第19話
第19話
「う~ん」
カーテンから差し込む光で僕は目が覚めた
「ふぁぁ、夏だからやっぱり暑いなぁ~」
そんな独り言を言いながら時計を確認すると
「嘘!もう8時じゃないか!早く朝ごはん作らないと」
僕は急いで下に降りる、下に降りると、はる姉も亜姫もすでに起きていた
「ごめん二人とも!今から朝ごはん作るから」
僕が急いで朝食を作ろうとすると二人がそれを止める
「兄さま・・・大丈夫です・・・もう作りましたから」
「ホント、ごめんね」
「気にしなくて・・・いいです」
「でも・・・」
僕が、申し訳なさそうにしているとはる姉が声をかける
「和ちゃん・・・部屋の・・・目覚まし時計・・・鳴らなかったでしょ」
「そういえば、鳴ってないような」
僕は慌てていたせいでまったく気付かなかったが、確かに昨日ちゃんとセットしたはずの目覚まし時計が鳴った記憶がない
「でも、どうしてそれをはる姉が知ってるの?」
「私が・・・鳴る前に・・・止めたから」
「え?どうしてそんな事を」
「夏休みに・・・入ったし・・・和ちゃんに・・・ゆっくり・・・休んでいてもらいたかった」
「兄さま・・・いつも・・・早起きですから・・・夏休みぐらい・・・ゆっくり寝ていて・・・ほしかったんです」
「だから・・・」
二人が少し不安そうな顔でこちらを見ている
「そっか、ありがとね二人とも」
僕がお礼を言うと二人ともパァっと笑顔になった
「和ちゃん・・・ゆっくり休めた?」
「うん、おかげ様でね」
「兄さま・・・朝食・・・食べましょう」
「そうだね」
僕は、朝食を食べるためイスに座る
テーブルには、みそ汁や焼き魚などのおいしそうな和食が並んでいる
「うわぁ~おいしそうだね」
「私たち・・・和ちゃんみたいに・・・うまく作れないけど・・・頑張って作ったから・・・どうぞ・・・召し上がれ」
「それじゃあ、いただきます」
「「いただきます」」
二人が作ってくれた朝食を食べる
「おいしい!すごくおいしいよ、はる姉、亜姫」
「ホントに・・・?」
「もちろん、僕が作ったのなんかより全然おいしいよ」
「兄さまに・・・喜んでもらえて・・・嬉しいです」
「おかわりも・・・あるから・・・いっぱい食べてね・・・和ちゃん」
「うん、ありがとね、はる姉」
あまりにおいしいので朝から2杯もおかわりしてしまった
それから、朝食を終え食器を片付けようとしたら二人に止められてしまった
「和ちゃんは・・・ゆっくり・・・してて」
「でも、朝もゆっくり寝かせてもらったし、食器洗いぐらいは僕がやるよ」
「兄さまは・・・テレビでも・・・見ててください」
「でも・・・」
僕が何か言う前に二人とも、キッチンへと移動してしまった
僕は、少し申し訳なく思いながらも二人に言われた通りテレビでも見てゆっくりすることにした
僕がソファーに座ってテレビを見ていると食器を洗い終えた二人が戻ってきた
「はる姉、亜姫ごくろうさま」
「ん・・・気にしないくて・・・いい」
「二人でやったから・・・早く終わりました」
「二人もこっちでテレビでも見たら」
僕がそう言うと二人は僕の両隣りに座った
それからしばらく、皆でテレビを見て過ごした
その後、掃除や洗濯そしてお昼まで二人で用意するということで僕の出番はなく
なんだかんだで、今日はほとんど動いていない気がする
お昼も食べ終わり、僕は、テレビを見るのも少し飽きたので何かしようと考えていたら亜姫に話しかけられた
「兄さま・・・あの」
「どうしたの、亜姫?」
「その・・・買い物に付き合って・・・くれませんか」
「買い物?」
「はい・・・」
「うん、いいよ今日は一日いろんなことをやってもらったしね買い物ぐらい付き合うよ」
「ありがとう・・・ございます」
僕は、部屋に戻って準備をし、亜姫と出掛けたのだった
「そういえば、はる姉は?」
「姉さまは・・・家で・・・待ってるそうです」
「そうなんだ、所で亜姫どこに行こうとしてるの?」
「前に・・・皆で・・・遊びに行った・・・デパートに」
「何かほしいものでもあるの?」
「夕食の・・・材料を買ったり・・・しようと」
「それなら、近所のスーパーでもいいんじゃないの?」
「いえ・・・一応・・・本屋にも・・・よりたいので」
「そうなんだ、そういえば亜姫とこうして二人で買い物に行くの初めてかもね」
「いつもは・・・皆で買い物・・・行きますから」
「なんか新鮮な感じだね」
「そうですね・・・」
しばらくして、デパートに到着した。亜姫の意見でまず夕食の材料を買ってから本屋に行くことにした
「少し・・・買いすぎました」
夕食は、帰るまで秘密ということで買った物をほとんど見せてはもらえなかったのだが、どうやら少し買いすぎてしまったらしい
「荷物は、僕が持つよ」
「でも・・・」
「今日は、何もしてないからこれぐらいはさせてよ」
そう言って僕は、材料を入れ終わった袋を持った
夕食の買い物も終わり、本屋に無っている途中でアクセサリーショップが目に入った
「亜姫、ちょっとだけ待っててくれる」
「?」
僕は、持っていた荷物を近くにあったイスにおいてアクセサリーショップに入った
アクセサリーショップでの買い物を済ませた僕に亜姫が質問してきた
「兄さま・・・何を・・・買ったんですか?」
「今は秘密だよ、夕食の後に教えてあげるね」
亜姫は、不思議そうにしながらも了解し僕たちは再び本屋に向かった
本屋に行き、亜姫は前から気になってた小説を購入、僕も集めている小説の新刊を買い本屋を後にした
その後、家に帰り
はる姉と亜姫の夕食の準備が始まった
匂いから察するにどうやら今日はカレーらしい
数十分後、カレーも完成しサラダや飲み物をそろえ僕たちは夕食を食べ始めた
夕食の後、しばらくして僕は二人を呼んだ
「はる姉、亜姫ちょっといい」
「和ちゃん・・・どうしたの」
「兄さま・・・何か・・・用ですか」
「用って事でもないんだけどね」
僕は、ポケットから小さな袋を取り出す
「はい、これ今日一日、二人のおかげでゆっくりさせてもらったからね、そのお礼だよ」
袋を二人に渡す
「いいの・・・貰っても?」
「もちろん、そのために買ったんだから」
「ありがと・・・開けてもいい?」
「どうぞ」
二人が袋を開ける
「かわいい・・・」
僕が二人に買ったのは、ペアのイヤリングだ
「兄さま・・・ありがとう・・・ございます・・・これ大切に・・・しますね」
「ハハハ、僕の勝手なセンスで選んだから気に入ってもらえるかどうか不安だったんだよね」
「とっても・・・かわいい・・・和ちゃん・・・ありがとね」
「喜んでもらえると、僕もうれしいよ」
そのあと、二人は僕にイヤリングをつけて見せてくれた、二人ともすごく似合っておりとても気に入ってくれたので僕も買ってよかったと思った
こうして僕は、今日一日のんびりとした生活を送ることができた