表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放された地脈調律士の山奥スローライフ 〜戦わずに魔境を安全地帯にしていたら、王国が慌てて探しに来ました〜  作者: 山奥たける


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/20

第13話 異変報告

 王都・聖務院。


 白い石で造られた円形の会議室は、昼なお薄暗い。

 天井の採光窓から差し込む光が、床に描かれた魔法陣を淡く照らしている。


「――再度、報告を」


 穏やかな声だった。

 だが、その場にいる者たちは、誰一人として気を抜いていない。


 声の主は、教会聖務院第三席、カール=エディクト。

 魔力観測と異端対策を統括する男だ。


「北東山域、通称“廃棄境界”にて、地脈の安定化を確認しました」


 報告役の神官が、一歩前に出る。


「安定化?」

「はい。通常であれば、あの山域は周期的に魔力暴走を起こします」

「……それが?」


「三十日前から、乱れが急激に減少しています」


 室内が、わずかにざわつく。


「自然回復、ではないな」

「ええ。人為的です」


 カールは、指を組んだ。


「規模は?」

「局所的ですが……精度が高すぎます」

「精度?」


「地脈を“抑えている”のではなく、“流している”形跡です」


 その言葉に、年配の神官が眉をひそめた。


「そんな芸当、王都でも数名しか……」

「……いえ」


 報告役は、言葉を選ぶ。


「王都式とは、違います」

「何が違う」


「魔力に逆らっていない」


 沈黙。


 それは、教会の理論と正反対だった。


「……現地に、術者は確認できたか」

「直接は、まだ」

「だが?」


「周辺で、生存者の目撃情報が増えています」

「生存者?」


「追放者、流民、行き場を失った者たちです」


 カールの目が、細くなる。


「集落ができている可能性は?」

「……否定できません」


 別の神官が、書類を差し出した。


「さらに、問題があります」


 カールは受け取り、目を通す。


「……“魔力感知能力を持つ少女”?」


「はい。数年前、教会が保護対象とした個体に、特徴が一致します」

「逃亡した、あの子か」


 カールは、静かに息を吐いた。


「まだ生きていたか」

「それだけではありません」


 神官は続ける。


「彼女の能力は、周囲の魔力に“同調”するタイプ」

「……地脈安定化との相性が、良すぎるな」


 会議室の空気が、冷える。


「結論を言え」


 カールは、はっきりと言った。


「その山域には――」

「制御されていない力が存在します」


 誰も、否定しなかった。


 カールは、椅子から立ち上がる。


「直ちに調査団を編成する」

「武装は?」

「最低限でいい」


 少し、考えてから付け加える。


「――“保護”を名目にな」

「……はい」


 神官たちは、一斉に頭を下げた。


 会議室を出たあと、カールは廊下の窓から王都を見下ろす。


「……まただ」


 かつて、王国は同じ過ちを繰り返した。

 理解できない力を、管理し、囲い込み、壊した。


「今回は……」


 彼は、呟く。


「こちらが、試される番か」


 山奥の小さな居場所では、

 まだ誰も、この動きを知らない。


 だが――

 外の世界は、もう気づいている。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ