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追放された地脈調律士の山奥スローライフ 〜戦わずに魔境を安全地帯にしていたら、王国が慌てて探しに来ました〜  作者: 山奥たける


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第17話 王国の強硬策

 王都は、ざわついていた。


 理由は単純だ。

 魔力が、足りない。


「……数値が合わない」


 王国魔導局の執務室で、記録官が青い顔で呟いた。


「供給量は変わっていないはずなのに、消費効率が落ちています」

「結界維持に、三割増しの魔力を使っている?」


 机を叩く音が響く。


「馬鹿な……原因は何だ」

「不明です。地脈は、むしろ安定しているはずで――」


 その言葉に、居並ぶ者たちが顔を見合わせた。


 安定しているはず。

 だが、現実は逆だ。


 街区結界が、細かく軋む。

 給水魔導具の出力が落ちる。

 灯りが、夜ごとに不安定になる。


「……聖務院は、何をしている」


 重苦しい沈黙の中で、名が上がる。


「……例の山域です」

「廃棄境界?」


「はい。地脈が“自然に”安定していた区域」


 その場に、嫌な理解が広がる。


 ――自然ではない。


「……調査団は、何を確認した」

「明確な術式は確認できず……」

「だが、人はいた」

「……はい」


 結論は、もう出ていた。


 地脈は、つながっている。


 王都が使っていた“余剰”は、

 あの山域が暴れていたからこそ流れてきていたものだ。


 それが整えられた結果――

 帳尻が、合わなくなった。


「……強硬策を取る」


 会議の席で、強硬派の貴族が言い切った。


「地脈の流れを、王国主導で戻す」

「……つまり?」

「封鎖用魔導具を投入する」


 聖務院の神官が、顔をしかめる。


「それは……乱暴すぎます」

「管理されていない力が原因だ」

「だが――」


「責任は、取る」


 誰も、その言葉を信じていなかった。


 数日後。


 王国は“静かに”動いた。


 廃棄境界周辺に、地脈固定用の魔導杭を打ち込む。

 表向きは、災害防止。

 実態は、強制的な制御だ。


 だが――


「……おかしい」


 最初に異変に気づいたのは、現地の技師だった。


「杭が、共鳴していません」

「何だと?」


「流れが……逃げている?」


 地脈は、押さえ込まれなかった。

 むしろ――


 避けた。


 整えられた流れは、柔らかく、逃げ場を知っている。

 無理に塞げば、圧は別の場所へ向かう。


 その“別の場所”が――

 王都だった。


 結界が、悲鳴を上げる。


 水路が、詰まる。


 街の一角で、魔力過多による事故が起きた。


「……止めろ! 杭を抜け!」

「無理です! 今抜けば――」


 崩れる。


 王国は、初めて理解した。


 地脈は、支配できるものではない。

 付き合うものだ。


 同じ頃。


 山奥の居場所では、穏やかな朝が来ていた。


「……変だな」


 グランが、空を見上げる。


「静かすぎる」

「動いてる」


 レイは、地面に手を当てて言った。


「……無理をしたな」

「王国か」

「ああ」


 ミリアが、不安そうに聞く。


「……ここ、大丈夫ですか」

「問題ない」


 即答だった。


「整えてある。壊れるのは――」

「外、ですね」

「そうだ」


 地脈は、ここを守るように流れている。

 無理をしているのは、外の方だ。


 レイは、立ち上がる。


「……そろそろだな」

「何がだ」

「頭を下げに来る」


 その声には、怒りも、優越もなかった。


 ただ、事実を述べているだけだった。


 王国は、まだ認めていない。


 だが――

 世界は、もう答えを出している。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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