第12話
第12話
午前の部が終わり、お昼休みになった
僕は、亜姫を連れて一度、自分のクラスのテントに戻り、渉と合流してから三年のテントの方へと向かった
三年のテントに向かうとはる姉と美里先輩がいろんな人からお昼に誘われていた
あれ・・・?なんか、デジャヴを感じるような
「渉、どうしよう」
「俺に言われても」
「だって、嫌な予感しかしないんだもん」
「兄さま・・・姉さま達に・・・声かけないの?」
「声かけたいけど・・・前に色々あったからなぁ」
僕たちが戸惑っていると、はる姉と美里先輩がこちらに気づいた
二人は、人込みをかき分けてこちらにやってきた
「はぁ~なんとか抜けれたわ、ごめんね皆待たせて」
「あ、いえ気にしないでください、呼ばなかった僕達も悪いんで」
「和ちゃん達・・・こっちに来てたの?」
「うんちょっと前にね、どうしたらいいか迷ってるとはる姉達が気づいてこっちに来てくれたから」
「そうなんだ・・・」
「そっか、和人君は前にも同じことがあったからね、仕方ないわよ」
「和人、皆集まったしそろそろ移動しないか?このままじゃ、俺たち多分殺されるぞ」
そう言って、渉はさっきまではる姉たちがいた場所の方を指さす
皆、僕と渉を睨んでいる、これもなんかデジャヴを感じる
「兄さま・・・睨むやつ・・・許さない」
「まぁまぁ、亜姫、今はとりあえずこの場を離れよう」
「そうね、このままじゃ和人君と皆本君が危ないだろうし」
「でも、どこで食べるんスか」
「中庭でいいんじゃない」
「そうですね、あそこなら結構広いし、他の人が既にいても邪魔にならないだろうし」
「そうときまれば、さっそく行こうぜ。俺もうこの視線に耐えられない」
「僕もだよ・・・」
僕たちは、逃げるようにこの場を離れ中庭に向かう
中庭に向かった僕たちは、適当な場所に座りお弁当を広げる
「ふぅ~やっと、お昼だ」
「和人君の料理美味しそうね」
「ありがとうございます」
「和ちゃん・・・食べよ」
「そうだね、じゃあ皆どうぞ召し上がれ」
「「いただきます!」」
「「いただき・・ます」」
皆が合掌をして僕が作った弁当を食べる
「うめぇ!めちゃくちゃうまいぞ和人!」
「ホント!このたまご焼きなんか味付けが絶妙だわ!」
「ありがとう渉、美里先輩」
「いや~それにしても、美晴と亜姫ちゃんは毎日こんなおいしい料理が食べれるなんて、羨ましいわ」
「和ちゃんは・・・料理が上手」
「兄さま・・・さすがです」
「そんな、皆ほめすぎだよ」
「そんなことないわよ、私も料理できるけどこんなに上手くは作れないわ」
「美里・・・料理できるの?」
「できるわよ、少しだけど」
「へぇ~食べてみたいですね美里先輩の料理」
僕の言葉に、はる姉と亜姫がぴくっと反応した
「いいわよ、今度、持ってきてあげるわね」
「いいんですか?」
「いいわよ、今こうしてお昼作って来てもらったしね」
「じゃあ、楽しみにしてますね」
「和人君にみたいに上手くできないけどね」
僕と美里先輩の会話に再び、はる姉と亜姫がぴくっと反応した
「「・・・・・(じーーーーーーーーーーーーーーーーー)」」
「ちょ、ちょっと・・・美晴に亜姫ちゃんそんなに睨まなくても・・・」
「いくら美里でも・・・和ちゃんに・・・手を出したら」
「倒します・・・」
「ちょ、ちょっと二人とも落ち着いてよ」
僕が二人をなだめると、二人は少しだけど落ち着いた
「だ、大丈夫よ二人が思ってるような事は考えてないから」
「ホント?」
「もちろんよ」
「怪しい・・・です」
「信じてよ亜姫ちゃーーーーーん」
美里先輩が若干涙目で二人にお願いする。なんで、美里先輩涙目なんだろ?
「はる姉、亜姫よくわかんないけど喧嘩はよくないよ」
僕が二人をなだめると、二人は落ち着いたらしく
「美里・・・ごめん」
「すみません・・・でした」
「気にしなくていいわよ」
「罪作りなやつだな和人」
「なにが?」
「ホントに鈍感だなぁ」
「?」
僕が、どういうことか考えていると、美里先輩が話題を変えた
「そういえば、和人君さっきの借り物競走で亜姫ちゃんお姫様だっこしてたけど、どういう内容だったの?」
「え~とですね、確か一番親しい異性にお姫様だっこしてもらってゴールするだったと思います。でも、どうしていきなりそんなこと聞くんですか?」
「あの時、美晴が横でピリピリしててね、なだめるのが大変だったのよ」
「だって・・・亜姫だけ・・・お姫様だっこ・・・羨ましい」
「そんなこと言われても、お題がそうだったから」
「周りの目も殺気がこもってたからな、特に一年生」
「はぁ~最近、人に睨まれることが多い気がする」
「大変ね和人君も」
「兄さま・・・お姫様だっこ・・・迷惑だった?」
「迷惑じゃないよ、競技なんだし亜姫が気にすることないよ」
「でも・・・」
「亜姫は、僕にお姫様だっこされて迷惑だった?」
僕が亜姫にそう聞くと亜姫は首を横に振った
「だったら、お互い気にする必要ないんだよ」
「兄さま・・・」
「和ちゃんは・・・やさしいね」
「そうかな?」
「うん・・・やさしい」
「やれやれ、和人のやつまた自分でフラグを立てたな」
「そうね、まぁそれもいいんじゃないかしら」
「そうっすね、あいつあれで幸せそうだし」
「そ、そんなことより皆、早くご飯食べないとお昼休み終わっちゃうよ」
僕は、何だか照れくさくなって目の前にあった料理を無言で掻き込んでいた