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天の邪鬼と猫かぶり  作者: 陸一じゅん
三章:語り部の日常を盗撮
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ビデオテープを巻き戻せ






 藍は横目で梓を見た。

 梓は相変わらずだ。先ほどから、藍のベットの上で背を向けて寝息を立てている。

(よくもまぁ、他人の部屋で・・・・)



 呆れつつ、ふと、幽霊に睡眠は必要なのだろうかと思った。いや、ただの幽体離脱とわかったから生き霊か。

 睡眠は脳内でその日にあったことを整理するため、必要だという。夢を見るのは、その日に会ったことを再生していくためだと。

 梓は意識も蓄積する記憶もあるのだから、当然、睡眠も必要なのだろうか。いやでも、肝心の脳の詰まった体は数キロ先の病院だ。



「・・・・・・」

 今、時刻は夜の十一時。当たり前だが、外は真っ暗、夜だ。窓には数多の雫が貼り付いては落ちていき、何も見えやしない。

 あの後、病院から帰ったすぐ後に雨が降り出したのだ。しとしとどころではなく、風も相まってザァザァと屋根まで突破し窓に討ってくる。

(・・・・そろそろ寝ようかな)

 明日の朝は早いだろう。この雨では登校前にもたつくかもしれない。

 どうやら、梓の体はこちらが視覚的に認識してやり、触ろうとしなければ触れられないものらしい。意識の落ちた梓の肩を軽く揺らしてみたが、彼女はまるで死体のように―――この表現は悪いか。

 まるで泥のように眠っていて、ピクリともしなかった。

 仕方ないので、梓と背を合わせる様にして横になった。電気を消す。

(明日、山崎さんと話してみよう。うん)

 少しの譲歩。こういったことは苦手だけれど、誰でもやっていることだ。自分にも出来ないわけがない。




 彼女はきっと、訊かなければ言わないのだ。


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