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プロローグ ~ちょっとだけ僕の話~

お越しくださりありがとうございます。

のんびり書いていきますので、のんびりお付き合いいただけると嬉しいです。

あくまでもホツマツタヱを題材にしたオリジナル小説として緩く考えていただけると幸いです。

自分自身楽しみながら更新していきますのでよろしくお願いいたします。

(ご都合主義な展開が多いと思います。)


「神代」の読み方:かみよ



 ちょっとだけ僕の話をしよう。


 どこにでもいる好奇心旺盛な普通の高校1年生、それが僕。

 読書が好きで、不思議なことが好き。だから僕の本棚には心霊、超能力、ミステリー、推理、占いなどなど、所謂オカルトだとか都市伝説だとか言われるジャンルの本や雑誌がたくさん並んでいる。家族や友達には呆れられたりするけれど気にしない。だって好きだから!


 僕の住んでいるところはすごい田舎で、隣近所みんな家族か親戚かってくらい知り合いばかり。田舎にはよくある話だ。しかも僕んちはその集落では代表的な立場で、家も大きく土地も広め。何かあればみんながうちに集まるし、祭りとか取り仕切るのもうち。

 だからと言って金持ちでは全然ない。じいちゃんばあちゃんは畑で野菜を作ってるし、父さん母さんは町に働きに行っている。車で30分かけて。(これも田舎あるある。車がないと移動できないんだよね。)父さんは会社員、母さんはスーパーのレジ(パート)。どこまでも普通の家庭、そんな感じ。


 そんな我が家にはちょっと大きめの土蔵と、小ぶりの土蔵がある。

 大きめの土蔵は昔から大事に使ってきた年代物のアレコレがしまわれていたり、行事ごとに使う諸々が置かれている。集落のお祭りで使う道具なんかもこっちの土蔵に入っている。

 そして小ぶりの土蔵。こっちは完全にガラクタやよくわからないものが無造作に放り込まれている。乱雑でゴチャゴチャで‥‥‥でも僕はこっちの土蔵が大好きだ。

 意味不明なものが多くて――割れた瓶とか壊れたおもちゃとか、何が入っているかも分からない封がされたままの箱とか、果たして取っておく意味があるのかも分からないものもたくさんある。よく言えばとても物を大事にする家系、悪く言えば貧乏性炸裂でゴミすら捨てられない家系。それが僕んち。

 そんな某量販店も真っ青な乱雑っぷりの小ぶりの土蔵には僕のお気に入りの物がある。


 “魔導書”


 僕が勝手にそう呼んでいる古い書物‥‥‥というか冊子だ。不思議な“もの”や“こと”が大好きな僕にはたまらない一品。

 当然本物の“魔導書”なわけないし、本気でそう言っているわけでもない。雰囲気とか古さとかからそう呼んでいるだけ。

 なぜそんな風に呼んでいるのかというと、その和綴じのボロボロの冊子が全く読めない、記号っぽい文字で書かれているから。○とか△とか□とかと、棒や渦や点なんかを組み合わせた記号っぽい文字。文字?たぶん文字。ネットで調べたら似た記号みたいなのが文字って書いてあったし。

 縦書きで上に5つ、下に7つ。それがずっと続いている。

 とにかく丁寧に扱わないと速攻で崩れ落ちそうなふっる〜い冊子。取り扱いめっちゃ注意なヤツ。


 その“魔導書”を見つけたのは3歳の時。

 小ぶりの土蔵は色々ものがあり過ぎて危ないって言われていたけど、当時の僕は探検気分で毎日のようにこっそり遊びに入っていた。

 その日もいつものようにあっちこっちを見て回って、気になったものは手に取ってみたり引っ繰り返したり動かしたりしながら徐々に奥の方に入っていった。そして一番奥の壁際、昨日まで気づかなかった『それ』に気づいたんだ。

 無造作に積まれた古びた和綴じの冊子の山。なぜか僕は無性に気になって、引き寄せられるようにその冊子の山に近づき、一番上に乗った一冊を手に取ったのだけど。

 ものすごく古い感じで今にも脆く崩れ落ちそうな気配に、子供ながらに乱雑に扱ってはダメだと本能的に悟り、改めて慎重な手つきで(めっちゃ小さな手だったけど)破かないように崩れ落ちないように気を遣いながら持ち直した。

 ドキドキハラハラしながら、でもその奥に感じる強い高揚感に、心だけじゃなく体も震えた。見下ろした表紙に無性に惹かれて魅入ってしまったほど。

 そこにはまるで魔法陣のような円が描かれていて、その円の中に規則的に記号のようなものが書かれていた。(のち)にそれがフトマニ図と呼ばれるものだとネットで調べて知ることになるのだけど、その時の僕は何だかわからない、絵でもないし知っている(というか絵本とかで見たことがある程度の)ひらがなとも違う形で描かれた不思議な図に一気にテンションが上がり、ワクワクが体中を駆け巡っていた。

 時間も忘れ見入っていて――夕方遅くなっても家に帰ってこない僕を心配した家族が大騒ぎして探しに来るまで気づかず、勝手に小ぶりの土蔵に入ったことと遅くまで家に帰ってこなかったこと(敷地内にはいたんだけどね)ダブルで怒られた。

 それ以降、暇さえあれば小ぶりの土蔵に入りびたり”魔導書”を眺めている僕。その持ち主だろうじいちゃんも記憶にない冊子だというし、好きにしていいっていうから本当に好きにしてる。それは高校一年になった今でも変わらない。むしろ悪化してるかも。

 フトマニ図やそこに書かれた文字、『ヲシテ文字』って言うらしいんだけど、眺めるのが楽しくて。一文字1音、でも込められた意味は複数だとか、神代(じんだい)の時代にこの文字が使われていたらしいとか、ロマンだよね(全部ネット情報だけど)。

 ただこの冊子についてはそのくらいのことしか調べていない。何となく気が進まなくて。解読的なこともしていないし。今は眺めているだけで満足。たぶんまだ時期じゃないんだと思う。読書好きな僕には良くあることで。レベル的に早かったり、今は必要ないような本を読んでいると、どう頑張っても頭に入ってこないし、寝落ちしたりもする。で時期が来るとなぜか面白くてあっさり読めるんだ。不思議だよね。




 明日から夏休み。

 バイトもしていない、部活も入っていない僕は究極の自由人。とりあえずじいちゃんやばあちゃんの畑の手伝いには駆り出されるけど、それも朝早い時間帯がメインで日中は時間が空く。当然その時間は、ひんやりした土蔵で心行くまで”魔導書”を眺めたり読書したりと趣味に没頭するつもり。快適空間になるようにこの数年間でしっかり整えているし、何時間だって入り浸れる。家族も僕がいなければ真っ先に土蔵を覗きにくるし、完璧だ。(何が?)


 そして今現在――夕食後の空いた時間なのだけど、明日からの自由時間を少しでも多く確保するために、僕は学校の課題を少しでも進めておこうと珍しくやる気を出して勉強机に向かっていた。


 その時――


 遠いような近いような、囁きとも呟きともと取れるし、会話しているようにも思える、そんな『声』が聞こえてきた。まるでチャンネルの合っていないラジオをかけられているみたいな感じで、聞こえたり遠のいたり、ノイズが入っているように聞き取りづらくなったり。

 絶妙に気になる音量で、僕は聞き耳を立て誰の声か確認しようとした。でも分からない。そこまでしっかり聞こえない。声の出どころも良く分からない。

 課題の手を止めて辺りを何となく見回す。僕の部屋はテレビもパソコンもラジオもあるけれど、今はどれも電源OFF状態。もちろん音も出ていない。そもそも僕は、勉強中に『音』があると集中できないタイプ。たから勉強机の上にあるスマートフォンですら音楽や動画アプリを起動していない。


 じゃあ家族の誰かの声?


 そう思って席を立ち、部屋のドアを開けて伺ってみる。聞こえてくるのは茶の間で流れるテレビの音と、時々起こる家族の笑い声。聞きなれているせいかドアを閉めてしまえば気にならない音。

 これじゃない感にドアを閉める。

 次に向かったのは部屋の窓。見えるのは広めの庭と少し離れたところにある僕のオアシス、土蔵なのだけど。

 窓を開けると声が大きくなった気がした。外には誰もいない。でも声がする。

 瞬間的に思ったのは“泥棒”で。目の前には僕の大切な魔導書が保管されている土蔵があるわけで‥‥‥


 もっと落ち着いてよく考えれば『違う』と気づけたと思う。土蔵と僕の部屋はそれなりに距離があるし、土蔵の中で話している声がそう簡単に聞こえてくるはずがないんだ。ましてや泥棒だったらここまで届くような“大声”で話をしているわけないし。

 でも僕は宝物といえる魔導書が盗まれるかもしれないと一瞬でも考えてしまって――いてもたってもいられなくなってしまった。部屋を飛びだして階段を駆け下りて靴を履くのももどかしく庭にまろび出る。後ろで母さんの声が聞こえたけど答える余裕もなくて。むしろ家族に助けを求めるべき場面だということすら頭から抜け落ちて、猛ダッシュで土蔵に向かった。

 焦り上手く動かない手で開け慣れたはずの土蔵の鍵をガチャガチャ盛大に音を立てながらいつも以上に時間をかけて開け‥‥‥この時点で誰も入っていないって分かるんだけど、それにも気づかず。僕は思いっきり扉を開けた。






 これがトリガー。














ホツマツタヱを傍観者として見ていくことになる『僕』の紹介でした。

『僕』は転生・転移していません。ただただ時間をさかのぼり神代を眺める感じです。歴史を動かしたり助言をしたりすることもありません。映画を見ているとかVR機をつけて映像を見ているとかそういう感覚に近いです。

突っ込んだり、ぼやいたり、感想を言ったり、都市伝説的な妄想を炸裂させたりすることはありますが、それも独り言です。

よろしくお願いいたします。


次回から徐々にホツマツタヱの世界に触れていきます。



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