許しなさいと彼女は言った
“許しなさい” と彼女は言う
その傍らで 遠く点滅する光を見つめながら
彼女の声を聞く僕
“許しなさい” ともう一度彼女は言う
左目の端から赤い涙をひとすじ流しながら
その左目の前で うつむきながら
横目で僕を見る君
ラジオをとめるべきだった のだけれど
聞き覚えのある曲が 車の窓から
君の詞をラッピングして
僕から 遠ざける
3度目の言葉はなく 彼女は
僕のそばに 突然しゃがみ込んで
左目で僕の視線の先を追い始める
僕の中の大切なところを 握られた僕は しかたなく
彼女に視線を落とす
赤い分離帯で分けられた 彼女の4分の1の横顔は
その場の空気と そぐわずに 微笑んでいた
不機嫌ならばよかったのに……
右手を開くかどうか 少し迷って
僕は ぎゅっと握りしめた
君はといえば うつむいたまま
しゃがんだ彼女のそばにいる僕を
まだ見ている
はたして 君は 許すのだろうか
それは 僕を それは 彼女を それは君自身を?
僕にはわからないけど
きっと それは
君自身が考えることなのだ と思うんだ
もう 彼女はしゃがんだまま 何も語らないのだから
10代の頃、日記代わりに記していた「小さな告白」というノートがどこからか現れました。
久しぶりに読んでみて楽しくなったので、その時の気分に心をすべらせて形にしてみました。




