第21話
第21話
夏休みも、7月が終わり今日は、8月1日午前10時
今、僕は渉の家に向かっている
なぜかというと、渉が早めに宿題を終わらせて夏休みをエンジョイしたいというので僕が手伝うことになったからだ
渉の家は、僕の家から徒歩で約15分、比較的に近い場所にある
渉の家に着きインターホンを鳴らす
少しすると、玄関のドアが開いた
「はい、どちらさまですか?」
出てきたのは、渉のお母さんの皆本春香さんだ
「文弥ですけど、渉はいますか?」
「あら!和人君!久しぶりね~」
「はい、お久しぶりです」
「今日はどうしたのかしら?」
「渉に宿題を手伝ってほしいって頼まれまして」
「そうなの、わざわざごめんなさいね~こんな暑い中そんなことのために来てもらっちゃって」
「一人でやるより、二人でやるほうがはかどりますから」
春香さんとしばらく話していると渉が二階から降りてきた
「おう!和人!よく来たな上がってくれ」
「うん、それじゃあ春香さんお邪魔しますね」
「ええ、ゆっくりしていってね」
靴を脱ぎ渉の部屋へ向かう
部屋に入り勉強道具を取り出す、一通りそろえてお互いに宿題に取り掛かる
「久しぶりだな、渉の家に来たのも」
「確かにな、最近は良く皆で出掛けてたもんな」
「そうだね」
「たまには、遊びに来いよな」
「でも、迷惑じゃない」
「全然、むしろ来てほしいくらいだ」
「どうして?」
「由香がな和人は来ないのかって事あるごとに聞いてくるんだよ」
渉の言う由香とは渉の妹で亜姫と同い年の高校生だ、ただ僕たちとは高校が違うため滅多に会えないのだ
「ハハ、由香ちゃんは元気」
「ああ、相変わらずだよ」
「そういえば今日は見かけないね」
「今日は部活なんだってさ」
「そうなんだ、って渉も部活じゃないの」
「うちの高校の部活は基本的に8月はあんましやらないからな結構暇なんだよ」
「そんなに部活やらなくて大丈夫なの?」
「ああ、練習したい生徒のために学校自体は開けてるからな頼めば体育館も開けてくれるし自主練してるやつも多いんだよ」
「へぇ~そうだったんだ知らなかったよ」
「和人は部活に入ってないから知らなくてもいいことだしな」
「渉も練習に行くんだろ?」
「まぁ行くけど、俺の場合は夏休みは遊びたいからあんまり行かないな」
「やっぱり練習はきついの?」
「そりゃあな、自主練つっても2時間はやらないと体がなまるからな、練習した日は家帰ってもなんもやる気起きねぇよ」
「大変だね」
「まぁな、ところで和人ここの問題はどうやってやるんだ?」
「そこは、この公式にこの式をあてはめるんだよ」
「なるほどな、サンキュー和人」
「どういたしまして」
こんな感じで、勉強を続けていると春香さんがやってきた
「どう勉強はかどってる和人君」
「はい」
「渉、バカだから和人君の邪魔になってるんじゃない」
「そんな邪魔だなんてお互い話しながらやるから楽しくやってますよ」
「バカの所は否定しないのかよ・・・」
「い、いやそういうわけじゃ」
「いいのよ~気にしなくてホントのことなんだから」
「うるさいな~そんなこと言うために俺の部屋まで来たのかよ」
「違うわよ、お昼出来たから和人君も食べてって言おうとしたのよ」
「だってよ和人、とりあえず下に降りるか」
「そうだね」
僕と渉は、勉強をひとまず止めてお昼を頂くことにした
下に降り渉と向かい合うような形で席に座る
「それじゃあ食べるか」
「うん」
用意してもらった食事に手を伸ばす
「すいません、僕の分までお昼用意してもらっちゃって」
「渉に勉強教えてもらってるんだもの当然よ」
「そうだぞ和人、遠慮すんなよ」
「和人君、今日は夕方まで家に居るの?」
「そのつもりです」
「和人がいないと俺いつまでたっても宿題終わらないし」
「何言ってるの自分でもやらないとだめだよ」
そんな会話をしていると玄関の扉が開く音がした
「お母さん、ただいま~」
少しするとリビングのドアが開いた
「お帰りなさい由香、ご飯できてるから早く食べちゃってね」
「分かった、でも、その前にシャワー浴びたいよ汗かいちゃって」
「よう由香おかえり」
「なんだ、バカ兄貴いたの・・・って和人さん!」
今、渉をバカ呼ばわりしたのは渉の妹の皆本由香ちゃん。バレー部に所属しており学校でも屈指のアタッカーらしい、高校が違うため最近は会うことがなかったのだ
僕を見た由香ちゃんは驚いた顔でこっちを見た
「こんにちは、由香ちゃん相変わらず元気そうだね」
「こ、こんにちは、どうして和人さんがここに」
「渉に呼ばれてね、一緒に宿題やろうって」
「そ、そうなんですか、でもうちのバカ兄貴じゃ和人さんの宿題の助けにはならないんじゃ」
「そんなことないよ、今回は雑談でもしながらって感じだったしね」
「俺がバカ呼ばわりされていることはスルーなのか・・・」
「ご、ごめん渉」
「和人さんが謝ることないですよ、ホントのことですし」
「それより、由香あなたシャワー浴びるんじゃなかったの?」
「あ、そうだった!」
春香さんに言われ由香ちゃんは少し恥ずかしそうにその場を後にしお風呂場へ向かった
「はぁ、まったくいつからあんなに生意気になったのか」
由香ちゃんがリビングから出て行くのを見て、渉が口を開いた
「まぁまぁ、元気があっていいじゃない」
「いいわけあるかよ、毎日毎日事あるごとにバカ呼ばわりするんだぜ由香の奴」
「ハハハ、苦労してるね渉も」
「笑い事じゃねぇよ、はぁ、俺も亜姫ちゃんみたいな妹がほしかったな~」
「ダメだよそういうこと言っちゃ、由香ちゃんだって十分いい子じゃないか」
「実の兄をバカ呼ばわりでか?」
「愛情表現の一つだと思うよ」
「こんな愛情表現はいやだっつうの」
「兄ならもっと器を広く持たないと」
「善処するよ」
「そういえば、話は変わるけど。泊りの件は大丈夫なんだよね?」
「ん、ああそのことか、大丈夫だぜとくに用事もないしな」
「そっか、それなら良かった」
「おう、楽しみだな和人の家に泊まりに行くの」
「あら~何の話?」
僕たちの会話を聞いていた春香さんが僕たちに質問してきた
「皆で、和人のうちに泊まるっていう話だよ」
「へぇ~そうなの、和人君は迷惑じゃないの?」
「そんなことないですよ、むしろ楽しみなくらいですから」
「誰が来るの?」
「まぁ、来るのは渉とうちの学校の先輩が一人ですよ」
「それでも、亜姫ちゃんや美晴先輩もいるから人数的にはそこそこって感じだよな」
「そうだね」
「そうなの、あ!ねぇ和人君ひとつお願いがあるんだけどいいかしら?」
「なんですか?」
「由香も泊りに行かせていいかしら?」
「由香ちゃんをですか?」
「ええ、和人君たちと高校も違うしこういうときじゃないとなかなか遊ぶ機会ってないから」
「そういうことなら僕はいいですけど、由香ちゃん忙しくないんですか?」
「そうねぇ、由香がきたら聞いてみましょ」
「そうですね」
「由香が来るのか・・・」
「何か文句があるのかしら渉?」
「いえ、なんでもありません」
「よろしい」
そんな話をしていると由香ちゃんがリビングに戻ってきた
「ふぅ、さっぱりした~」
「由香早くお昼食べちゃいなさいね」
「は~い」
春香さんに言われ由香ちゃんがイスに座ろうとする
「あの~和人さん隣いいですか?」
「うん、いいよ」
「失礼します」
「ねぇ、由香ちゃん」
「なんですか?」
「今度、僕の家で渉と学校の先輩がお泊りに来るんだけど、よかったら由香ちゃんもどう?」
「え!わ、私ですか!」
「うん、うちにも由香ちゃんと同い年の妹がいるし仲良くなれるといいなぁって」
「で、でも迷惑じゃないですか?」
「そんなことないよ、人数が多いほうが楽しいだろうしね」
「いいんですか?」
「もちろん、由香ちゃんが忙しくなければだけど」
「い、いえ行かせていただきます!」
「そ、そう。良かった」
由香ちゃんのトーンがいきなり大きくなって僕は少しびっくりしてしまった
こうして、由香ちゃんも泊りに来ることになった