兄貴は、すいません和人さんにばっかりいつも迷惑かけてしまって」
「別に気にしてないよ、ついでだしね」
僕と由香ちゃんが話しながら歩いていると
「お~い!由香~」
後ろの方から由香ちゃんを呼ぶ声が聞こえた
聞こえた声の方を向くと女の子二人が由香ちゃんの方に走り寄ってきた
「美奈!優奈も!」
「和人さんもこんにちは」
「こんにちは」
「こんにちは。美奈ちゃんに優奈ちゃん」
「由香、和人さんとデート?」
「ち、違うわよ!今日は、昨日いろいろあって和人さんと出かけることになっただけなんだから!」
「へぇ~」
優奈ちゃんが意味深な笑みを浮かべながら由香ちゃんを見る
「ほ、ほんとに違うんだからね!」
「分かってる分かってる」
「絶対わかってないでしょ!」
「美奈ちゃんと優奈ちゃんは二人でお出かけかい?」
「はい!今日は、部活もないので」
「そうなんだ」
「和人さん、よければ私たちもご一緒してもいいですか?」
「え?」
「ちょ、ちょっと美奈!」
「だって、デートじゃないんでしょ?だったら私たちも一緒についていってもいいじゃない」
「それはそうだけど・・・」
「僕は、別にかまわないけど由香ちゃんはどう?」
「え、それは・・・別にいいです」
「じゃあ決まり!」
こうして美奈ちゃんと優奈ちゃんも一緒に来ることになった
デパートに到着し僕たちはとりあえず服を見に行くことになった
「いいんですか?兄貴に頼まれた買い物後回しで」
「うん、今回は由香ちゃんに付き合うことになってるんだから渉のは後回しでも別にかまわないよ」
「和人さ~んこの服どう思いますか?」
優奈ちゃんがいつの間にか服を試着し僕にそれを見せてくる。優奈ちゃんが着ている服は赤を基調とした服なのだが若干露出が激しい気がする
「う、うん可愛いと思うよ」
「あ、和人さん変な目で見ないで下さいよ~」
「べ、別にそんなことないよ」
「ちょっと優奈!和人さんに失礼なこと言っちゃだめでしょ!」
「和人さ~ん、こっちの服はどう思いますか?」
今度は美奈ちゃんが試着を済まして服を見せてきた。美奈ちゃんの服も優奈ちゃんと同じくらい露出の激しいもので目のやり場に困る服だった
「い、いいんじゃないかな」
「ちょっと二人とも和人さんが困ってるでしょ!」
「いいじゃない別に~」
「良くないわよ!」
「まぁまぁ、由香ちゃん落ち着いて」
「でも、和人さん・・・」
「僕は、気にしてないからね」
僕が、由香ちゃんをなだめていると携帯が鳴った
「はい、もしもし」
「あ、和人」
「どうしたの渉?」
「ほら朝言ったゲームの事なんだけどさ」
「ああ、ごめんまだ買ってない」
「そうか、良かった」
「え?」
「いや~別のゲームにしようと思ってな。でも、買ってたらいけないから確認したんだ」
「そうなんだ。じゃあどのゲームがいいの?」
「別のアクションゲームのやつで最近発売された奴なんだけどそっちは人気が高くてな売り切れてるかもしれないけど一応確認してくれないか?」
「うんわかった、じゃあゲームショップに行ったら電話するよ」
「おう!じゃあな」
「うん」
電話を切り携帯をポケットにしまう
「兄貴からですか?」
「うん、別のゲームを買ってきてほしいって」
「自分で買いに行けばいいのに」
「アハハ、でも、ちょうどデパートにいるしついでだよ」
「それなら今から行ったらどうですか?」
「いいの?」
「はい、私たちはここにいますから」
「じゃあそうしようかな、すぐ戻って来るから」
僕は、走ってゲームショップまで向かう
ゲームショップについた僕は、渉に連絡を取りゲームのタイトルを聞いてからソフトを買う
ソフトを買った僕は、急いで由香ちゃんたちのところに向かった
さっきの服売り場に戻って由香ちゃんを確認したのだが、様子がおかしい
「ちょ、ちょっと止めてください」
「いいじゃねぇかよ、俺たちと遊ぼうぜ」
「だから人を待ってるって言ってるでしょ!」
「由香ちゃん、美奈ちゃん、優奈ちゃん!」
「あ!和人さん」
三人が僕の方に駆け寄ってくる
「どうしたの一体?」
「和人さんがゲームショップの方に向かった後そのまま買い物を続けてたら絡まれて」
僕が男二人の方を見た
「あなた方は確か・・・」
由香ちゃん達に絡んできた男二人は以前にはる姉と亜姫に絡んできた人たちだったのだ
「てめぇあの時の」
「知ってるんですか和人さん?」
「由香ちゃんには話したと思うけど前に僕を噴水に吹き飛ばした人たちだよ」
「この人たちが」
「前はよくもやってくれたな」
「今回は助けてくれる仲間もいねぇぞ」
僕は、深いため息をしながら二人を見る
「なんだその目は文句あんのかよ!」
「和人さん逃げましょう危ないですよ」
「そうですよ和人さん」
美奈ちゃんと優奈ちゃんが僕の心配をして逃げるよう提案してくれた
「大丈夫だよ」
「でも・・・」
「まぁ、どのみち逃がさねぇけどな」
周りの人も遠目でこちらを見ているが関わりたくないので知らないふりをしている
「ハァ、あんたたちホントに学習しないね」
「ああ!」
「前はいきなり殴られたからふっ飛ばされたけどその後あんたたち、僕と僕の友達に同じ目にあわされたの覚えてないの?」
「うるせぇ!仲間がいなきゃてめぇなんか唯のザコだろうがよ!」
「その言葉そのままあんたらに返すよ」
「調子こいてんじゃねぇ!」
男二人が僕に向かって殴りかかってきた
「和人さん危ない!」
由香ちゃんが僕にそう叫ぶ
しかし、僕は、男二人に裏拳のような感じでアッパーを決める
二人は、僕の裏拳をモロにくらう。宙を舞って少し離れたところに吹っ飛んだ二人は僕を睨んでいる
「てめぇ」
「僕は、暴力はあまり好きじゃないけど自分の知り合いに危険が迫るような事があれば話は別だ」
二人は僕を睨んだまま動かないおそらくアゴにもろにくらったから軽い脳震盪で動けないのだろう
「まだやりますか?できれば今の一撃だけで去ってくれると嬉しいのですが」
「くそ!」
「おい行こうぜ!」
二人は、文句を言いながらもデパートの出口の方に向かって去って行った
「ふぅ」
「あの、和人さん大丈夫ですか」
「由香ちゃん・・・ごめんね怖い思いをさせて」
「いえ、私は別に」
「美奈ちゃんと優奈ちゃんも大丈夫?」
「はい、和人さんが守ってくれましたから」
「強いんですね和人さんって」
「そんなことないよ」
「普段めったに怒らない人が怒ると怖いっていうけどホントね」
「まぁ、もう終わったことだし買い物を楽しもうよ。ね、由香ちゃん」
「はい!」
それから、しばらく買い物を続けて夕方になったころ僕たちは帰ることにしデパートを出た
美奈ちゃんと優奈ちゃんは帰り道が違うらしく途中で別れることになった
「じゃあ私たちはこれで今日は楽しかったです和人さん」
「また、いつか遊びましょうね」
「うん、帰りは気をつけてね」
「「はい!」」
お別れをし僕と由香ちゃんも家に戻るため歩き始める
「今日は一日ありがとうございました和人さん」
「どういたしまして。由香ちゃんは楽しかった?」
「はい!」
「そっかそれならよかった」
こうして僕と由香ちゃんのお出かけは終わった